紙の本
ビールもショートショートも喉ごしが大事
2011/07/14 10:44
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投稿者:toku - この投稿者のレビュー一覧を見る
ホッとした。やっぱり、この喉ごしだよ、という印象。
というのも、先日フレドリック・ブラウンの『未来世界から来た男』という、本書と似たタイトルのショートショート集を読み、翻訳臭のする文章に違和感を感じていたからだ。そして、どことなく炭酸の抜けたビールのような印象もあった。
星新一のショートショートは、読みやすい文章、刺激に満ちた物語、ドライな爽快感、と喉ごしがとても良い。ビールもショートショートも喉ごしが大事だと再認識。
本書には不思議な物語が十七編が収録されている。
そんな中から気に入った作品をピックアップ。
【地球から来た男】
気がつくと、おれは野原に横たわっていた。調査会社につとめていたおれは、ある研究所の秘密を探りに行ったものの、捕まり、研究所で開発されたテレポーテーション装置によって、遠くの惑星に追放されてしまったのだ。
男のなんと間抜けなことか。いや、たくましい想像力と、現状を受け入れる柔軟性に富んだ男と言うべきか。
【もてなし】
その青年はブルギさんとなった。ぱっとしない人生を紛らわすためバーで飲んでいたところ、声をかけてきた男からバッジを受け継いだのだ。そしてブルギさんとなった。ブルギさんになると、理由や事情は不明だがいいことずくめになるというのだ。
ブルギさんの秘密に驚愕。まったく想像がつかない秘密だった。
【ある種の刺激】
社長がある支店を突然訪れ指示をした。「天井と壁を赤く塗り、床に小さな穴を開け、細くて長い鉄の棒を差し込み、ネズミ花火を五十個盛大に鳴らせ」。それが終わると、社員たちをねぎらい、満足そうに帰っていった。
この刺激を自分の生活に生かせれば、あるいは、という気にさせられる。
【あと五十日】
その男は、ある日「あと五十日でございますよ」と姿なき者に声をかけられた。それ以来、その声は、あと何日とカウントダウンを始めた。
驚きの結末。カウントダウンの持つある力が、男と読者を縛り付ける。
【ある日を境に】
ついてない男。酔っぱらっての帰り道。何者かに「なってみたいものがありますか」と声をかけられ、「福の神」と答える。そして、肩をたたかれたその瞬間から、男は福の神となった。
福の神のメリットって……と考えさせられる作品。すると福の神へのありがたみが湧いてくる。
【その他収録作品】
夜の迷路、改善、包み、密会、住む人、はやる店、ゲーム、戦士、来客たち、疑問、向上、能力。
紙の本
毒のある嗜好品
2012/10/28 00:29
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投稿者:たこくらい - この投稿者のレビュー一覧を見る
星新一らしい、嫌みのないブラックユーモアに満ちた短編集。
面白いけれどぞっとする作品ばかり。
表紙は改版前の和田誠氏のイラストの方が好きだった。
本書の雰囲気をよく反映したものだったと思う。
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地球から来た男
夜の迷路
改善
もてなし
ある種の刺激
あと五十日
包み
密会
住む人
はやる店
ゲーム
戦士
来客たち
疑問
向上
ある日を境に
能力
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ショートショートなのでとても読みやすいし、話も一昔前に書かれたとは思えないほど内容に古臭さを感じないです。オチが無いのもあって、え、これでいいの?と思う話もあるけど、そのオチの無さも面白くて好きです。
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小気味良いショートショート。短いって分かってるからすぐに読めて、次々いってしまうからキリがない…のが星マジックです。表題の作品はエドモンド・ハミルトンを彷彿とさせました。こういうの好きだなぁ。
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2008年5月17日読了
地球から来た男・夜の迷路・改善・もてなし・ある種の刺激・あと五十日・包み・密会・住む人・はやる店・ゲーム・戦士・来客たち・疑問・向上・ある日を境に・能力
視点。疑問。解決。
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SSの魅力ぎっしり。『あと50日』、心に残ります。シニカルなのがいいと思わせてくれる作品が詰まってます。
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面白かった。普通のサラリーマンとか、割と普通な世界の中の星ワールド。
個人的には、も少しスペイシーなのがすきかな、やっぱ。
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ショート・ショート集。
収録は
・地球から来た男
・夜の迷路
・改善
・もてなし
・ある種の刺激
・あと五十日
・包み
・密会
・住む人
・はやる店
・ゲーム
・戦士
・来客たち
・疑問
・向上
・ある日を境に
・能力
表紙がなんかカッコイイ。
「夜の迷路」がブキミで好き。
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ショートストーリーの中で現実的ではないところと現実のところのあやふやな気持ちが表現されていて、おそらく多くの人が理想というか夢というかそういうのを感じるときにはこういう感覚もあるのかなぁ??
というお話でしょうか。。。
そうだよなーって感じですよ♪
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星新一はこれが初読です。
短編がぎっしり詰まってるんで毎晩寝る前に一話ずつ読むのもいいかも。
サラリーマンとか普通に暮らしてる普通の人達がSF的な事件に巻き込まれていくんだけど当の本人は結構あっけらかんとそれを受け入れてるのが妙な緩さを出してて良い。
デスノートっぽい話もあるんだけどこっちのは人を殺して裁く当の本人がやっぱりあっけらかんと、すんなりと、それを受け入れて使命感を感じている様が淡々としていてそれが逆に妙な怖さを出してるな、と。
ちなみにその短編はデスノートよりも昔の作品です。
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20100826
空想の世界に旅立った気分。
難しい設定が描写されていなくとも、
人の想像力はそれをカバー出来るのだ。
大事なのはその想像力をいかに刺激できるか、なのだろう。
「もてなし」のブルギさんの話はなんだかんだで押しつけられて、損(死)をしてしまう可哀想な男の話。
要領良く生きている人って、いるよね。
代わる代わるいろんな世界観があらわれる星ワールド。
また別の作品も読みたい。
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・10/9 ということで、中国本ばかりだとあれなんで、これも同時に読み始めることにする.久し振りの星新一だ.かなり前に智が星新一を買ったときに一緒に買ってあった本だ.ようやく読む運びとなった.
・10/10 読了.あっという間だったけど、これらの作品ってなんでいままで読んだことがなかったんだろう.それだけじゃなくて最近も星新一の新刊があるっていうのは、どういうわけなんだろう.角川文庫で発売する以前は他の出版社かなんかで発表していて、今回から角川に版権が来たとかいう理由でもあるのかな。。。
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【あらすじ】
おれは産業スパイとして、ある研究所にもぐりこんだ。だが内部の警戒は厳重で、たちまちパトロールの守衛につかまってしまった。保安部門の責任者は秘密を守るために独断で処罰するという。それは、開発途上で放置されたテレポーテーション装置を使った、地球外への追放だった。気づくと、おれは野原に横たわっていた―。奇妙な運命に翻弄される男達を描いた傑作ショートショート集。
【感想】
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やっぱショートショートはいいなあ。「包み」が良かった。
ちょっと哲学。
物事は考えよう。
あと表紙が綺麗。