紙の本
日本とトルコとの知られざる絆を紐解く長編小説
2015/08/17 12:37
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投稿者:YK - この投稿者のレビュー一覧を見る
昭和60年、イラン・イラク戦争が勃発しテヘラン在住の日本人約300人はフセイン大統領による無差別航空機攻撃の期限までに脱出する必要に迫られます。ところが自衛隊は法規制により運用できず、民間航空機も運行を見送り、在留邦人の救出の可能性は消えたかに思われました。その時、自国民の救出よりも在留邦人の救出を優先して旅客機を派遣してくれたのがトルコでした。明治23年、トルコ軍艦エルトゥールル号は串本沖で遭難し、地元民の自らの危険を顧みない献身的な救助活動によって多数の乗組員が救助されました。「わが国は100年前の恩を忘れてはいません。いや、わが国に限ったことではありません。おそらく、それは地球に生きる人間として、きわめて当然のことなのです。人間である限り、恩は決して忘れません。恩を忘れない限り、歴史は紡がれ続けます。」旅客機の派遣を決断したトルコ政府要人の言葉です。100年前のエルトゥールル号遭難に際しての救助劇、イラン・イラク戦争下で邦人救出までの迫真の駆け引き。このようなすばらしい関係が日本とトルコの間にあることを是非、本書を通じて知っていただきたいです。
紙の本
過去の歴史から学ぶ
2015/07/27 12:01
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投稿者:Yasushige - この投稿者のレビュー一覧を見る
トルコが親日国である理由がわかる本。
1890年、エルトゥールル号が和歌山県串本町沖で遭難した。多数の犠牲者を出したが、日本人による必死の救出劇で命を救われたトルコ人がいた。
トルコでは先祖代々この話が受け継がれており、、この恩を返すために、日本人に何かが起きたら必ず助ける、という気持ちを抱いてることがわかる。
舞台はイランの首都テヘラン。イラン・イラク戦争が激しさを増すにつれ、日本大使館テヘラン在住の日本人を日本に帰国させることを決断。しかし、日本から自衛隊の派遣は不可、テヘランとの直行便がなく安全の保証ができないため民間機の輸送も不可。しかし、途方に暮れた現地在住の日本人だが、そこに救いの光が…。そう、トルコによる日本人救出が支援が決定した。トルコ大使、トルコ大統領による決断であった。その背景にはエルトゥールル号、日露戦争の恩を返すとの思いがあった。
この本を読んで以下3点について考えさせられた。
1, 歴史を学ぶ重要性
以前からトルコは親日国であることは知っていたが、何がきっかけで親日国になったかは疑問に感じていたが、船艦遭難の救出と日露戦争の日本勝利が背景にあることがわかった。さらに、日露戦争の勝利がロシアの南下政策を阻止し、トルコが侵攻されずに済んだ。もし、日本が戦争に負けていたら、トルコはロシアに占領されていたかもしれないとも言われている・・・。
このように過去の歴史について幅広い知識を得ることができた。
2, 日本の安全保障制度
当時、法律の縛りが原因で自衛隊をイラクに派遣することがでず、日本政府としての役目を果たすことができなかった。
最近、与党による安保法案強行採決が話題となっており、テレビや新聞で反対意見をよく耳にする。しかし、安保法案が採決されなかった場合、海外の戦場にいる日本人は救出されるのだろうか?イラン・イラク戦争と同じ状況にはならないだろうか?このような疑問が浮かんだ。
3, 報恩感謝
100年も昔の出来事に対する恩を忘れず、日本人を助けたトルコ人の心に脱帽。テヘラン空港から出発するトルコ航空に乗り込む前に行われた、トルコ大使と現地トルコ人のやりとりには感激した。恩返しの心が両国の友好に大きな影響を与えていることがよくわかる。
歴史を学び、日本の現在の情勢と照らし合わせ、そして、報恩感謝の重要性を学ぶことができる一冊。究極を言うと、”恩返しの心”は平和構築には欠かすことのできないものであると感じた。
最初から最後まで涙腺を刺激し続け、感情移入の波が引くことがなかった。
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投稿者:坦々麺 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ニュース、新聞等で事件・事故・災害の風化という言葉をよく目にする。自分は人の記憶に風化はある程度しかたないと思っていたが、親から子へ、子から孫へと語り継がれることによって決して風化などしないもだと思った。今現在でもトルコが親日国であるのも先人達の勇気ある行いとトルコ国民の代代にわたる語り継ぎの賜物であろう。
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こんなに泣きながら読んだ本はない。自然に涙が出てきてしまう。百年の恩返し、日本人は語り継ぐことが出来るだろうか?語り継ぐ価値がある。これだけでも子孫を残す意味がある。眼の前で苦しんでいる人間を助けるのが本当だ。人間てのはこういうふうにできているんだよ。
日出ずる国と、月と星の国。富士山とアララト山。アジアの東と西。運命を通り越した兄弟、いや同胞だ。トルコ万歳!オリンピックは譲るべきだった。原発輸出じゃなくてね、晋三くん!
