紙の本
現在のスパイものとして楽しめた
2021/04/16 22:29
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投稿者:koji - この投稿者のレビュー一覧を見る
私の中では東西冷戦が終わった以降はスパイものは衰退し、
国際陰謀ものではトム・クランシー氏の作品くらいしか思いつきません。
そんな中でイスラエルのモサドをモデルにした諜報機関のエージェントでありながら
優秀な美術修復家という設定の主人公に興味が湧きました。
作者はアメリカ人で元はUPIの記者でのちにCNNでも勤務していたそうです。
ウィキペディアによるとカトリックからユダヤ教に改宗しているようで、
ご本人がユダヤ系かどうか表記はないのですが、
主人公をイスラエル人にしたことにはストーリー上だけの必要性でない、
何か作者の思い入れがあるのかもしれません。
本作品はアメリカでは2014年に出版されているのですが、
この時点でシリアはすでに内戦状態だったのかと他国の不幸に対する
自分の無関心さに呆れながら読んでいました。
同じ主人公の登場するガブリエル・アロンものはシリーズ化されており、
アメリカでは2019年の時点で19作品も出ている人気シリーズのようです。
日本では第1〜4作までと14〜18作目がそれぞれ違う出版社から出ていて、
出版順に読むことが無理なようでシリーズ14作目のあたる本作が
結構面白かっただけに残念です。
電子書籍
設定はなかなかに面白い
2021/07/01 11:04
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投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
諜報員であり美術修復師という設定はなかなかに面白いと感じた。ストーリーとは別に美術修復というもののトリビアが興味深い。登場人物たちの持って回ったようなユーモアをたたえた話しぶりがいかにも翻訳物っぽくてそれなりに面白い。
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ブクログからの献本。
シリア・イスラエルなどが絡む諜報員ガブリエル。シリーズものだと知らなかったので、読み始めは少しまごつく。
どこまでがノンフィクションなのかと読み進めながらも考えてしまう。
ガブリエルが美術修復師という設定のため、数々の名画などが出てくる。本書は文字以上に映像で見た方が楽しめそうな気がする。
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(2015.08.09読了)(2015.07.31入手)
原題は The Heist です。Heist を辞書で引いてみると「強盗」「泥棒」「銀行破り」です。
本の内容からすると、「銀行破り」でしょうか?
日本語の題の「亡者のゲーム」は、「金の亡者」のゲームということでしょうか。イスラエルの諜報機関とシリアの諜報機関の金をめぐるゲームといえないこともないのですが、「亡者のゲーム」は、イマイチしっくりこないように思います。
題名からどんな内容だろうと、興味を引く題名にはなっているし、「銀行破り」よりは、内容に近い題名になっているかもしれません。
ハーパーBOOKSは、この本で二冊目です。前に読んだ「毒見師イレーナ」は、530頁ほどありました。この本も580頁ほどあります。手軽に手にとるには、ちょっと躊躇しそうです。それぞれ、好みにあえば、面白くて読み切れると思います。
この本は、絵画が好きな方、諜報員ものの好きな方には面白く読めると思います。
物語の舞台は、イタリア、スイス、オーストリア、ドイツ、フランス、イギリス、イスラエル、シリア、等、目まぐるしく替わります。アラブの春やシリアの内戦の話が出てきますので、現在の国際情勢が、リアルタイムで反映されているかのようです。フィクションではなく、ノンフィクションではないかと錯覚してしまいそうです。
主人公は、表向きは絵画修復師で、実は、イスラエルの諜報機関〈オフィス〉のリーダーであるガブリエル・アロンです。ガブリエル・アロンを主人公としたシリーズは、14作あって、この作品は、14作目の最新作(2014年)とのことです。続き物ではなく、一作読みきりなので、ほかの作品を読んでなくても十分楽しめます。日本語訳は、第1作から第4作まで、論創社から単行本で出ているそうですが、第5作から第13作までは、未訳です。
この本の評判が良ければ、値段の手ごろな文庫本で、でてくることでしょう。
物語は、美術商や壁画の修復師などの話から始まり、名画の盗難や名画の偽物などの話が続きますので、イスラエルの諜報機関の人間がいったい名画の盗難の話にどうかかわるのだろうと思って読んでいったのですが、絵の話が、いつの間にか、権力者の不正蓄財の話に代わってゆきます。
