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ゲド戦記 3 さいはての島へ (岩波少年文庫)
著者 アーシュラ・K.ル=グウィン (作),清水 真砂子 (訳)
ゲドのもとに、ある国の王子が知らせをもってきた。魔法の力が衰え、人々は無気力になり、死の訪れを待っているようだという。いったい何者のしわざか。ゲドと王子は敵を求めて旅立つ...
ゲド戦記 3 さいはての島へ (岩波少年文庫)
さいはての島へ ゲド戦記3
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商品説明
ゲドのもとに、ある国の王子が知らせをもってきた。魔法の力が衰え、人々は無気力になり、死の訪れを待っているようだという。いったい何者のしわざか。ゲドと王子は敵を求めて旅立つが、その正体はわからない。ゲドは覚悟を決める。中学以上。【「BOOK」データベースの商品解説】
【全米図書賞(1973年度)】ゲドのもとに、ある国の王子が知らせをもってきた。魔法の力が衰え、人々は無気力になり、死の訪れを待っているという。いったい何者のしわざか。ゲドと王子は敵を求めて旅出つ! アースシー世界の光と闇を描く壮大な物語。【「TRC MARC」の商品解説】
目次
- 1 ナナカマド
- 2 ロークの長たち
- 3 ホート・タウン
- 4 魔 法 の 灯
- 5 海 原 の 夢
著者紹介
アーシュラ・K.ル=グウィン
- 略歴
- 〈アーシュラ・K.ル=グウィン〉1929年カリフォルニア州生まれ。アメリカの作家。「闇の左手」をはじめとする大人向けのSF作品でヒューゴー賞、ネビュラ賞など、数々の賞に輝く。その他の著書に「夜の言葉」など。
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今だからこそ言えるんですが、確かにこの巻でお話は終わっていませんよね。それでも著者以外はみんなこれで完結したと思っていた。『指輪物語』と比べれば、そこでの差は大きかった。でも、話が大きくなるのはこれからなんです・・・
2009/08/11 19:05
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
岩波少年文庫に入ったのを機に読み返し始めた『ゲド戦記』の第三巻です。あの、つまらないことなんですが「岩波少年文庫」っていう名前って、女性たちから苦情はないんでしょうか? 「少年」である必要はないですよね。私は「看護婦」を「看護士」に呼びかえることは不自然だと思っていますが(「看護婦」「看護夫」でいいじゃないですか)、この「少年文庫」についてはカツンときます。ま、フェミニズムと密接な関係をもった『ゲド戦記』だからこそ余計思うんですが・・・
カバー後の案内は、
ゲドのもとに、ある国の王
子が知らせをもってきた。
魔法の力が衰え、人々は無
気力になり、死の訪れを待
っているようだという。い
ったい何者のしわざか。ゲ
ドと王子は敵を求めて旅立
つが、その正体はわからな
い。ゲドは覚悟を決める。
●中学以上
となっていて、さし絵はゲイル・ギャラティです。話の背景は、訳者あとがきに要領よくまとめてあります。テナーとゲドの働きで、エレス・アクベの腕環がひとつにつながって以来平和の続いていたアースシーのあちこちに災いの兆しが見え始め、悪い知らせがつぎつぎと賢人の島ロークにも入ってきます。また、ハブナーの玉座はすでに八百年もからのままで、人々はアースシー全土を統治する真の王たるにふさわしい王の出現を待ち焦がれている、そういう背景があります。
この巻では、再びゲドが話の中心に戻って来ます。ただし、もっとも魅力的な登場人物は、といえばアレンでしょう。本名をレバンネンといい、エンラッドとエンレイド諸島を治めるモレド家の一人息子で、将来の後継者です。モレド家はアースシーで最も古い家で、豊かさにおいてもその国に優るものはないといわれています。