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誇り高いオスマンの勇者たちの命がけの物語。100年の恩に報いるため戦争の空に突入した彼らの合言葉は「日本が窮地に陥ったとき真っ先に立ち上がるのはわがトルコ民族である。」。日本人よ、忘恩の徒になるべからず。
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2014年締めくくり読書。
これはちょっともっと話題になっていいんじゃないか、というくらいすごく良かった。
エルトゥールル号、ってちょっと発音しにくいトルコの軍艦座礁を救った日本人たちへの、100年越しの恩返し。
「…人間であるかぎり、恩は決して忘れません。恩を忘れないかぎり、歴史は紡がれつづけます…」
命がけでトルコ人を助けた日本人たちと、100年後また命がけで日本人たちを助けたトルコ国民。
もしも、誰かを(たとえ気持ちだけでも)命がけで助けることができれば、きっと今よりずっと平和な世界になるのに、と強く思った。
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エルトゥールル号の話は全く知らなかった。全体的にはすごく面白かったが、こんな状況で、こんなお人好し発言が出るだろうか?というのは、若干?だった。
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恩を忘れないトルコの話。
エルトゥールル号での日本人の助けを孫の代まで話聞かせ、その恩を返す為、日本の為に闘ってくれたトルコ。
実際にトルコ人は小さい頃にエルトゥールル号の話は学校で教えられると聞いたことがあるが、日本人もきちんと知るべき話だと思った。
最近、歴史の話が面白い。
ただ、文章の書き方があまり好きじゃなく、すんなりストーリーが入ってこなかったのと、中途半端に終わっている箇所もあったのでマイナス。
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空港で読むのに良い本だった。トルコが親日国とは知っていたが、その根底に触れられた気がする。事実描写については飛ばし気味にも思えたが、最後は泣ける。
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トルコが親日国である理由が分かった。
読んでいて、トルコに行ってものすごく良くしてくれた事を思い出した。
またいつか行かせていただきます。
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話には聞いたことあるけど、詳しくは知らなかった事件。
100年を超えた恩返しの物語に何度もじわっときた。
こういう事って、今の世の中だからこそ、伝えていかなくちゃいけないね。
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久しぶりに電車の中で本を読んで涙を流してしまいました。トルコと日本の友好がより深まるきっかけとなった「エルトゥールル号遭難事件」。私たち日本人はほとんどの人は知らないが、トルコの人たちの間では長い間語り継がれていた。いつか日本に恩返しを、と。イランイラク戦争の時、テヘランから退去する日本人にはイラン退去する飛行機がなかった。トルコ政府は今こそ日本に恩返しをするとき、と危険を顧みず、飛行機を手配してくれた。しかも日本人と同じく帰国せねばならないトルコ人達も、「飛行機は日本人のために」と自分たちは車で国境へ向かった。トルコの人たちは100年も前の事に恩義を感じていたのだ。しかもほとんどのトルコの人たちが同じ意思を持っていた。明治時代の日本の人たちの純粋な人助けの心が今もトルコの人たちに響いていたのだ。そんな事実を私は知らなかった。朝日新聞の記事でさえ、トルコが救援機の飛ばしたのは,日本がODA等トルコに資金援助しているからだろう、と的外れな事を書いていた。そのようなことのないよう日本でもこのようなことは広く教育の現場でも語り継がれるべき事なのでではないだろうか?