絵画が好きなので、原田マハの「楽園のカンヴァス」みたいな話なのかと読み進めたのですが、途中から、スパイアクションものに変貌して行きました。
いまどきの話ですので、ケータイにソフトを入れて、盗聴したり、GPS機能で、追跡したり、パソコンのハッキングでお金を操作したりと、見えにくい世界での戦いが主役的になります。
スパイアクションの話が終わったと思ったら、最後に、また絵の話に戻って、終わりになりました。やれやれです。
【目次】
序文
第一部 明暗
第二部 ひまわり
第三部 開かれた窓
第四部 対価
第五部 最後の窓
著者ノート
謝辞
訳者あとがき
解説 三橋曉
●人生(97頁)
人生と同じく諜報活動の世界でも、ときには清廉潔白から程遠い人物を相手にする必要がある。テロリストをつかまえるのに最適の方法は、ほかのテロリストを情報源とし���雇うことだ。泥棒を捕まえるときも同じだ。
●シリア大統領(251頁)
「悲惨な内戦を指揮してきた男、自国民に対して、残忍な拷問、無差別砲撃、化学兵器の使用を行ってきた男。その男はエジプトのムバラク大統領が刑務所に収監されるのを目にし、リビアのカダフィ大佐が血に飢えた群集になぶり殺しにされるのを見た。その結果、政権が崩壊したときにわが身に何が起きるかを危惧するようになった。」
●金のため(256頁)
なんのために? 支配者一族はなぜ権力にしがみつくのか。なぜ大規模な殺戮を行っているのか。信仰のため? 理想のため? 理想などどこにもない。率直に言って、シリアという国ももう存在しない。
●ハマーのルール(301頁)
1982年2月2日の早朝に、治安部隊が恐怖の秘密警察ムハバラートの隊員数百名をひきつれてこの街に入った。そのあとで起きたのは、現代中東史でもっとも残忍といわれる虐殺で、狂乱状態の殺戮、拷問、破壊が一か月も続いて少なくとも二万人が殺害され、街は瓦礫の山と化した。大統領は虐殺をけっして否定せず、死者の数について言い逃れをしようともしなかった。
●ネットの時代(321頁)
デカルトがいまの時代に生きていたら、〝我ツイッターをする。故に我あり〟と書いたかもしれない。
☆関連図書(既読)
「毒見師イレーナ」マリア・V・スナイダー著・渡辺由佳里訳、ハーパーBOOKS、2015.07.25
(2015年8月11日・記)
(「BOOK」データベースより)amazon
イタリアのコモ湖で英国人実業家が惨殺された。被害者は美術品密売の噂がささやかれる元スパイ。死の直前、幻の名画を手に入れていたらしい。国家治安警察の将軍から極秘裏に捜査協力を頼まれたガブリエルは、ヨーロッパを股にかけた謀略のゲームの裏に、ある独裁者の不穏な陰を嗅ぎ取るが―世界一流の美術修復師にしてイスラエル最強のエージェント、“ガブリエル・アロン・シリーズ”!
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読み終わるまでにかなり時間がかかりました。それだけ内容が詰まった一冊です。
スパイが活躍する作品は総じて好きなのですが、その中でも上位に位置する作品になりました。美術系と絡めて物語が進行し、美術が好きな私にとってはとても興味のそそられる作品でした。
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ブクログさんから献本企画でいただきました。(最近の当選率の高さに自分でも驚愕!)とにかくまずガブリエルが格好いい。なんでスパイというものは揃いも揃っていい男なんだろう。(あとやたらと女に優しい)
ヨーロッパを股に掛けて、次々と舞台が変わり、謎が謎を呼び、ついでに死体も増える。
それでもこのラストの清々しさは分厚い文庫を持ち続けた腕の筋肉痛を忘れさせてくれます。
美術修復師という副業がまたいいですよね。
ぜひぜひ大型スクリーンでガブリエルの活躍を見てみたいものです。ヨーロッパの美しい街並みと色男。想像だけでお腹いっぱい。
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2015年9月8日読了。ブクログの献本企画で当選した本。ヴェネツィアで絵画の修復師を営むガブリエルだが、有名絵画の盗難に絡む殺人事件の裏を探るべく、元スパイとしてのキャリアを再開させていく・・・。やたら登場人物の経歴や過去の事件に関する言及が多い小説だと思ったらこれがシリーズ14作目なのだとか。前半は少々かったるくも感じるが、チームを組み諜報活動を開始する中盤から非常にスリリングで面白くなってくる。絵画の闇取引やロシア・シリアらの裏金、民族大虐殺、SNSなどからターゲットの情報を引き出す手口など異様なリアリティがあり面白い。アクション要素のないミッション・インポッシブル、というところか・・・?ただ事件の裏が明らかになっていき、ガブリエルのターゲットが大きくなるにつれて「あれ?そもそも彼らの目的って何だったっけ?」と筋を追えなくなってしまった。ある人物にとって命よりも大事なものとは何だろうか、金なのか自分の属する民族の誇りなのか、愛する人なのか。それとも職業・立場なのだろうか。
