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kojiさんのレビュー一覧

投稿者:koji

455 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

悲しみのイレーヌ

紙の本悲しみのイレーヌ

2015/11/15 01:16

この邦題はいかがなものか?

8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

Travail Soigne  Pierre Lemaitre

「その女アレックス」が大ヒットした作者のデビュー作です。

第4作目にあたる「その女アレックス」が売れ過ぎたので、

編集者か出版社が無理してこの邦題をつけた気がします。

残念ながらフランス語はわからないので、

原題の意味もわからないのですが、

アレックスを先に読んでいるとまだ許されるかもしれませんが、

この邦題はこの本を読む楽しみを幾ばくか損なっていると思います。

私自身はこの作品も方がアレックスよりも面白いと思いました。

登場人物も描き方も細やかで個性が際立っていますし、

物語のテンポというか流れが気持ちよいほどでした。

ミステリーのしての仕掛けもこちらの方が好みです。

おせっかいでしょうが、ルメートルを読みはじめるなら

本作からフランスでの出版順に読まれることをお勧めします。

色々不満ぽいこと書きましたが、

それでもこれも本作が素晴らしく面白い作品だったからこそ感じたものです。

ミステリー好きな方ならなおさらお勧めします、

いいですよ、これ!

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紙の本

あなたの人生の物語

紙の本あなたの人生の物語

2018/06/07 01:37

映画とは別ものだと思う

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2017年に公開された映画「メッセージ」の原作を含む短編集。
映画を観て以来読みたいと思っていたのですが、ほぼ1年後にやっと読みました。
この小説は映画よりももっと情緒豊かで、感性や感情に対して作用してくる作品でした。

収録作は

バビロンの塔 Tower of Babylon

理解 Understand

ゼロで割る Division by Zero

あなたの人生の物語 Story of Your Life

七十二文字 Seventy-Two Letters

人類科学の進化 The Evolution of Human Science

地獄とは神の不在なり Hell Is the Absence of God

顔の美醜について ドキュメンタリー Liking What You See : A Documentary

の8編と作者による作品覚え書きです。

この8編がデビューから12年間で作者が書いた全てだということですので、寡作も寡作ですね。

あえて1番好きな作品を選ぶなら「理解」かなぁ。
なんとも言えない緊張感が心地良かったです。
題材としては映画ですがリュック・ベッソンの「ルーシー」2014年や
ニール・バーガーの「リミットレス」2011年などで扱われたもの思い出しましたが、
こちらの小説の発表が1991年ですので、先行しているのですね。

とにかく8編全て甲乙付け難く、時を置かずに何度でも読んでみたくなるものばかりでした。

作者自身は全作品ともSFとして書いたと仰られているようですが、読んだ者としてはあえてジャンル分けする必要さえない、素晴らしい一冊だと思いました。

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紙の本

書楼弔堂 破曉 文庫版

紙の本書楼弔堂 破曉 文庫版

2017/01/27 22:10

この雰囲気

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

これは私の好きな方の京極さんです。
もともと京極さんの本は全て好きなのですが、この作品の持つ雰囲気や話の流れが俗に言われる百鬼夜行シリーズに非常に近い感じがして、堪らなく嬉しかったです。
まるで弔堂主人と高遠のやりとりが京極堂と関口のそれのようで。わざと残りページが減って行くのを惜しむようにゆっくり読んでました(笑)

こんなのを読むとどうしても「鵺の碑」を読みたくなるんですが、京極さん書く気あるんでしょうかね。

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紙の本

漁港の肉子ちゃん

紙の本漁港の肉子ちゃん

2015/04/20 16:10

いい作家に出会えた

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

こうあらねばならない。

こう生きなければならない。

そんなこと意識していないようで、

自分でも知らないうちに囚われているのかもしれないと教えてくれた本でした。

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紙の本

真実の10メートル手前

紙の本真実の10メートル手前

2018/05/06 17:10

読み終えるのがもったいなかった

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

やっぱり読み終えるのがもったいなかった。
もっとゆっくりと一編一編を味わい尽くすように読むべきだったなぁ。

「さよなら妖精」とこの作品の間に「王とサーカス」があるのだけれど、文庫化されるのが何故かこちらが先になったので待てなかった。

「さよなら妖精」で気高く孤高な少女であった太刀洗万智がこんな風な大人になったのかという感嘆すべき喜びを噛み締めながら読んでいました。

それにしても米澤穂信さんの視点や思考の多様性は、いつ読んでも激しく読み手に自省を求めてくると思うのは私だけかな?

今年の8月に「王とサーカス」も文庫化されるようなので、その時に改めて3作を時間経過順に読み直してみることにしよう。

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紙の本

虚実妖怪百物語 序

紙の本虚実妖怪百物語 序

2016/11/22 12:10

一般受けするのかな?

