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西遊記の沙悟浄、三国志の趙雲、司馬遷に見向きもされないその娘など、中国古典文学の脇役たちに焦点を当てた連作集。
作者読みだったので、沙悟浄を主人公に据えた万城目ワールドかと思ったいたので、2作目で沙悟浄が出なくなって一抹の寂しさも…。
沙悟浄を主人公にしたバリバリの万城目ワールドも読んでみたいと思った。
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短編5作。
「悟浄出立」「趙雲西航」「虞姫寂静」「法家孤憤」「父司馬遷」
どれもいつか学んだり、聞いたことのある物語を別視点から見る。
自分を知ることは難しい。他人や世界を知ることで、そこにいる自分を見つけられるのか。そのことの「気づき」に気づかされる一冊。
淡々とした語りの中に漂う心情の動き、隠し切れずに溢れ出す感情に心が揺り動かされる。
とてつもなく、すごい作品。
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風太郎で戦国ものをものにした作者が次は中華ものに手を出したのかということで期待したが、短編集とは思わなかったので少々、残念。ただし、トヨトミプリンセスから風太郎という展開の様に、本作は次作の伏線かもしれない。中華ものといってもあくまでの作者の造形する中国人であって、本来激しく、あけすけな大陸的な中国人ではなく、少々、日本的な情緒をもった中国人の造形となっているので、次作、中華ものをということであれば、今までと同じ様なキャラ造形を期待したい。
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歴史はわかりません・・・。
唯一楽しんだのは「悟浄・・・」だけです。
頭の中は 西田敏行の八戒メンバーと最遊記メンバーで話が進んでいました。
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全部西遊記の話かと思ったら、西遊記は1作目の「悟浄出立
」のみであとは三国志な感じだった。三国志もずいぶん前に読んだっきりなので記憶もおぼろげ・・・。だけどこの作品は楽しめた。万城目さんとは思えない作風だけどすんなりと入りこめてよかった。もっと中国の古典を知っていたらもっと楽しめるのだろうなと思う作品だった
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万城目学さんのファンタジーさが皆無であったのは残念でした。でも、中国の故事の「西遊記」や「三国志」などの主役には一切焦点を当てず、脇役を主役として位置付けて、その人間ドラマを展開しているのは、やはり万城目ワールから離れていないのかもしれません。
いろいろな物語がある中で、主人公を置き換えてみてみるのも新しい人間ドラマがあって面白いと思います。
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今まで読んできた万城目さんの本とは、少々趣が違った。
期待していたものとは違ったため少々不満。
でも、読みやすさは相変わらず!
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西遊記から始まって、三国志や秦の始皇帝まで、中国の有名なお話しの脇役からの視点に焦点を当てた短編集。どれもこれも、それなりに味わい深い。どういう意図でこんなん書いたのかな。
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中国古典を主人公の目線ではなく、あえて脇役の目線で書き直した短編集。
→http://ameblo.jp/sunnyday-tomorrow/entry-11977941529.html
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脇役にも、脇役の視点が中心に進む物語があって、当たり前なんですが、視点が違うとちょっと見えてくるものも違うのかなと思いました。古代中国が中心なので、知識が乏しく、ちょっと難しいものも。沙悟浄と虞美人と父司馬遷が良かったかな。
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万城目さんの今までの物語とは違うタッチで書かれてて、新鮮でした。
いつもの万城目ワールド的な物語も良いですが、こんな短編小説もありです。
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脇役にスポットをあてた…ということですが、そもそもの史実もしくは原作を知らないと十分に楽しめないかもしれません。
三国志と司馬遷が好きな私にはとても嬉しい作品でした!
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万城目学がこんなに真面目に…。
”らしい”視点を残しつつも、知らずに読んだら万城目作品だとは気付かないだろう。
短編5編それぞれに、人間の苦悩、葛藤、悲哀などなど決して軽くない物語が綴られている。
5編目「父司馬遷」が最も読み易く、心に残った。
たまにはこういう万城目作品もいい。
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短編連作集。『三国志』趙雲の哀しみ。『史記』虞美人の自我の芽生え。で『西遊記』の沙悟浄は結局どうなったんだけ?
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物語には必ず主役がいるが、主役だけでは物語は成り立たない。ある意味、脇役こそ物語には重要と言える。本作は、脇役に光を当てた作品集だという。
表題作「悟浄出立」。元ネタである『西遊記』の原典を読んだことはないが、堺正章主演のドラマは見ていた。語り部は沙悟浄なのだが、話の中心は猪八戒という奇妙な1編。ドジキャラ猪八戒の素性は、実は…。この設定、原典の通りなのか、万城目さんのオリジナルなのか。結局、沙悟浄に光が当たっていない気がするが…。
てっきり全編『西遊記』ネタなのかと思ったら、続く「趙雲西行」は『三国志』ネタ。こちらもさっぱり詳しくないが、映画『レッドクリフ』のおかげでこれらの武将の名は知っていた。戦場では敵なしの彼らも、船旅は苦手。それ以上に、諸葛亮が苦手らしい。猛者たちの日常を巧みに切り取った、どことなくほのぼのした1編。
続いて司馬遷が編纂した『史記』から、「虞姫寂静」。「四面楚歌」という故事成語の由来となった、項羽の最後を描いている。だが、主役は項羽の愛人・虞。虞の前では、猛将とは違う顔を見せる項羽。生半可な覚悟で項羽に仕えてきたのではない。それなのに…。結末が読めるだけに、美しくも悲しい1編。
同じく『史記』から「法家孤憤」。秦王(後の始皇帝)暗殺のため、燕から送り込まれた刺客・荊軻(けいか)は、下級官吏・京科の知り合いだった。暗殺は失敗し、荊軻はその場で斬殺される。京科が故郷に帰ってみると、荊軻は英雄に祭り上げられていた。そのことに苛立ちを隠さない京科。名前の発音が同じ2人の、運命の皮肉が興味深い。
最後に「父司馬遷」。友人を擁護して武帝の怒りを買った司馬遷は、宮刑を受け入れて死刑を免れた。宮刑とはどんな刑罰かは調べてください。生き恥を晒し、家族にも蔑まれた司馬遷を、娘が訪ねていく。さすがに自暴自棄になっていた司馬遷に、娘がかけた言葉とは。司馬遷は、屈辱をばねに『史記』編纂という偉業を成し遂げたのだろうか。
以上、中国古典に基づく全5編。原典を読み込み、熟知していなければ書けないだろう。しかし、予備知識がなくても、歴史に疎い僕でも訴えるものがあった。このシリーズはこれで終わりのようだが、倍の10編くらい読みたかったなあ。