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完結編の「Vortex」が読めるのはいつになるのか?
2009/09/25 21:14
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yukkiebeer - この投稿者のレビュー一覧を見る
前作『時間封鎖』の30年後の地球が舞台。仮定体のもたらしたアーチによって別の惑星と地続きになった世界で、延命処置を受けた第四期世代が共同体を作って暮らす。
家族を捨てて失踪した父がその共同体と接触しているのではないかと推測したリーサはその地へ向かうが、第四期を脅威に感じる政府の組織DGS(遺伝情報安全保障局)による追跡を受けて…。
続編の要諦は仮定体との意思疎通を図ることを目指して創りだされた少年と彼のもとへ蝟集した第四期の人々の逃避行です。
リーサと前夫ブライアン、そして冒険を共にするタークとの人間模様が大人のドラマを展開させて、SFの筋立てとは別に魅力ある物語を構築していきます。
正編からがらりと変わった地球で彼ら新しい登場人物たちが惹起する事件の途上で、懐かしい顔が突如出現して、思わずにやりとさせられます。
その人物の齢を重ねた姿での登場を目の当たりにして、フィクションとはいえ30年という歳月の流れを確かに感じて不思議な思いにとらわれました。
物語の終盤で見えてくるのは、仮定体とは何らかの生命体というよりはある種のネットワークであり、そこに森羅万象の記憶が記録された媒体のようなものであるということです。
そこで思い出されるのは、以前読んだ『決定版 2001年宇宙の旅 (ハヤカワ文庫SF)』。あのSF小説の中でボーマン船長を飲み込んだのは、何らかのコスモ・エネルギーのネットワークじゃなかったでしょうか。仮定体と『2001年宇宙の旅』のネットワークが重なって見えてきました。
訳者あとがきによれば『無限記憶』にはVortexという完結編が予定されているものの、アメリカ本国で今も未発表のままだとか。
仮定体の物語が『2001年』とは異なる道筋をたどるのか。
そもそも仮定体の実態は明かされていくのか。
訳者とともに続編の登場をじりじりと待つ日がしばらく続くことになりそうです。
紙の本
独立した面白さ。
2016/02/06 11:35
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投稿者:うりゃ。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
前巻の『時間封鎖』を読まないまま突入した"新世界"だったが、面白く読めた。
とあるコロニーで育てられているアイザック少年と、火星からもたらされた「第四期」という処理を受けたが故に追われる人々と、彼らに関係したために父の失踪した女性・リーサ。
二人の視点を中心に話は進むが、記録媒体の劣化による記録情報の劣化を防ぐというその発想をここまで壮大なスケールで描いたSFはなかなかないのでは。
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「時間封鎖」の続編で、三部作の第二作目。
前作よりも、ストレートに物語がどんどん進んでいき、
大変読みやすい。
お話としても、大変面白い。
第三部完結編 Vortex が、待ち遠しい。
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『時間封鎖』の続編です。
今回もストーリー、秀逸です。
でも、ちょっと趣が異なり、
『時間封鎖』が「静」だとすると、
今作は「動」だと言えます。
まるで、映画を見ているようですね。
読者は冒頭からいきなり、「イクウェイトリア」という惑星に投げ込まれ、
様々な謎と半強制的に向き合わされます。
眼をつぶっても東西南北が分かってしまう少年、
「第四期の人々」を狙う謎の組織、
そして、ある日突然空から灰が降ってくる・・・
こういうの好きです。
そもそも、ダン・シモンズの信者なので、
読者を腕力で世界の中に引き込む作品が好きなんです。
そして、ウィルスンはその力がある作家さんですね。
でも・・・
やっぱりリズム感が合わない(笑)
もうこれは「こういうものなんだ」と思って付き合うしかないですね。
決して訳者の茂木健さんが悪いわけじゃありませんorz
前作よりも仮定体の謎にまた一歩近づいた今作、おすすめです。
「思い出せないことは、再発見するしかないのだ」
(リーサ・アダムズ)
次回作はいつ頃出るんでしょうか?
三部で完結ですので、次で終わりかぁ・・・
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3部作の2作目とのこと。確かにまだ大きな謎は解けていない。早く3作目が出てくれないと忘れちゃううう。
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前半のワクワク感が大きかっただけに、後半の失速が残念だなー。閉じ込められているばかりで、話が前に進まないんだもの。。。
リーサの父の失踪の謎、から始まる物語なのに、その真相についてもインパクトがない。また、真相を知るためにお尋ね者になったために、遺伝情報安全保証局の悪役に追われる、という楽しそうな設定があるのに、そこでのドラマは唐突に収束してしまう。本当にもったいない。
とはいえ、徐々に仮定体の謎に徐々に迫っていく感じは面白いし、ちと冗長だったけれども、新世界の怪しい光景も魅力に溢れている。SF的な部分は十分に面白いので、あとはドラマや話の展開がしっかりしていれば、という感じですね。
「時間封鎖」「無限記憶」を読んで思い出すのは、やはり山本弘の「神は沈黙せず」。特に「無限記憶」ではその印象が強い。または、涼宮ハルヒの情報統合思念体、ですな。
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「時間封鎖」の続編なのですが、続編はいらなかったと思ってしまいます。
仮定体が何なのか?って別に分からなくても良かったし、分かったとしても、こんな結論なら、「時間封鎖」の時点で想定出来てたし、わざわざって感じです。ということで★みっつ。
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時間封鎖の続編。時間封鎖のエンディングから30年後、仮定体がインド洋に落とした巨大アーチによって、地球は別の惑星新世界に繋がれていた。その新世界を物語のベースにして話は進んでいく。その新世界をベースにして、この地で生まれた不思議な能力を持つ少年を中心に仮定体の秘密に迫る。そして第3部へ続く。 第3部は何時出るんだろう?