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

この作品は読み手を選ぶでしょうね。
出だしから「帝都物語」ですもん。
私みたいに京極夏彦氏を好きな方や荒俣宏氏・水木しげる氏の作品をはじめ妖怪好きな方は滅茶苦茶楽しいです。

パロディーでもあり、妖怪ものでもあり、世相ものでもありでとにかく盛りだくさんで、この後どう進んでいくのか予想もつかいないのですが楽しいです。

著名人がいっぱい実名で出てこられます。こんな作品を書いて出せるというだけでも、京極夏彦氏が出版業界に於いて大切な売れっ子作家であることの証明でしょうね。

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紙の本

怒り 下

紙の本怒り 下

2016/03/04 10:21

他人ごとにしてませんか?

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

この装幀だけでも書店で平積みされているとインパクトがありますが

中身も相当考えさせられます。

物語の時間設定は現代です。

あくまでもミステリーとしてエンターテイメントとして

読んだ人を楽しませるものとして高い完成度ですが、

その中で投げかけられる私たち社会の問題の多さ深さ!

知的障害者とその家族に対する

母子あるいは父子家庭対する

性的マイノリティに対する

基地問題も含めた沖縄に対する

私たち一人一人の理解と寛容性と共有感への

痛切な問いかけ。

今を真剣に考え直すことを迫ってくる作品でした。

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紙の本

残り全部バケーション

紙の本残り全部バケーション

2016/01/09 21:29

あらすじも帯の一文字も読まずに本編から読みましょう

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

伊坂氏、相変わらずハズレなしで面白いです。

もし読まれる方は本の裏面のあらすじどころか

帯の文字も一切読まずに本編を読み始めることをお勧めします。

こんなに素敵な作家と同じ時代に生きていて

次々と生み出される作品を読めることの幸運に感謝です(笑)

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紙の本

リライト

紙の本リライト

2018/05/20 23:19

出会えてラッキー

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

初見の作家さんです。

タイムパラドックスを扱った時間SFかと思って読み進めるとミステリーとしても楽しめる非常に贅沢な作品でした。

叙述トリックも中々凝っていて面白かったです。
全編で300ページもないのですが、ギッシリと詰まっていて読み始めたら途中で止められない疾走感もあり良くできているなぁと感心するばかり、ダレる所がないのも見事です。

何を書いてもこれから読まれる人の興味を削ぐことになりそうなので、感想はこれぐらいに。

以前はSFと言えばやっぱり海外の作家(今までのマイベストはジェームズ・P・ホーガンの「星を継ぐもの」です)だと思っていたのですが、伊藤計劃氏や円城塔氏に嵌って以降は日本のSFの素晴らしさに遅まきながら気がつき、
そして今では先日読んだ小川一水氏といい、法条遥氏といい凄く楽しめる作品ばかりに出会えて幸せな気分です。

でも最後に一つだけ、
もし友達に「何か面白い小説はない?」って訊かれたら、今なら間違いなくこれを勧めそうです。

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紙の本

宇喜多の捨て嫁

紙の本宇喜多の捨て嫁

2018/05/02 14:24

見事な完成度

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

作者はこれが単行本デビューなんですね。
フリーライターもされていたようですが大学も理工系ですし、こうした作品を物にする素養をどのように鍛え蓄えてきたのかに興味があります。
それにしても素晴らしい才能だと思いました。
この作品以降も次々と新作を発表されているようで、それらを読むのが楽しみで仕方ありません。

6編の短編で構成された長編とでも言うべき凝った作りの作品でした。
歴史小説では案外珍しいスタイルではないでしょうか。

6編それぞれで主人公は変わり、物語の視点が変わることで「宇喜多直家」を様々な角度から見つめることになり、多方面からその人物像が描かれいます。
そのことで、全体を読み通した時に本作品全体の主人公である「宇喜多直家」がありありと浮かび上がるような感じでした。

親殺し、主殺しなど、ある意味徹底した悪名で乱世の梟雄と言われるような武将のありよう、生き方を、読んでいる者に受け入れざるを得ないと思わせる快作でした。

例えば、戦場で敵を殺すことは、味方からみれば正義で勇気ある行動した勇者でありますが、殺された側からは憎んでも憎み切れない許されざる者となる。
真面に戦えば何百もの死人が出るだろうところを、謀をもってだまし討ちとも言える形で殺すことで味方だけでなく敵の死者の数までもを抑えることをを単に卑怯や卑劣だと言うことができるのか?
悪とは何を持って判断するのか?
等エンターテイメントでありながら、とても考えさせられる内容になっています。

不孝・不忠を譏ることは簡単でしょうが、下克上など当たり前の戦国時代と言う、人の命がある意味軽んじられた世の中で生き抜く「宇喜多直家」の覚悟には同情や理解を超えて清々しいものすら感じられる読後でした。

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紙の本

老ヴォールの惑星

紙の本老ヴォールの惑星

2018/05/02 14:09

日本のSFで久々にワクワクした

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

中編4作品からなる一冊です。
4作品どれも甲乙付け難く素晴らしいものばかりでした。
初めて氏の作品に触れた「コロロギ岳から木星トロヤへ」では、少し緩いような、物足りなさを感じたのですが、本作には完全にやられました。