安保法制が論議される昨今、国と国の友好を築く術は本来このような形であるべきなのではないかと思う。
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新興国として紹介される機会が増えてきたトルコ。その時に「エルトゥールル号遭難事件」のことが必ずと言っていいほど取り上げられる。
その詳細を知るのにいい本であった。
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残念ながら、わが国はあまりに虚構の上に成り立つ平和に慣れ過ぎてしまっており、有事がないという根拠のない神話を前提に、政治、マスコミ、国民が有事法制を実効性のないものにしたり、形骸化させることに成功している。
そのひとつの表れが、1985年に発生したイラン・イラク戦争中に発生した、邦人退去時の混乱。
フセイン大統領が48時間以内の航空機無差別攻撃を宣告、日本政府が様々な制約や権利の乱用により救援機を出せない中、イランに取り残された200名以上の日本人救出に動いた国があった。
自国航空機の乗員を危険に晒し、かつ、同じくイランからの救出を願う自国民に優先させ、特別機を出し、日本国民を出国させた。
その国こそ、かつてはオスマントルコとして、ヨーロッパを席巻した国、トルコ共和国。
オスマン帝国は、明治23年日本への使節団として軍艦エルトゥール号をを派遣した。大任を果たしたエ号は帰路に就いたが、和歌山県紀伊大島で台風に遇い遭難。
大時化の中繰り広げられた島民の決死の救援活動の結果、多くの乗組員の命を救い、また明治天皇はじめ多くの援助のもと、日本の軍艦を持ってその生存者を母国に送り届けた。
その記憶は、トルコ国民の中で語り継がれ、あるべき国の外交の姿として繰り返し教育され、そして忘れられなかった。
だからこそ、わが国政府が、懸命にではあるが結果手をこまねいているしかできなかった邦人の緊急脱出の場面において、最大限の援助を差し向けてくれたのであった。
本書は、それらあまり日本では記憶されていない二つの事件を時空を超えて結びつけており、緊迫した状況が続く展開は小説としても充分に面白いが、さらにその事件が事実に忠実に描かれていると思うと、これらの記憶は風化させてはいけないと思う。
有事はある。
原発政策に反発するときにそう考える人が、外交政策において有事が無いという根拠のない砂上の楼閣の上に築かれた平和幻想の上に、自らの持っている力の手足を縛る意見を声高に言い募るのは、滑稽であり哀れだ。しかも、危険だ。
現実世界では、今日もペルシャ湾に多くの船舶が入り、日本への石油、ガス輸送等原料輸送に尽力している。常に他国の顔色をうかがいながら。海賊が横行する海域でも、日本船ができることは、丸腰でドアを閉ざして突っ走るのみ。
そもそも、なぜ日本国が在留邦人を見捨てなければならなかったのか、そんなことも考えた。
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トルコが親日国というのは以前から聞いていたのですが、その所以がなんなのかは全く知りませんでした。なので、本作を読んでその理由に納得。由来を知ることができたのは良かったと思います。
加えて湾岸戦争時に日本人がイラクから出国する際、はるか昔に同国の人が日本人に助けられたことを恩義に感じていたトルコ人が、その手助けをしてくれたということに驚嘆。
国が違っても、育った環境が違っても「恩を返す」(あるいは「恩を送る」)ことを知っている人たちの姿に感動させられました。