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時間封鎖(SPIN)三部作の二作目。ちょっと分厚いかな?と思いながらも面白くて一気に読んでしまった。
文章のタッチは前作と全く同じ。時間封鎖や生体改造などヘビーなアイテムをプロットしながらも、それがちゃんとストーリーに昇華されていて、完全な物語となっている。このバランス感覚はほんとすごい。
ストーリーの中に出てくる仮定体と同じように、一陣の嵐として胸を駆け抜ける、そんな読み応えのある名作だと思います。
三作目はまだ音沙汰無いみたいだけど、是非早く読みたい。マジで。
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あまり詳細を知らずに借りて読んだのだけど、説明が少ないなぁと思っていた内容について最後まで詳細わかんないな、と思ったら前編となる小説があった。 でも読まなくても問題なく最後まで読めたし、それなりに面白かった。前編の「時間封鎖」も読んでみよう。
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「時間封鎖」の続編。今回は地球ではなく新しい世界が舞台で、「時間封鎖」の主人公たちはひとりをのぞいてほとんど出てこなくて、別の人たちが新たな主人公となるのが、わたしとしてはまずちょっと残念だった。「時間封鎖」のようなアメリカ青春文学っぽいところもなく、SF色が強かったような。謎が少しずつ解きあかされたり、冒険活劇風なところもあっておもしろいのだけれども、「時間封鎖」ほどではなかったかも。特に後半はいかにもSFっぽい異生物とか出てくるし、なんだか奇怪な悪夢を見ているような感じで、疲れた(笑)。そして、死ぬのもこわいけど、永遠に生きるってのもこわいと思い、いろいろ考えてどんどんこわくなる夜更け……。(だからSFって苦手……)。でも、さらなる続編が出たら絶対に読む。
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AXIS が原題。三部作の真ん中だ。
先の時間封鎖もイマイチ乗り切れなかったが(というか記憶がなかったから読み返したくらいだ)、こっちも同様。半分くらいのところでギブアップ。時間封鎖の設定は面白かったのだが、新世界を背景にしたこの続編はだらだらと長くて盛り上がりに欠ける感がある。
好みの問題だろうが、私には合わなかったなぁ。まだ出ていないけれど、最終作はパスかなぁ。前作の時にはおもしろかったと思ったのに不思議だなぁ。
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SF小説。『時間封鎖』というSF作品の続編で、時間封鎖の何十年後の世界が描かれている。舞台は地球ではない。物語全般で、『情報を集めながら進化するようにプログラムされた生命体』に焦点を当てている。
それなりに面白かったと思いますが、あんまり「先を知りたい!」って気分にならない作品でした。ちょうど本を読まない時期に重なったこともあり、読み終わるのに2~3ヶ月かかった気がします。だからまぁ、本来の面白さをちゃんと受け取れてたかは微妙ですが。全体的に暗いムードなのも災い。
生命体が集める情報には『人の記憶』も含まれていて、自分の記憶をこの生命体に拾われることは、自分の記憶が生命体のネットワーク内で半永久的に生き続けることを意味します。物語の中では「それは永遠の生命を手に入れることを意味し、この情報集積点を神と呼ぶなら、これこそ神との融合ではないか」なんてことも言われたり。記憶が個を定義するって話は、ちょこちょこ色々な所で出てきますね。記憶、、、うーむ、なるほど。
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前作「時間封鎖」の後日談。
前作では謎のまま終わってしまったことに対して、いくらか解明されたりする。
今回は人捜しの時間が長く、あまりスケールが大きい感じはしなかったが、その分仮定体や第4期についての話を落ち着いて読めたのは良かった。
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前作、時間封鎖の続編です。前作では地球が仮定体と呼ばれる何者か(何か?)にスピン膜で覆われて時間の流れから取り残されるという、ある意味壮大でスケールが大きい設定で物語が進んでいきましたが、本作は主人公の女性とキーとなる少年の視点から、随分と限定された人間関係から話が進んでいきます。それでも舞台は前作のラストで突如として現れた、仮定体のアーチ(ワープ通路)で繋がれた別の惑星を中心に進んでいきます。そして前作の3人の主人公であるタイラー、ダイアン、ジェイスンも時には主要なキーマンとして、あるいは伝説の人間として登場します。それもそのはずで、本作は前作よりほんの30年後を描いているので、前作の読者ならお分かりの通り第四期の人類はまだまだ健在であるということです。
しかし、この作者の凄いところは前作もそうだったのですが、人物描写や心理の描き方も丁寧で、単なるSFではなく並行して良品な人生の物語を読んでいる感じで、一冊でSFと人間ストーリーの2つを楽しめている気がします。前作の壮大な設定、火星をテラフォーミングして火星人類まで登場するダイナミックさからは、本作は地味で物語の展開にスピード感がないと感じる人も多いようですが、壮大な仮定体の正体を垣間見せるラストやそれにいたる伏線の張り方は絶妙で、私は飽きずに最後まで読み切りました。そして、本作の続編にて三部作のラストとなるVORTEXに繋がる種まきもしっかりなされているようです(恐らくは第五期と名付けられた仮定体に記憶された人々でしょう)。本当に続きを早く読みたくなる久々の大長編SFですね!