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好きな作家・・・といいつつ、久しぶりに手に取りました。といっても、この本は以前から読みたかった物。 “ノベルズ版の為の前書き”として、作者の言葉で『物語を読むことによって慰めを得たり、安らかな心を得たいという方には、この本は不向きです』とあったので、一瞬躊躇したのですが、読み始めたら止まりませんでした。 ラストは賛否両論あると思います。 ただ、私は(現実の世界では、許されることでは無いけれども)物語の中でなら、この夫婦の行為は許されても良い気がしました。
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作りは精巧。だけれどこの人は女性の内面を描くのがうますぎて、感情移入していると痛い目にあう。底無しの、意味のない悪意に当てられて薄ら寒くなった。
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祝直木賞受賞。そして、北村さんの本初めて読みました。ちょっと食わず嫌いだったかも。そんな方ぜひどうぞ。
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いつも穏やかで温かい作風の北村薫とは違った、悪意が世界観を蹂躙する一冊。そんな世界観の中でも北村薫らしい、人の温かさや凛とした姿が失われずにきちんと残っていたのでほっとしました。
「小説に安らぎや安心を求める人は読まないでください」という趣旨の前書きがありましたが、私は読後にやさしさが残る作品だと思います。
ミステリーとしての構成も好きで、中盤戦後半からのシナリオ展開はかなり意表をつかれました。
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『盤上の敵』いいタイトルだ。
番組制作会社のTVディレクター末永は帰宅途中、自宅周辺に集まるパトカーを目撃する。携帯を片手に家に連絡を入れると知らない男の声が。殺人犯がライフルを片手に我が家に籠城している。この状況で妻を救うためにはどうすればいいか。殺人犯、警察、そしてTV局をも巻き込んだ末永の勝負が始まる。
登場人物をチェスの駒になぞらえるアイディアが効いていて痺れた。
白熱し、勝負あり!と思われたゲームが意外なところで何度もひっくり返され決着がわからない緊張感。伏線も人物描写も丁寧で、犯人が籠城にいたるまでの経過までもが説得力を持って書かれている。
ただそれだけに物語に登場する純然たる悪意には重苦しい気分になるのも確かだ。目を背けたくなるような事柄を直接的に描かないのは、北村さんの品と優しさと筆の巧さだろうが、だからこそのリアリティというものもある。
小説には珍しい前書きにも書かれていたが、通常の北村作品を期待される方には少し趣が違う本のようである。それさえ了承できれば、エンタテインメントの面白さがギュッと詰まった良作だと思う。
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我が家に向かって車を走らせていたテレビ局員・末永純一は突然の光景に愕然とする。なぜ我が家が警察に取り囲まれているのだ!?まさか妻・友貴子の身に何かあったのか?いてもたってもいられず、我が家に電話をすると、出たのは知らない男。猟銃を持って友貴子を人質にとって立てこもったが、警察のせいで逃げられずに膠着状態なのだという。どうしても友貴子を助け出したい末永は、犯人と取引をすることにした。
初めてこの人の作品をおもしろいと思った(爆)。妻を助け出したいはずなのに、勝手に犯人と接触し、テレビ中継に協力し、警察の方針にも従わない。そしてところどころにはさまる少女のエピソードも合わせて、これは主人公の方に何か謎があるのだというのは早々に検討がつくが、それが何なのかがわからず、気になってぐいぐい読み進んだ。見事に騙され、トリックにはなるほどと思ったが、いくら不幸な過去があってもそれは神には許されないと思うし、そこまでかばう程の人物にも思えなかったし、兵頭三季の一連の行動・心情も不可解なことが多いのは腑に落ちなかった。
ちなみにタイトル、表紙の絵共にチェスを連想させるが、チェスは全く出てこない。(タイトルはエラリー・クイーン原案、シオドア・スタージョン作の『盤面の敵』に由来するらしい。)
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※【以下ネタバレ】ネタバレ注意。
自宅に殺人犯が籠城し、妻が人質になる。夫は妻を救うために犯人と取引を進めていくというストーリー。