「ギャルナフカの迷宮」
では人の社会性の妙を、興味深い設定の中で淡々と描いて読むものを引き込み

「老ヴォールの惑星」
ではハードSF的な世界観をわずか50ページほどの長さにも関わらず、十二分に展開し、

「幸せになる箱庭」
では異星知性体とのファーストコンタクトから、意識と自我のありようをとてもワクワクする物語として描き

「漂った男」
では孤独ということを本当に真剣に考えさせられる、どこかほのぼのしたユーモアも感じさせながら最後には胸に迫ってくるものがある珠玉の作品だと思いました。


「老ヴォールの惑星」は2003年SFマガジン読者賞
「漂った男」は第37回星雲賞日本短編部門賞受賞
本作品はベストSF 2005 国内編第1位を獲得と内容の素晴らしさに相応しい評価を受けているようです。

私にとって小川氏は、ネットで少し調べてみるとSFというジャンルの中でもかなり多様で幅広い系統の作品を書いておられるようなので、これから是非とも全作品を手に入れて読んでいきたい作家さんになりました。

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紙の本

さよならの手口

紙の本さよならの手口

2017/07/09 19:16

「葉村晶」復活

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

前作「悪いうさぎ」から13年後に出版された今作で「葉村晶」も四十路を迎えていたのですが「静かな炎天」から読み始めた私にはむしろ違和感がなかったです。
この作品も素晴らしいできでした。「悪いうさぎ」の感想で今年読んだ中で最高かもと書きましたが、この作品も甲乙つけがたいです。

「人探し」というたんなる民間人である日本の探偵の仕事として違和感のない依頼を受けて、いつものように地道に粘り強く調査を進める中で様々な謎が次々とでてくるのですが、その一つだけでもストーリーとして十分な作品になりそうなのです。
それをもう惜しげも無くこの一作に詰め込んで、これでもか〜というぐらいのエンターテイメントに仕上がっています。

これで「葉村晶」シリーズを全部読み終えたと思っていたのですが、光文社文庫の「暗い越流」という短編集に「葉村晶」が登場する短編が2作収録されているようなので、これも探してきて読んでみるつもりです。

でも、それを読んでしまうと当分「葉村晶」ものを読めない感じなのでかなり寂しい気分です。

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紙の本

悪いうさぎ

紙の本悪いうさぎ

2017/07/07 14:49

「葉村晶」シリーズ初の長編

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「葉村晶」シリーズ初の長編です。
いや〜〜〜〜〜〜〜〜〜もう最高でした。
さらにクールにさらに魅力的に格好良くなった葉村晶がいました。
自分の弱さも欠点も受け入れ、それでも自分らしく生きることを諦めない姿。

正義を振りかざすことも、他人を批判することもせず、救いの手を求める者に自分ができることを仕事として淡々とこなしていく。
そのことをあくまでもヒロイズムではなく生活の糧を得るための仕事として自覚しているあたりがより魅力的なのかもしれません。

ストーリーは途中に緩みも滞りなく次第に次第に緊張感を高めながら一気にエンディングへ至り、読み終えた時の満足感たるや感動ものでした。

今年になって読んだ中では最高の一作かもしれません。

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紙の本

依頼人は死んだ

紙の本依頼人は死んだ

2017/07/05 17:15

読むほどに「葉村晶」に魅せられていく

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

女探偵「葉村晶」が登場するシリーズの2作目です。
今回も9編の短編から構成されており、各話ともそれぞれ独立して完結していますが最後の1話を読むことで全体を通した1編の長編とも読めるものでした。

この本を読んでいて思うのは「悪意」ってそもそも特別なものだろうかということでした。
向けられた方からすればそれは「悪意」でしかないようなものでも、仕掛けた方は案外そこまでの意識すらない場合、それを避けたり止めたりすることはかなり難しいものになるのかもしれません。
身内も含めて他者に対して「悪意」を持って行動するすることは誰にでもありうることだと思えてしまうので、加害者にも被害者にも簡単になりえることに平穏に暮らすことの困難さを改めて思い知る読後でした。

それにしても「濃紺の悪魔」と「葉村晶」の今後の成り行きがもの凄く気になる作品でした。

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紙の本

太平洋の薔薇 上

紙の本太平洋の薔薇 上

2017/04/14 21:11

当たりを引きました!

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

これはめちゃくちゃ面白いです。
上下巻なので上巻の終わりでもまだまだストーリーを展開させているところなのですが、その中でも見事な間隔で緊張と緩和を繰り返しており、これからどうなっていくのか期待感でページをめくる手が止まりません。

TVや映画のような映像作品だとストーリーが壮大になると制作費が嵩み制約を受けるでしょうが、小説であればこそ作者の筆力次第でいかようにも物語世界を広げることも深めることもできることをこの作品で証明されておられます。
フィクションであるのはもちろん分かって読んでいるのですが、でも素晴らしいリアリティーがあってこの物語世界になんの抵抗感や違和感も抱く余地もなく没頭しています。

上巻を読み終えて、これから読む下巻への期待は嫌が応にも高まってしまいます。
多分、残りページが減っていくことが寂しいような残念なような気持ちになりそうな嬉しい予感がしています。

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