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ペペロンチーノの解説だけで1冊かかった、とありますが、3分の2のページ数がパスタ、残りがソースと作り方に費やされています(文字数だと若干比率が違うようですが)。
著者が行った膨大な回数の実験とその成果を850円(外税)で得られるというのは何とも贅沢な気がします。
あとがきにあるwebを何の気なしに開いてみると、まだ発売して日もないのにもうレシピに微調整が入っています。どんだけ研究熱心なんだ(笑)。
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化学的に追求しているような記載が見られますが最終的には人の感性に拠る結論となっています。結局うまいと感じるかどうかなのでそれでいいんでしょうけど。
この本のレシピを参考にペペロンチーノを作るようになりましたが、確かに今までより美味く作れるようになった気がします。ゆで方だけでも十分参考になるのでレトルトのソースを使う場合でも知識は活用できます。
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男のパスタ道。まさに表題通り。土屋氏の料理本大好きです。
ゆでるときの塩の量、って確かにずっと疑問に思っていたこと。
かなり突っ込んで実験しているのはとてもおもしろい。エクストラバージンオリーブオイルを加熱してはいけない、というのも重要だな。
家族内二重盲検試験を科学的だ、と言ってしまうのは、それはたぶんユーモアだと思うんだけどちょっとね。
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究極のペペロンチーノのために。
麺の太さ、長さ、麺を押し出すダイスの種類。
茹で時間、水の硬度、水の量、水から茹でるか、沸騰してからか、最近では水につけておくと言う技も有る。そして圧力鍋も。茹でる時の塩の種類、濃度も問題だ。
これらを解決する方法は実験と食べ比べだ。しかも二重盲検試験と言う方法で予め答えが分からない様にして家族4人で食べている。あまり美味しく無い時は如何なものかと思わぬでもないがそれで本が1冊かけるならやって見ても面白い。
第1章では小麦粉をたんぱく質とデンプンにわけ、それぞれを別々に茹でることでアルデンテとコシの違いをはっきりさせる。うどんの場合アルデンテにはならないがコシは有る。違いは使う小麦粉に含まれるたんぱく質の量。そして吸水率や表面から芯までの吸水率の勾配が歯ごたえに違いを生む。乾麵を使って生麺の様な歯ごたえを作る方法が見つかったのが楽しい。
第2章では塩の量、水1Lに対し塩の量が30gを超えると茹で上がりに明らかな差がではじめる。茹で上がりの含水率が減り、明らかに水を吸わなくなって行く。しかし25gも入れると味付けとしては塩辛すぎる、ではどうするか?お湯で洗う。基本的に茹で汁の塩味が勝負のペペロンチーノでは美味しい塩を使うのがいい。特ににがりを多く含む海塩は茹で上がりにも差が出る、お勧めは粟国の塩だ。
第3章ではパスタの種類、太さだけでなく表面の滑らかさも影響が大きい。テフロンダイスと高温乾燥のパスタは表面が均質であまり茹で時間に気を使わなくてもいいが、ブロンズダイスで低音乾燥のパスタは表面がザラザラしていて気を抜くと茹ですぎになる。そして第4章で究極の茹で方。
第5章が一番びっくりさせられるのだが、オリーブオイルは加熱すると酸化し味が落ちる。エクストラ・バージン・オリーブオイルは生の場合フルーツの様な複雑な香りと甘みがあるのに加熱するとこれが壊れてしまう。さてこれは難問だ。第6章ではニンニクと唐辛子の使い方。唐辛子も焦がしちゃいけない、苦くなるだけだ。そして残念なことにニンニクの香りは油にはほとんど移らない。揮発性が高いためキッチンに移っているのだった。こうして最終章で究極のペペロンチーノと時短ペペロンチーノの二つのレシピが完成した。
元々のパスタはおかゆの様になるまで煮込んでいて、今のアルデンテが生まれたのは19世紀のナポリだ。ナポリの露天で茹でたてのパスタにトマトソースとチーズで和え客は手づかみで食べていた。茹で時間を少し短くすれば回転が上がり、新しい食感も受け入れられた。と言うのはあながち妄想ではないかもしれない。カップ麺にお湯を注いで1分半で食べる様なものだ。ナポリ以上にせっかちなローマではピザは薄く、パスタの茹で上がりも更に硬めだそうだ。硬めのアルデンテ、ペペロンチーノは刺激的な都会の味。その割りにはせっかちな大阪のうどんはやわやわだが。やわやわを好む田舎だったのか?
土屋氏の新たなレシピはブログ「キッチン仮説」に更新されると言うことなので詳しいレシピを知りたい方はそちらを見てください。
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ペペロンチーノの正式名称は「スパゲッティ・アーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノ」。アーリオ=ニンニク オーリオ=油 ペペロンチーノ=唐辛子が入ったスパゲッティという意。カルボナーラ(炭焼き風)、プッタネスカ(娼婦風)、カチャトーラ(猟師風)、ボロネーゼ(エミリアロマーニャ州の町ボローニャ風)、アマトリチャーナ(ラツィオ州の町アマトリーチェ風)とは一線を画す簡単な料理代表のペペロンチーノをキッチンで徹底解剖。グルテンやデンプンレベルで麺を考え、塩分濃度による糊化の違いまで踏み込んで一冊にまとめた、究極のペペロンチーノ研究本。
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ペペロンチーノだけの語り本.アツい.度重なる試行錯誤.そして衝撃だったのはオリーブオイルは香りづけで,太白胡麻油を使うところ.
