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紙の本
WSB的ゴジラ
2013/07/21 08:25
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投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る
1950年にある南洋諸島の一つに、旧日本軍施設を目的にアメリカ海軍の艦船が訪れ、そこで異様な物体を目にする。それは1946年に行われた核実験で眼を覚ました怪物だった。それは長い長い眠りについていたのだが、遂にその本能が目覚める「休眠中」。ゴジラの設定を先取りしたような話だが、その宇宙的スケールの背景への視点の移行がまさにワイドスクリーンバロックだ。
収められている全部の短篇が、ワイドスクリーンバロック。
人類の滅亡した後の地球に宇宙船が訪れる。調査のために地上に残されたミイラを再生させたところ、この地球人がメチャ強い。スーパーサイヤ人級である。地球人として快哉を叫ばずにいられない。ばかばかしいが本当に。破壊と殺戮の予感に血が滾る「怪物」。
恒星間ペンフレンドクラブ(!)を通じて迷い込んだ手紙。その奇妙ではあるが、ただの手紙のやり取りに過ぎないはずの中に、宇宙規模の陰謀が隠されていようとは。「親愛なるペンフレンド」
平凡な少年が経験する、異星人の侵入というささやかな冒険。そうして成長していく少年たちが担う、人類の未来を託す大冒険があった。「音」
火星に不時着した男を迎えたのは、人類に生存可能のように見えるのに、微妙にその存在を拒む世界だった。まだ「生きている」その都市の廃墟で、彼が生き延びるためにとった戦略「魔法の庭」。
アルファケンタウリに向けて、人口冬眠によって数百年の旅をする宇宙船。SFに馴染んでいれば気がつくように、彼らはその後に開発された新しい宇宙船に追い越されてしまう。しかし話はそこだけでは終わらない。飛行士の勇猛な冒険心は、新たな奇跡をもたらす「はるかなりケンタウルス」。など。
新しいテクノロジー、いくらかの勇気、それらはスリリングな冒険物語を生み出すというだけではなく、広大な宇宙、極彩色の未来への窓を一気に開けて、一瞬にして銀河全体を視野に収める巨大スクリーンを映し出す。
1950年前後に空想したテクノロジーではあるが、それとともに人間の心理について、現代で言えば脳科学に相当しそうな深い洞察力によって、人類文明にもたらす影響を爆発的にしていて、まったくこの自由奔放さには現代人も顔色無しである。
21世紀人よ、これがワイドスクリーンバロックだ。
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