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紙の本
女ひとりの巴里ぐらし (河出文庫)
著者 石井 好子 (著)
一九五〇年代のパリ—戦後の芸術文化が華やかに咲き誇った街で、日本人歌手としてモンマルトルのキャバレー“ナチュリスト”の主役をつとめた著者による自伝的エッセイ。楽屋生活の悲...
女ひとりの巴里ぐらし (河出文庫)
女ひとりの巴里ぐらし
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商品説明
一九五〇年代のパリ—戦後の芸術文化が華やかに咲き誇った街で、日本人歌手としてモンマルトルのキャバレー“ナチュリスト”の主役をつとめた著者による自伝的エッセイ。楽屋生活の悲喜こもごもや、まだ下町らしさの残るパリでの暮らしを、女性ならではの細やかな筆致で生き生きと描く。【「BOOK」データベースの商品解説】
キャバレー文化華やかな一九五〇年代のパリ、モンマルトルで一年間主役をはった著者の自伝的エッセイ。楽屋での芸人たちの悲喜交々、下町風情の残る街での暮らしぶりを生き生きと綴る。三島由紀夫推薦。【本の内容】
著者紹介
石井 好子
- 略歴
- 1922年東京生まれ。52年、パリでシャンソン歌手としてデビュー。各国の舞台に出演し、帰国後はエッセイストとしても活躍。『巴里の空の下オムレツのにおいは流れる』(河出文庫)等著書多数。2010年逝去。
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紙の本
ハンサムガールというよりは、男前とよびたい。
2011/12/06 20:34
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:きゃべつちょうちょ - この投稿者のレビュー一覧を見る
初出は1955年で、鱒書房から発刊されていたもの。
石井好子の処女作である。
これは1953年5月から、1954年4月末日までの
石井好子が楽屋でつけていた日記がもとになっている。
石井好子は1951年にパリでシャンソン歌手としてデビューしたが、
(このことは文春文庫の「パリ仕込みお料理ノート」に詳しく書かれている)
その後、ベルギー、スペイン、イタリア、ドイツと、
ヨーロッパじゅうを歌い歩くことになる。
しかし、フランス語もままならず、次々に異国の公会堂で歌う暮らしに
石井好子は虚しさを覚え始めていた。
わたしは、やはりパリで歌いたいのだ。
暮らしのためにパリを離れるほかなかったけれど、
やはりパリへ戻ろう。
そんなふうに、決意を固めるところから、この物語ははじまる。
物語といったが、これは石井好子の半自伝的エッセイである。
しかし、まるで一篇の長篇小説を読んでいるかのように、
鮮やかに人間模様が綴られていく。そうだ、これはまぎれもない物語だ。
パリ。モンマルトルの、華やかな、人情あふれる、そしてせつない、物語。
石井好子はパリへ戻ってから、モンマルトルの有名なキャバレーと契約する。
1年間、365日。休日が1度もない契約。
夜の10時からはじまって明け方の3時半までつづくレビュの歌い手として。
そのキャバレーはパリの歓楽街ピガール広場の1番地にあった。
過酷なスケジュール、猥雑な環境のなかでも、石井好子は常に誇りを持っていた。
『自分の心を込めた仕事』に対して。そして役割をまっとうしたのだった。
石井好子が契約を結んだ「ナチュリスト」という店のレビュには、
男女4人ずつのアルティストと15人の踊り子、15人のマヌカンたちが出演していた。
このほかにもちろん楽隊があり、観客席では女給がチップ目当てに立ち働く。
ちなみにマヌカンというのは露出度の高い、若く美しい女性たちで、
レビュに花を添えるが、踊りはあまり重要視されない。
ほんとうに踊るために出演する踊り子たちとははっきり線がひかれている。
そしてアルティストたちと踊り子たちにもはっきりと線がひかれていた。
パリのキャバレーがどういうところなのか、これを読むとわかる。
そしてレビュ(出し物)のときの熱気や興奮までもが伝わってくるし、
そこに出演している人々の色々な事情までもが描かれているのだ。
アルティストというのは、ソリストととでもいったらよいのだろうか。
6場面あるレビュのなかで、それぞれ見せ場を持つ主役たち。
たとえば石井好子は日本の場面で妙な衣装を身に着け『蘇州夜曲』をうたう。
石井好子のほかアルティストをつとめるのは
スペイン人のカルメン(その名のとおりフラメンコを踊る)、
フランス人の歌手リュシェンヌ、イタリア人のアクロバットダンサー、ジョイアナ。
パリの夜は国際色もゆたかに、彩られていくのだった。
4人のアルティストたちはおなじ楽屋をつかい、長い時間を共に過ごす。
ものの考えかたがまるで違うので対立することも多かったが、
それぞれが本音をぶつけ合えた、と石井好子は書いている。
とくにリュシェンヌとは仲がよく、休憩時間に一緒に食事に出たりしていた。
そしてときには店の愚痴や、踊り子やマヌカンたちの噂話に花を咲かせる。
それにしても365日オフがないとは、なんというハードワークだろう。
異国で、しかも外国の人ばかりに囲まれて、
立派に主役歌手をつとめた彼女の歴史に、あらためて感動する。
まだまだ日本人がフランスでそんなに活躍しなかったころに。
パリへ戻る決意を固めるところからスタートした物語は、
このキャバレーとの契約の最終日、レビュの千秋楽のようすを描いて幕を閉じる。
アルティストたちは契約終了が迫った3月がくると、楽屋でカウントダウンを始めた。
夜の10時から朝の3時半まで歌い続けた毎晩の仕事は、決して生やさしいものではない。
石井好子は、でも、私はへこたれなかった。自分を甘やかしもしなかったつもりだ。
と綴っている。そして、指折りかぞえて楽しみに待っていた千秋楽の当日は、
『拍子抜けしたような、淋しい気持ち』になったそうだ。
大きな仕事をやり終えたときの爽快感ではなく、まるで文化祭が終わってしまったような、
ぽつんとしたがっかりする気持ちを表現しているところが、石井好子らしいなと思った。
憧れの地で、自分の足でふんばってきっちりと暮らしていたシャンソン歌手の名は
これからもずっと語りつがれ、彼女の書いたものは彼女の歌と共に永遠なのだ。
紙の本
世界の舞台に立ったシャンソン歌手、石井好子氏の1950年代のパリの一人暮らしを振り返った自伝的エッセイ集です!
2020/06/25 10:52
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、シャンソン歌手として世界中の舞台に立ち、その後、エッセイストとしても活躍された石井好子氏の自伝的エッセイ集です。同書には、1950年代の芸術文化が華やかに咲き誇ったフランスのパリの街で、日本人歌手としてモンマルトルのキャバレー「ナチュリスト」の主役をつとめた頃の体験が生き生きと描かれています。楽屋生活の悲喜こもごもや、まだ下町らしさの残るパリでの暮らしが、著者ならではの細やかな筆致で読者の心に届きます。同書では、「女の部屋」、「舞台裏の女たち」、「わたしの巴里祭」、「嘆きのリュシェンヌ」、「ナチュリストの客席」、「パリで一番のお尻」、「シャンソンの街」、「憧れのダミア」、「ニースの一夜」、「パリジェンヌの素顔」といったテーマで素敵な話が次々に繰り出されます。
紙の本
観察眼
2019/10/20 20:34
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
石井好子さんの料理エッセイが好きでこちらも読みましたが、パリで歌手として働いた日々がとても興味深いです。同僚のこと、劇場で働く人のこと、細やかな観察眼が凄いです。