- 販売開始日: 2017/08/22
- 出版社: 復刊ドットコム
- ISBN:978-4-8354-4580-9
電波オデッセイ vol.1
著者 永野のりこ
壊れ、放棄された家庭の跡に、ひとり取り残された少女・原純子。 引きこもり、学校からも社会からも消えかけようとしていた彼女の心に、 受信された電波のように、オデッセイと名乗...
電波オデッセイ vol.1
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商品説明
壊れ、放棄された家庭の跡に、ひとり取り残された少女・原純子。
引きこもり、学校からも社会からも消えかけようとしていた彼女の心に、
受信された電波のように、オデッセイと名乗る者からの声が届いた。
彼女は<地球へ来た旅行者>で、いつかここを去る時に<おみやげ>を持ち帰れる、
だからこの世界を楽しんでステキな何かをおみやげにすればいいと。
彼の言葉に支えられ、原は再び学校へ通いはじめるが、“旅行者”として何事も
楽しもうとする彼女の破天荒な行動は周囲に波紋を起こす――。
繊細な少年少女の心情と日々の葛藤、そしてその成長を描いた傑作の第1巻が
12ページの描き下ろし漫画つきで登場。
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書店員レビュー
待っていた人は多いは...
ジュンク堂書店藤沢店さん
待っていた人は多いはず・・・
待望の復刊です!!!
虐待、いじめ・・・
生きるのがつらいと思っている少年少女たちの何人かは
確実に救える作品だと思います。
とはいっても、よくある変に教育書クサい内容ではなく
作者もそういう少年少女と同じモノをもっていたからこそ描ける、
彼らの“内側”をリアルに体験する感覚・・・。
周りにそういう子がいる人にこそ読んでほしい。
藤沢店コミック担当
先日、待ちきれなくて...
ジュンク堂書店千日前店さん
先日、待ちきれなくて旧版でお薦めしてしまいましたが……。
復刊です。
遂に発売しました!
もう一度お薦めしますよ……!
辛い現実に対し妄想的存在を創り上げ、意識の転換を図ったひとりの少女。
彼女の破天荒な行動が起こす波紋によって浮き上がる、彼女や周囲の悩みや心の闇。
そして射す光。
イジメやネグレクト、拒食症。
学校や家庭、恋愛などの思春期の悩み。
「少年少女が抱える心の闇とその克服」という、少し重たいテーマを描いたこの作品。
「ドタバタなギャグ」という「道化性」でコーティングしたそれは、少し違いますがケアリング・クラウンのよう……だなんて少し言い過ぎでしょうか?
きっと今でもこの作品を大切にしている人は居て、そして今、この作品を必要としている子はたくさん居ると思うんです。
そんな、誰かの為に。
その手元に届き、目に触れますように。
だからこその復刊、なのかも知れませんね。
帯には「尾木ママ」こと尾木直樹さんのコメント付き。
教育に携わる方にも。
一度この漫画を手に取ってみては如何でしょうか。
(卯)
おかえりなさい、オデッセイ!
2011/04/02 01:27
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:AQUIZ - この投稿者のレビュー一覧を見る
帰って来てくれないと困る本が、無事に帰って来てくれました。
「出版:復刊ドットコム」をご覧頂ければ、本作品を初めて目にされた方も経緯を想像できるのでは。残念ながら、一度は絶版になってしまった作品でした。
1995〜1999年に連載されていた、物凄く古いのでもなく、最近の…とは云えない時期の作品です。あまりに古くて入手困難と云う性質でもないわけで、残念ながら、埋もれて消えてしまったのです。
これが復刊された、と云う意味。
内容を知っているのは、当時の読者と、今でも繰り返し読み続けている永野のりこファン=「ナガノ者」が大半でしょう。旧版の単行本を当然ながら持っている(自分を含めた)人間です。
例え持っていようとも、この作品は新たな読者の手に届く場所にあって欲しいのです。
この作品中で描かれた、深刻な虐待やいじめ、主には少年少女の身に起こる様々な社会問題は、悲しい暗い出来事です。
こうしたテーマを感動的な悲劇として、当事者では「ない」読み手が上から見下ろして同情を振りまくためだけの作品を、永野先生は描かれません。
正に今、辛い場所、「みんな」から阻害された場所にいる当人が。
そして、そこから何とか抜け出したけれど、いつも「あの時」が背後にいる人々が、締め切った暗い部屋のドアを「ほんの少し」開けてみるだけの勇気を持てるような作品です。
本作や、永野先生のギャグが主体である他の作品さえも、長年、心の支えにしてきた「ナガノ者」が大勢居ると思います。どこか遠くの「暗い部屋の誰か」に届けたくて、この作品は帰ってきたのでしょう。
蛇足ながら、「ナガノ者」仲間の方々へ付け加えるとすれば、描き下ろしは何と12ページ。旧版をお持ちでも、ぜひ手に取りましょう。
中学生の抱える問題と繊細な心
2013/10/19 01:29
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あずきとぎ - この投稿者のレビュー一覧を見る
1995~99年に「コミックビーム」に連載されていた作品。
2011年に、全3巻で復刊された。
主人公の原純子(スミコ)は、中学2年生。
夏休みの登校日に登校せず、そのまま不登校が2カ月続いていた。
誰にも伝えることのできない、言葉にならない不安感に襲われ、部屋に籠る純子。
自室に籠りながら、ここではないどこかへ「帰りたい」と願う純子の前に、オデッセイと名乗る謎の人物が現れる。
彼は、純子が、地球に来ている「観光客(パッセンジャー)」だと告げる。
いつか彼方へ帰る日まで、心の中に「おみやげ」となるものを見つけるのだと。
心残りのないように「ここ」を楽しんでみたら、というオデッセイの言葉に納得した純子は、「おみやげ」を見つけるべくいろいろなものを観ようと、翌日から再び登校し始める。
「オデッセイ」は、純子にしか姿が見えず、またその声も純子にしか聞こえないという電波(?)のような存在。
だから、「電波オデッセイ」。
作品のテーマは、この年代の子どもたちの傷つきやすく繊細な心理だ。
そして、いじめ、自殺(願望)、ネグレクト、児童虐待などが取り上げられている。
登場する子どもたちは、皆それぞれにコンプレックスやトラウマを抱えており、心が不安定で落ち込んだり折れそうになったりする。
自我が確立されていず、「自分」に自信が持てないため、些細なことでも大きなダメージを受けてしまう。
壊れやすく感じやすい思春期の心理が、とてもよく表現されていると思う。
テーマは重いかも知れないが、そこにうまくギャグやコメディー要素を挟み込み、バランスを保っている。
そして、どれだけストーリーが暗く重い方向にいっても、必ずそこに明るい見通しと答えが示される。
いじめにあったり、トラウマに苛まれ落ち込んでいたりした子どもたちも、皆それなりに前を向いて立ち直っていく。
作者の優しい視点が感じられるところだ。
各学校の図書室に1セットずつ置いてほしい作品。