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- カテゴリ:一般
- 発売日:2015/05/26
- 出版社: 講談社
- サイズ:20cm/213p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-06-219478-5
紙の本
東京藝大物語
著者 茂木 健一郎 (著)
明日のアーティストを目指し、才能が集う「東京藝術大学」。講師として赴任した語り手が、そこで目にしたものは!?いつも赤ら顔をてかてかさせているジャガー。鳩のように首を動かし...
東京藝大物語
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商品説明
明日のアーティストを目指し、才能が集う「東京藝術大学」。講師として赴任した語り手が、そこで目にしたものは!?いつも赤ら顔をてかてかさせているジャガー。鳩のように首を動かしながら、ぎこちなく喋るハト沼。突如として全身で芸術を語り、狂乱する杉ちゃん。藝大を出ても、成功するのは十年に一人といわれる世界で、何者かであろうとあがく学生たち。ヘンタイにはなれても、テンサイにはなれない!?芸術を夢見て生きる学生たちの葛藤と不器用な闘い。著者が講師として五年間を過ごした東京藝術大学を舞台に、彼らが日夜起こす事件に驚きながら、共に生きた時間をあたたかな眼差しで綴る「120%の青春小説」。【「BOOK」データベースの商品解説】
ヘンタイにはなれても、テンサイにはなれない!? 著者が講師として5年間を過ごした東京藝術大学を舞台に、芸術を夢見て生きる学生たちが日夜起こす事件に驚きながら、共に生きた時間をあたたかな眼差しで綴る青春小説。【「TRC MARC」の商品解説】
明日のアーティストを目指し、全国から才能が集う「東京藝術大学」。講師として赴任した語り部が、そこで目にしたものは!?
赤ら顔でへらへらと近づいてくる「ジャガー」、鳩のように首を動かしながらポツポツと話す「ハッスン」、突然よくわからない行動を起こし、全身で芸術論を戦わせる「杉ちゃん」……。こいつらいったい何なんだ!?
藝大を出ても、アーティストとして成功できるのは10年に1人といわれる世界で、何者かであろうとあがく学生たちとの交流を、あたたかな眼差しで綴る。
芸術に生きるようとする人たちの葛藤と不器用な戦い。読者に明日の元気をくれる、生の賛歌とも呼ぶべき、「100%の青春小説!」【商品解説】
著者紹介
茂木 健一郎
- 略歴
- 〈茂木健一郎〉1962年東京生まれ。東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程修了。理学博士。ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。「脳と仮想」で第4回小林秀雄賞を受賞。
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紙の本
上野駅上野公園口から上野公園を抜けて美校へ至るところは、ほんとにこんな感じなんだ
2015/08/03 23:44
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルからして大胆。このタイトルだけ見たら、藝大のどんな話なのかと考えてしまう。
しかも、著者はあの茂木健一郎だというのだから、さらに考えてしまう。なぜ、茂木健一郎が藝大なのだ?
まあ、そのあたりは各書評等を見ればわかってしまったのだが。
2002年から5年間、茂木健一郎は東京藝術大学で非常勤講師をしていたそうだ。その時の経験(?)を1冊の本にしたのが、この『東京藝大物語』ということだ。
話の冒頭、JR上野駅から上野公園を抜けて、藝大上野校地に向かうところが描かれている。特別に凝った文章というわけではないのだが、実際にここを歩いたことがある者にとっては、その時の風景が思い出されるわかりやすい書き方がされていて、つい読み込んでいってしまう。
だが、そんなある種の爽やかな印象はここまでだ。
この冒頭から始まって、途中章立てなどの区切りもなく、210ページ余りが一気に語られていく。その語り口は、まさしく茂木健一郎そのものだ。
テレビでも何度も見たり聴いたりしたことがあるし、講演会で直接話を聴いたこともあるが、茂木健一郎の喋り方がそのまま文章になった感じがある。ある種の勢いと言うかスピード感はあるのだが、うっかりすると一方的に話があちらからこちらへ行ってしまうという、そんな感じがそのまま文章になっている。なので、これが一体ノンフィクションなのか、フィクションなのか、よくわからなくなってしまう。
1冊を通して語られるのは、茂木健一郎が非常勤講師となって初めて東京藝大を訪れるところから1年間の、講義や講義に呼んだ各種有名人のエピソード、講義後に学生たちと飲み交わした時のことや、一部学生たちと講義を離れて交歓する姿である。ただし、そこが藝大生。「ジャガー」とあだ名をつけられた四浪学生や、上野公園の鳩を描き続ける「ハト沼」、縄文人的作家活動をする「杉ちゃん」などなど、普通の大学生とはかなり異なる学生たちが登場する。ここで描かれている彼らの行動を見ていると、「さすが藝大生」と言ってしまって良いものか、普通ではないのだ。でも、大学生ってこんなものかもしれないとも思えてしまうところもある。
そう、これは東京藝大というかなり特殊な環境でありながら、やはり大学生として生きている若者たちを描いている青春小説の趣が強い。
ただし、200ページ超の中に1年分のエピソードが収められているので、1つ1つのエピソードが短く、少々薄っぺらな感じがしないでもない。もう少し1つずつのエピソードが書き込まれていると、登場する学生たちのキャラクターがもっと見えて、もっとおもしろかったのではないかと思えてしまう。
そのためには、講義部分はあまり必要なかったかもしれない。初回講義で学生たちに自己紹介代わりに配った「クオリア原理主義」なる宣言文を載せてもらわなくても、ゲスト講師の講義について語ってくれなくても、不思議な学生たちの姿を描いてくれるだけで良かったのではないか。
何て言うことを色々思うのは、実は個人的な事情からかもしれない。
時代は少しずれるのだが、私の身内に東京藝大生がいたのだ。それで、藝大上野校地の様子もわかるし、大浦食堂も、トビカン(東京都立美術館)もわかってしまうのだ。そして、そこにいる学生たちも何人も見てきたのだ。
彼らは確かに藝大生で、他の大学生と違うといえば違うのだが、その違うあたりを茂木健一郎の目を通してみるとどうなのか。それが、少々一方的な語り口だったように思えて残念だ。