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壮大な作品で、読了にかなり時間がかかりました。でも、読み終えた充足感に浸っています。細部にわたってじっくり見据えないではいられない重厚さでした。アクションや戦闘に頼らない、本来のスパイ小説の醍醐味を味わった満足感でいっぱいです。盗難画を探すところから中東を舞台にした作戦へと移り、再び絵画へとストーリーか収束していく構成は素晴らしいです。美術好きなので、絵画修復師という主人公の職業(副業?)も魅力的。次からつぎへと名作の話題が出て来てわくわくしました。ブクログさんのプレゼントで今回読むことができました。ダニエル・シルヴァの作品は初めてです。素晴らしい作品を読ませていただき、またこのような読み応えのある作家作品に出会わせていただき、心から感謝します。ブクログさん、ありがとうございました!
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ブクログの献本でプレゼントされた本なので何の知識も入れずに読みました。
感想は一言で言うと「大変面白かった!」です。
シリーズものらしいのですが、私は初めて読むので登場人物の背景を1人ひとり想像しながら読み進めていったので名前を把握するのにちょっと苦労しましたが、自分の中で「もし映画化されたら」と配役を思い浮かべてみる楽しみがありました。
あくまでフィクションだということを著者のあとがきでしっかり書かれてはいますが、いかにも実際にありそう、起こりそうという気がしてきてどこまでが本当の話でどれが架空のことなのかわからないところが魅力なのかもしれません。
また続編が出たら必ず読みたいと思いました。新作(訳)が楽しみです。
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失われた絵画の話を中心に進むのかと思いきや、サスペンス色の強い作品になっていく。
次々と連鎖していく謎解きが前半の山場かな。
途中からとんでもない方向に話が進み出す。
ストーリーはややご都合主義的だが、どんどん引き込まれていく展開になっている。そこは作者の力量なのだろう。
全体的には面白かった。
海外では、主人公のガブリエル・アロンでシリーズになっているようだが、心優しき主人公の過去の物語やこの後の物語も読んでみたくなった。
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イタリアのコモ湖で英国人実業家が惨殺された。被害者は美術品密売の噂がささやかれる元スパイ。死の直前、幻の名画を手に入れていたらしい。国家治安警察の将軍から極秘裏に捜査協力を頼まれたガブリエルは、ヨーロッパを股にかけた謀略のゲームの裏に、ある独裁者の不穏な陰を嗅ぎ取るが―世界一流の美術修復師にしてイスラエル最強のエージェント、“ガブリエル・アロン・シリーズ”!
著者の作品を読むのは、確か四作目。ガブリエル・アロンののシリーズは14作目にあたるそうだが、私は去年の「ブラック・ウィドウ」しか読んでいない。アクション控えめ、地味目の展開。
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総じて、面白かった。
中盤から後半の作戦が展開するあたりはスリリング。
序盤の回りくどいウィットに富んだ表現を多用するのは、もう文化的に仕方ない。
最終的にガツンと敵をやっつけてもらいたいが、取引で妥当なところで決着を取っていくところはなかなかリアリティーある流れではないか。
前の作品を順次読みたく成った。
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ダニエル・シルヴァは初めて読む。シリーズ14作目とあって、案の定関係者や仲間がゾロゾロさらりと出てきて、名前を覚えようにも擬名まで並べられ識別が大変。更に過去の事件を織り交ぜたり思わせぶりに伏せてみたりのシリーズ物あるあるで、覚悟して読み始めたがちょっと負荷がかかりました。
が、慣れればそれが絶妙のリズムになっていくのだろうから、嫌にならず読み進めていきます。
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スパイ小説のようでもあるが、コミカルな要素もあり、良い意味で期待を裏切られた感じ。
他の作品も楽しみ!