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まる一冊一番単純なパスタ料理であるペペロンチーノをいかに作るかだけを語った本。この探究心、頭が下がります。自称「書斎派パスタ求道者」というだけあって、えい、やあ、と適当に試しているわけではなく、実際の調理の前に文献を調べて書斎で多くの時間を過ごしているのが良くわかる。パスタ麺をグルテンとでんぷんに分解して実験したり、塩の量が増えるにつれて変化する沸点を計算して、それが麺に与える影響などを調べたりと知的好奇心をくすぐる研究の様々は、趣味とはかくあるべし、と唸らされました。人生楽しまなきゃね。
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感歎でき、笑え、ためになる。
僕も料理が好きなんでいろいろ試したりはするのだけど(出汁のとり方とかね。煮だす時間を変えてみて味を比較するとか)、いやここまでするかね、普通。
家族で二重盲検法とか、じわじわくる面白さである。自分で料理しない人も楽しめる本なんじゃないかな。
早速本書にあった手法の一つ、「圧力鍋でパスタを茹でる」をやってみたが、著者の言うような独特の歯ざわりにはならなかったなあ。普通の食感。なんでだろね。
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濃い塩水で茹でて、お湯で洗ったスパゲティは、オリーブオイルをかけただけでも十分塩味がついているので美味しかった
男のチャーハンも楽しみ
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数あるパスタ料理の中でも,調味料以外,肉や魚介など他の食材(おかず)が一切入らないペペロンチーノという最も単純な料理をどうやったら旨く作れるかというテーマに,様々な角度からアプローチした本である。麺の太さ,長さ,茹で時間,水の硬度,水の量,水から茹でるか,沸騰してから茹でるか,茹でる時の塩の種類,濃度,エトセトラエトセトラ……。こうした条件を細かく変えながらできあがった何種類ものペペロンチーノを,どれがどれか分からない状態(二重盲検法という科学実験のお作法)で家族に試食してもらって評価し,「2.5%の塩水で茹でた後に湯で洗う」という斬新な方法に至っている。実際,アマゾンはじめいろいろなところに書かれているレビューを見れば,こうした過程について,「微に入り細に入り,サイエンティフィックに探究した」などという表現で褒めている。もちろん,茹で方に関する文章が本書の2/3を占めているのと,その条件検討の細かさと実際に料理して食べ比べた(食べ比べさせられた)家族の苦労とを想像してしまうのとで,ついついそこにフォーカスしてしまうのであるが,僭越ながらプロの実験科学者として言わせてもらえば,それは茹で方に関して従前から分かっているパラメータの最適化に過ぎず,はっきり言って卒業研究レベルである。むしろ,著者の凄さの第一は,いきなりパスタを茹で始めたりせずに,まずは十分に文献を読み,デュラムセモリナの澱粉とタンパク質とを分離抽出して,澱粉の主成分であるアミロペクチンとパスタの吸水膨張現象(糊化という)との関係や,タンパク質の主成分の一つであるグルテニンの構造と歯ごたえとの関係を考察するところから始めたことである。この基本を押さえておかないと,そもそもパスタの茹で方を巡る実験成果の解釈が上っ面で終わってしまう。そして,凄さの第二は,オイルに関して従来にはなかった視点を導入したことである。パラメータの最適化とは異なり,これは未知の要因の発見であり,ひらめきである。研究で言えば,オリジナリティに当たる部分で,ここで著者の得た「オリーブオイルは加熱すると酸化し風味が落ちてしまう,ニンニクの香りは油にはほとんど移らずに高い揮発性のためにキッチンに移っているだけ,最適な炒め油は(高級天ぷら店でも使われる)太白胡麻油である」という結論は修士論文レベルと言ってもよい。こうした探究の結果,最終的に至ったのが,手間はかかるが絶対の自信の「勝負ペペロン」,手をかけなくても十分旨い「休日ペペロン」,そしてお手軽にしては納得の「時短ペペロン」なのである。この研究(と言ってよいと思う)の過程と結論を新書で読める至福を,是非味わっていただきたい。
ちなみに,この著者による類似の本には,本書に先立って,27ものレシピを載せた「なんたって豚の角煮」や,本書の後に上梓された「男のハンバーグ道」・「男のチャーハン道」もある。興味のある人は,併せて読むことをお薦めする。
mak
蔵書なし
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料理研究家でありライターでもある、土屋 敦氏が、パスタについて深く探求した一冊『 男のパスタ道 』をご紹介します。丸々一冊の分量を用いて、美味しいペペロンチーノの作り方が徹底的に解説されているレシピ本です。
塩が果たす役割の重要性、パスタの選び方、パスタの茹で方、ニンニクと唐辛子の使い方、パスタの炒め方などなど。様々なポイントについて言及されている本書の中で、岩塩よりも海塩がオススメとされているのです。
パスタを茹でる際に、塩はどれくらいの分量を入れるべきか。塩は、水が沸騰してから入れるべきか。ミネラル分を豊富に含む海塩が、パスタの食感に及ぼす影響…等々。料理をする上で、とても参考になる記述の連続です。
著者は、様々な比較実験と試食を繰り返し、ペペロンチーノというパスタ料理を科学的に分析。独自のレシピを掲載しています。この本をお読みになりましたら、ぜひ“わじまの海塩”を用いてペペロンチーノに挑戦して下さい。