父・エンラッド公は、現在の自分たちの世界の秩序の乱れのようなものは、自分たちの住む世界でなにか邪なものが活動を始めた証拠だとにらみ、賢人方の知恵を借りるため、息子のアレンをロークに派遣します。未来の王と、「はてみ丸」という船をあやつり、竜と言葉を交わす魔法使い中の魔法使いハイタカの二人が、邪なものの手から世界を正しい状態の戻そうとすることを通じて、人間の限りない欲望を描く話です。ちなみにアレンは後の巻で成長した勇姿を見せてくれます。
読んでいて、これで本当に終るんだろうか、って思いました。なんていうか最後になって急に終ったというか。それと、ともかく暗いです。全体のトーンがたまらなく昏い。ハリー・ポッターの映画も画面がどんどん暗くなって行きますが、同じ。じつはこれ、『ゲド戦記』全巻だけじゃあなく、最新の『ギフト』三部作にも共通するのですが、これってル=グウィンのデフォルトなんでしょうか。
それとテナーは何処に行ったんだ?って思います。訳者の清水は、少年文庫版の第二巻『こわれた腕環 ゲド戦記〈2〉』のあとがきで、この話の主人公がゲドからテナーに変わっていくことを予感した、と書いていますし、私もそう思いましたが、この巻を読めば、その予想の外れ具合に愕然とした、とも正直に書くべきではないか、と思います。
清水はこの物語が三部で終ると考えていたわけです。とすれば、テナーがこの『さいはての島へ』には全く登場しないどころか気配も見せないことに驚き、その時点で「主人公がテナーに変わる」と言った己の不明を恥じてもおかしくないでしょう。いや、そこで反省しないとすれば、むしろこの話は終っていない、むしろテナーの話が書き継がれると予想すべきです。
しかし、清水はその時点でこの話は終ったと考えていたそうです。であれば、やはり「テナーの話になるかと思いましたが、そうならずに完結を迎えました、予想外です」くらいは書いていい。それをしないというのは、結局、長い時間をおいて四~六へと話が続いたという結果の反映でしかありません。自分が予想もしていなかったル=グウィンの執筆で救われたとはいえ、それをあたかも分かっていたかのような文章には疑問を抱いてしまいます。
話し全体を覆う暗さ、三部作がどこか完結した感を抱かせず、読後がスッキリしないこと、それらから昔の私は『ゲド戦記』はトールキン『指輪物語』に及ばない、と決め込みました。それはこの巻までに限れば、今もあまり変わらない評価です。とはいえ、その差は圧倒的なものではなくなりました。
むしろ、私にとってこの二作は同じファンタジーという言葉で括ることが不可能なほどに違うものなのです。現実世界の投影という点でははるかにル=グウィンの作品がリアルです。神話世界の取り込み方でもル=グウィンのほうに、古代に遡る時間のスケール、民族を超えた汎世界という点でもル=グウィン。ただし、魅力的な人物の創造、ストーリーテラーとしての力ではトールキンではないでしょうか。
いずれにしても、そういう比較があまり意味を持たない、人間の本質に迫る作品であることは確かです。一応、目次からタイトルだけを写しておきます。
1 ななかまど
2 ロークの長たち
3 ホート・タウン
4 魔法の灯
5 海原の夢
6 ローバネリー
7 狂人
8 外海の子ら
9 オーム・エンバー
10 竜の道
11 セリダー
12 黄泉の国で
13 苦しみの石
訳者あとがき
少年文庫版によせて 清水真砂子
紙の本
作家のル・グヴィンから課題を与えられたような読後感
2020/07/01 22:48
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る
思春期に読んだ本を、大人になって再読。ゲド戦記の三作目は、今の地球上の様子とかなり近い話。
「限りない富だとか、絶対の安全だとか、不死だとか、ただ生きたいと思うだけ以上のものを求めるようになったら、そのとき、人間の願望は欲望に変わり、そして、もしも知識がその欲望と手を結んだらそのときこそ邪悪なるものが立ち上がり、この世の均衡はゆるぎ破滅へと大きく傾いてゆくのだ」と壮年に差し掛かったゲドは語りますが、これこそ、まさに今の世界の話そのもの?と思う。
ファンタジー世界では、ゲドという偉大な魔法使いが壊れつつある世界をもとにもどすという決着をみたが、そのエンディングが、リアル世界に生きる身としては、すこし羨ましい。
それとともに、作者から大きな課題を投げかけられた気分でもありました。