紙の本
面白かったです
2022/04/19 16:36
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投稿者:iha - この投稿者のレビュー一覧を見る
食虫植物に魅せられた著者と、その食虫植物仲間たちの交流が描かれたエッセイ作品です。ほぼ内輪ネタであるものの、ほのぼの感はよく出ていたように思います。
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マニアのあれこれ
交換会とか自生地訪問
自宅訪問に農園訪問
果ては食べてみたり、なぜか虫も食べてみたり
栽培スペースに悩み
温度管理に悩み(警備会社と契約する人も)
台風でベランダの棚が倒れたり
関西の泰斗が水草採取中に亡くなってしまう
というあたりも
用土、ミズゴケ、ラベル落ち
サクサク読んで、面白い
私はコバエ対策でネペンテス育てたことがある
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今をさること三十数年前、僕は新静岡センターを訪れるたびに、地下の植物店で売られている食虫植物を親にねだっていた。ねだった甲斐があって、ウツボカズラとハエトリソウを買ってもらった。友だちも巻き込んでハエトリソウを買わせたりした。
だけど、一度も虫を食べているところを見たことがない。頑張ってハエやらカやらを捕まえてウツボカズラに放り込んでみたけれど、虫はいつまでも原型を保っている。
あれは、もしかすると食虫植物を擬態したフェイクだったのだろうか。インターネットどころかパソコン通信も(いや、パソコンさえも)ない時代、小学生に出来るのは図書館で調べることぐらいだったけれど、虫を食べます、ぐらいしか書いていない。周りの大人も誰一人飼育(?)方法を知らない。そのうち枯れちゃった。
と、長い前置き。
本書は食虫植物に魅せられた女子がヒャーヒャーと食虫植物と過ごす日々を綴っているもので、実のところ中身はなかなかまじめというか、いい線いっていると思うのだけど、いかんせん読みづらい。表紙がこんなんですから、カタい内容は期待していないけれど、背景はさまざまな色がつかわれ、文字は丸ゴシックで、そうとう簡単な漢字にもルビが振られている。色とフォントは食虫植物のサイケデリックなイメージで、といわれればやむを得ないとして(スゲーみづらいけど)、ルビはなんなのか。「大雑把」とか「余生」とか「殺菌」とかにルビが振られている。なにか基準があるのかもしれないが…。
と、ちょっと長い苦情。
けれど、中身はほんとうに、なかなかしっとりと食虫植物を追っていていいのです。例によって、対象生物そのものよりも、魅せられた人のおかしさ。
国内の食虫植物団体は全日本プロレスと新日本プロレスのように、二つの相反する団体が存在するのだとか、食虫植物を食ってみる、ついでに食虫植物が食うものを食ってみる、などという如何にもネタやら、自生の食虫植物を探しに行ったり、即売会で火花を散らしたり。
食虫植物のことなんか、長いこと思い出すこともなかったけれど、おかげで昔のいろんなことを思い出した。昔買った食虫植物が枯れなければ、僕もこんな道を歩んでいたのか。静岡の人物が登場する。彼はもしかすると、僕の代わりに食虫植物の奴隷になったのかもしれない。恐ろしい…。