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- カテゴリ:一般
- 発売日:2015/01/15
- 出版社: 光文社
- サイズ:18cm/265p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-334-92987-9
読割 50
紙の本
心臓異色
著者 中島 たい子 (著)
レコード、車、家、ロボット…誰かの想いを宿した“古いもの”たちが伝える、すこし不思議な作品集。【「BOOK」データベースの商品解説】ユーズド人工心臓を移植してから、食べ物...
心臓異色
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商品説明
レコード、車、家、ロボット…誰かの想いを宿した“古いもの”たちが伝える、すこし不思議な作品集。【「BOOK」データベースの商品解説】
ユーズド人工心臓を移植してから、食べ物の好みや行動が変わってしまった男。その心臓の前のオーナーをたどってみると…。表題作をはじめ全7編を収録。どこか懐かしくてすこし不思議な作品集。『小説宝石』掲載等を単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
家を盗んだ男 | 5−42 | |
---|---|---|
ディーラー・イン・ザ・トワイライト | 43−69 | |
それが進化 | 71−104 |
著者紹介
中島 たい子
- 略歴
- 〈中島たい子〉1969年東京都生まれ。多摩美術大学卒業。放送作家、脚本家を経て、「漢方小説」ですばる文学賞を受賞。他の著書に「建てて、いい?」「ハッピー・チョイス」など。
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紙の本
ストーリーと登場人物の性格が魅力的で、その上不思議テイストあり、ひねったユーモアありの素敵な短編集
2015/08/22 18:18
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投稿者:紗螺 - この投稿者のレビュー一覧を見る
いい意味で予想外の作品だった。少し変わったことが起こる話、ぐらいに考えていたのだが、設定がそもそも現代ではなく、とんでもない技術が当たり前になっている世の中のお話がほとんど。かといって話の主眼はSF的要素にあるのではなく、あくまでそういう変わったことを生かしている、という雰囲気に好感が持てる。
7つの作品それぞれによかったが、特に気に入ったのは「それが進化」「踊るスタジアム」だろうか。「それが進化」ではアイポンという万能の機械を人々が使う世の中で、何十年も前の歩けるだけのロボットに主人公が魅せられる。旧型ロボットにまず主人公が、そして最初はそれを粗大ごみ扱いしてた奥さんも惹きつけられて手放せなくなる、そして最後にそのロボットが声を出すという小さな進化を見せる…というのがいい。高度な機械を生み出しておきながら、そのわずらわしさを感じるようになる皮肉もこめられている話。
「踊るスタジアム」は貧乏な国が国際的なスポーツ競技をやることになるが、スタジアムをつくるなんて到底無理、ということで苦肉の策で映像でごまかすのだが、延長戦に入ったところで映像のトリックが解けてしまう話。ところがスタジアムの一部が崩れてさあ大変、と思ったらその下には…という、アクシデントの重なる一連の出来事を寓話タッチで描いた話。かつての贅沢の末に現在はどうしようもなく金がないという国のペーソスをにじませながらも話の雰囲気は明るく、純粋にお話として楽しめる。出てくる人物が皆好人物なのがいい。貧乏生活の中でも明るさを失っていない人々や純粋に大会を楽しみにする子どもの姿が、厭味なく描かれているのは寓話的な書き方だからこそ。
2つの作品を例に挙げたが、他の作品もユーモアやウィットが感じられて心地よかった。しかも、基本的には独立した短編の集まりなのだが、最後に小さな繋がりがあることが判明する。それを知った時の楽しさも大きかった。