投稿元:
レビューを見る
日経新聞、2014年5月7日夕刊。霊柩車、ラブホテル、そして秘宝館。本書は井上の著書ではないが目の付け所が井上らしい。
投稿元:
レビューを見る
「衛生博覧会を求めて」はハードカバー、文庫ともに読了済み、「昭和聖地巡礼」「伊勢エロスの館 元祖国際秘宝館」も視聴済み。
上記の状態で読んで、この本で特に新しいと個人的に気付いた点は、医学的な模型を展示しているのは元祖国際秘宝館のみで、他はアミューズメント的な内容に進んでいることの指摘と、秘宝館は見学者参加的な内容を含んでいることの指摘の二点。
となると衛生博覧会直系といえるのは今は亡き元祖国際秘宝館のみであったことになる。
また、本の中で現在も営業中の秘宝館は熱海と鬼怒川のみになってしまったと書かれているが、この前ニュースで鬼怒川の秘宝館も閉館しそうというのを読んだ。
http://news.livedoor.com/article/detail/8808556/
これが本当なら、残されるのは熱海ただひとつになってしまう。しかも、p.151 の表によると熱海は今でも展示内容の更新が活発に行われているようなので、往年の秘宝館に関する情報というのはこれからどんどん入手しづらくなる恐れがある。
そういう意味でもこの本は貴重だし、こうしたことを研究として行い、本としてまとめることのできる環境というはとても大切だ。
文化というのは基本的になくても生きていく上では困らないものなので、生活に余裕がなくなったり、時代が変わったりするといつの間にか消えてしまっている。秘宝館に関しては、その存在を同時代的に記述できる最後のチャンスが今であるような感じなので、この路線の研究が継続されることを望む。
なお、図版が多く収録されているが、いくつかはかなり見にくいのがおしい。
投稿元:
レビューを見る
失われた「秘宝館」の資料として一級品であると思う。図版も多く見やすい。
統計的資料はよくぞ入手したなあと思う。
投稿元:
レビューを見る
興味はあれどちょっと入りづらい・・
でも昔はあっちこっちにたくさんあったんだな。
今のうちに行っておくべきかも。
投稿元:
レビューを見る
著者はジェンダーを専門とする学者。今は東北大学准教授をされているとか。
だから、裏打ちはされた内容とは思うが、読み物としてはいささか理屈っぽく感じた。
自分は次のように理解した。
古来より日本には「見世物」という風習があった。良くも悪くも。
その中で江戸末期から一部で人気を博していたのが生人形(いきにんぎょう)である。
生人形とは、生きた人間に似せて作られた人形のことで、長く低級な見世物としか認知されていなかったのだが、近年その評価が見直されつつあり、いわゆる明治工芸の超絶技巧と並び、往時の高い技術の遺産という見方が広まってきている。
20世紀になっても、多くの娯楽がなかった時代でもあり、
娯楽の一つとして考えられたということだろうか。
併せて社会的な背景として、秘宝館が立てられ始めたのが1970年代という点に着目している。
それまでは旅行といえば男性が団体で行くものとされていたのが、
技術の発達や社会の高度化により余暇が生まれ、女性も旅行に行くようになってきた時代に重なると著者は言う。
その二つの要因が交わり、男性も女性も楽しめる施設ということで作られるに至ったという。
とはいえ、最後の「じゃあなぜ、性をテーマにした娯楽施設なのか」という点は、やはり腑に落ちない。
ここで自分としての仮説は二つ。
一つは、先の記事にも書いたが、「腑に落ちない」というのはあくまで現代の感覚から来るものであって、
当時としては性に対してもっとおおらかだったため、そういう発想自体は何ら不自然なものではなかったということ。
もう一つは、当時としても多少はエッジの効かせた発想ではあったものの、
結果してこれが残ったということ。
裏を返せば、同時発生的に似たような施設が誕生したものの、
それらは間もなく淘汰されていってしまったという説。
今の若い人には信じられないだろうが、
自分が子供の時分には、夜のゴールデンタイムの番組で、女性の裸が出ていたことも、ざらだったのだ。
そう思うと、前者なのか。。
投稿元:
レビューを見る
学問的観点から見た「秘宝館」の盛衰と意義…て、ところだろうか。
社会人の余暇や女性の社会進出、行動様式の変化などと絡め、70~90年代の盛衰を振り返ったり、明治から大正にかけての衛生博覧会との関連に対してなど、なるほどと頷ける指摘は多い。
だけど、ちょいとエエカッコしすぎているようにも感じた。