主人公である夫と妻、犯人をチェスの駒に見立てた章立てがなされており、黒のキングである犯人の行動を皮切りに、白のキングである主人公の現在の行動と、白のクイーンである妻の回想が交互に描かれてストーリーは進んでいきます。
本章に入る前にまえがきとして、「今、物語によって慰めを得たり、安らかな心を得たいという方には、このお話は不向きです。」という注意書きがあるように、妻の回想シーンは不気味さと胸糞悪さの残る話となっています。
チェスでは自陣と同様の駒が敵陣にも配置されています。同じように、この物語でも、はじめは見えてこないものの、敵陣にもキングのほかにクイーンがいるのでした。そのクイーンが現在の中に姿をあらわしはじめるとともに、物語は山場を迎えます。そして、訪れるチェックメイト。
【以下ネタバレ注意】
時系列に並べると、学生時代の妻が黒のクイーンである兵頭と出会い、恐ろしい仕打ちを受ける。妻が主人公と結婚し幸せな生活を送っているところに兵頭の影が忍び寄る。妻が家に脅迫しにきた兵頭を殺害。そこに夫が帰宅。夫は放心している妻をホテルに運び、後始末をしに家に戻ると、家には犯人が立て籠もっていた。犯人は兵頭を主人公の妻と勘違いしている。
この絶妙な配置にある駒を、どうチェックメイトまでもっていくか-。
そして主人公が動き始めます。
これを言ったら何も始まりませんが、この神がかり的なタイミングの設定に、近隣に住む友人が同じ型の車を持っていることなど、ちょっと話に無理があるかなーと思ってしまいました。
加えて、不合理な暴力が絡む話は不快になるので、あまり得意ではないのが、個人的に本書を高く評価することができない要因だろうとも思っています。
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事件は非常に面白い。
文章か雰囲気かは分かりませんが、気分は全く合わず。
なかなか読み進めることができなかった。
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あるサイトで「再読をためらってしまう本」を募っていて、そこに「盤上の敵」が挙げられていました。そんな好奇心から手に取ったのですが、この作品が不向きな人もいるとの作者直々の前書きが。そんなにすごいのかとさらに期待が高まりました。
テレビ・ディレクター末永の自宅に殺人犯が籠城、彼の妻を人質にします。マスコミ関係者という特権を持つ末永は犯人と取引して、自ら妻を救おうとするのですが。
末永の妻というのは複雑な過去を持ち、彼女が末永に過去話したことが独白のような形式で事件の展開の間に挟まれています。
友貴子の話がなんともいえなく重くて、人を不安にさせます。続きを知るのがためらわれるけど、その先を知りたいと思わせるものがありました。
そういえば、「グロテスク」や「ユリゴゴロ」を読んだ時も同じような感覚を覚えました。なんかざわざわするのです。
終盤、末永の作戦は成功したかと思ったら予想外の展開になっていておもしろかったのですが。最終章第5部の友貴子の夢物語でわからなくなってしまいました。この夫婦の今後をどう受け止めればいいのか。この事件をきっかけに過去がすべて生産され新たな友貴子として生まれ変わるというのが、彼女の夢の暗示なのかなとも思いました。
読書前の期待感が強すぎたせいか、じゅうぶん面白かったものの多少の残念感が残りました。
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やっぱりこれは北村薫である。これまであまりにも辛い人生を送ってきた妻のために、
偶然とは言え発生した猟銃強盗事件を、テレビ局の性という体で、乗り越えるためにどうしたらよいのか?
さまざまな立場の人を騙し、お願いし、最も夫婦の良い形に仕上げていく、それをチェスにみたてているわけだが、どちらかというとホワイト側の記述が多く、多少バランス感は悪い。まあ凶悪犯罪ミステリーなのでそれはやむを得ないのかもしれないが。
結局主人公が組んだ作戦は、外から俯瞰しているはずの読者の目をも紛らわせる作戦であった。純一がホワイトキングなのか、北村薫がブラックキングなのか?
読み終えた先には、きっと北村薫の完勝だ!
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自宅に殺人犯が籠城し妻が人質に!夫が妻を救うため策を模索していく話。後半が二転三転して気持ちが落ち着かん。妻の過去は重いし、犯人は不穏なことを言うしどうなる?とハラハラする。夫婦の馴れ初めがほっこりして救い。しりとり可愛い。