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プロ野球にはとんと関心がないが、プロ野球最高の投手をどうやって決めるのかな、ということに関心が湧いた。ところが。
まえがきでいきなり、「プロ野球最高の投手を選ぶのは難しく」「ファンがそれぞれのNo.1投手を決定するしかないようだ」って。…って、おい。
さらに、記録や球歴をピックアップし、最高の投手選びをしていただこうと思って書き進めたが、方針を変更して、投球スタイルや野球に対する考え方などを紹介するので、それぞれで考えてや、ということが書かれていた。…って、おい。
そんなわけで、登場してくる投手の話にも定量的なものは少なくて、大投手時代の余韻が残るとか、肘か大きくねじれるとか、球団ともめたとか、スポーツ新聞のような内容である。
プロ野球というのは、けれどそういうのが好きな人達に支えられているのだろう。防御率がどのぐらい、なんていうよりも、たくさん勝ったとか、ノーヒットノーランをしたとか、不運にみまわれたとか。だから従来型野球好きは、きっとこの本を楽しく読めるだろう。
しかし、タイトルから考えたらどうか。
たとえば工藤公康(は、知っている)の項目では、監督よりも投手コーチをしたい、という工藤を評して、「御身大切でプロ生活を過ごしてきた工藤の投手理論などは何の役にも立たないだろう」という凄い一文で終わっている。
プロ野球最高の投手は誰か。まだやってもいない(んだよね、この書き方だと)コーチの投手理論を切って捨てることが、読者それぞれのNo.1投手を決めることになるのかどうにも理解に苦しむ。
最近話題の大谷(これも知っている)は、その起用法にずいぶんページが割かれている。前書にあるような、個々の最高の投手を選ぶ参考になるのかな、これ。
毎日野球を楽しみにしている人にはお勧め。読書の醍醐味は全然ないぞ。