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紙の本
犬、猫に続いて今度はロックンロールの創世神話、いやあそれにしてもなんでこんなに人が死ぬんでしょうか?
2006/02/10 20:39
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
正確な言い方はどうかとして、なんともアヴァンギャルド。カバーだけじゃあないんですね、本文の活字のレイアウトとか、太字の入れ方とか、目次の作り方とか、各章の扉とか、頁の汚し方とか、もう、奥付なんか、ここまでやるか!なんて・・・
で、その流れるような画を担当しているのが五木田智央、斬新なブックデザインが芥 陽子(コズフィッシュ)、フォントディレクターが紺野慎一(凸版印刷株式会社)です。ちなみに、ブックデザインの芥ですが(コズフィッシュ)とあります。他社さんの本で申し訳ないんですが、子供のための推理小説のシリーズでミステリランドというのがあります。あの全体を取り仕切っているのが祖父江慎+阿部聡(cozfish)です。この(cozfish)と(コズフィッシュ)は同一のものでしょうか、はたまた表記の通り別物なんでしょうか。うーん、謎は深まる、古川日出男はエライ・・・
で、目次ですが、何処にも目次、なんて書いてありません。ただ巻頭にぶっとい活字で、ロックンロール第一部 007、ロックンロール第二部 049、ロックンロール第三部 097、ロックンロール第四部 135、ロックンロール第五部 181、ロックンロール第六部 235、ロックンロール第七部 275、ロックンロール第〇部 309、とだけあります。凄いです・・・
この目次は詳細も何も分からない。で、巻末に目次にはない補記が載っています。ま、目次があるようなないような作りの本ですから、これを何だ!とはいう気はないんですが、そこに『小説すばる』連載時の各話の原題が出ていますので書いておきます。まず最初が「ロックンロール第一部」です。なんじゃ?と怒らないで下さい。本と違うのはここからです、ホント・・・
次が「青のロックンロール」、そして「ロックンロール鉄道」、以下「泣き言ばかり言ってんなよ、ロックンロール」、「マザー、ロックンロール、ファーザー」、「ロックンロール十段」、「白のロックンロール(ペンギンたちはロックンロールを歌う)」です。これらは本書の自立した子供たちである。ア・ワップ・バップ・ア・ルン・バップ・ア・ラップ・バン・ブーン、だそうです・・・
で、要するにこの本はロックンロール版『ベルカ、吠えないのか』であり、『LOVE』なんですね。大体、第一部の扉の前に載っている言葉
「そして彼は訊いた、君は誰なんだ?」
なんて、『ベルカ』の
「ボリス・エリツィンに捧げる。
おれはあんたの秘密を知っている。」
に完全にシンクロしちゃっているわけです。そして創世神話である、いや神話に必要な語り口を持っている、という点でも同じなんですが、向うには連綿と流れる犬の血脈というのがありました。それは、人間の視点で描かれてはいても『LOVE』も同じです。ところが今回は、一見そのような始まり方をしながら、予想を裏切って展開していきます・・・
第〇部のSPから引用すれば
「ロックンロールに第八部は存在しない。ロックンロールはいま七つの航海を終えた。七つの大陸を流転した。順に数え上げよう。アフリカ大陸。北米大陸。ユーラシア大陸。オーストラリア大陸。インド亜大陸。南米大陸。それから南極大陸。時は一九〇一年一月一日から、二〇〇〇年十二月三十一日まで。たぶんその両端に届いている。念いが旋律になって届いている。
ロックンロール。」
うーん、格好いい・・・
ともかく、古川の豪腕が唸る作品です。こういう小説がどうやって生まれてくるのかは知りませんが、凄い作家がいるモンです。是非、手にしてみてください、ロックンロールの創世神話がそこにあります・・・
紙の本
ロックのルーツを探る旅
2010/05/16 07:45
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:こうじ・1 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ロック創世記からのロックンロールのルーツとそれにまつわる七つの話。
もっとアバンギャルドなものを想像していただけに肩透かしを食らった感じがしました。
しかしながらなかなか歴史的背景を詳しく記述しており、くだけた文体ながら読み進めていくとなかなか内容に深みがあります。
個人的にお気に入りなのが、インド映画界とエルビス・プレスリーに関する話。インド社会の厳しさ、宗教的なもの、正義の味方を渇望する人々の心理や社会情勢が上手く描かれています。
くだけた文体や登場人物のアダ名に四苦八苦して読み進めましたが、インドの話のみならず現代社会の構図を上手く描いていると思います。