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藩の御主法替え,藩札掛などあまり知らない世界を知って,興味深かった.主人公は脱藩して万年青商いをしている奥脇抄一郎だが,彼が指南して助ける藩の梶原清明の鮮烈な生き方に感動した.題名「鬼はもとより」と装丁の美しさも内容とぴったりだった.
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表向きは万年青売り、本業は江戸時代の経営コンサルタント(藩札板行指南)である抄一郎のお話。前半はいまいちでしたが、後半になり「鬼」である清明が登場してから面白くなりました。死を覚悟して、国を立て直そうとした清明。まさに「鬼はもとより」でした。
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経済をテーマにした時代小説。
苦手なジャンルでもあり、
遅々として進まぬ頁ではあったが
傾きかけた国の復興方法について
主人公の抄一郎が(ひらめいた!)頃より
ぐん、と加速度がついた。
頭のなかを常にぐるぐる駆け巡っていたのは
「仕事とは幹である。」
と、言っていたニーチェの言葉。
豊かに葉を茂らせ、美しく花咲かせ、たわわに果実を結実させゆく樹木を私達は見上げ、
ほおっ、と思わずため息をついてしまうが
それもこれも、どっしり太い幹が
地道に命を繋いでいてこその成果。
時に女性に惑わされたり、
成果を共に分かち合える同志がいない、
と、落ち込む事があったとしても
今日も力強く自分を支えてくれる幹さえしっかりしていれば
やがて生きる方向性も見えてくる。
「鬼」の生き様や、それを目の当たりにしてきた主人公の痛みも心に強く残ったが、
人生の中で<仕事>が占める意味について一考させられた。
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結末は想像がついていたけど、それども最後の一行にうるっときました。
これで読むのは二冊めですが、この人の作品って好きです。
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大変に面白かった。
先が気になって夜更かしして読み続け、早起きして読み続けました。
江戸時代の貧乏北国の、経済再生の話だけど、のぼうの城並みにドキドキして面白かった。
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江戸時代の藩札導入の話。歴史ものでもありながら、経済的な面白みもある。骨太な武士の生きざまに圧巻。行政の仕組みが人に大きく依存していた時代の臨場感を感じ、面白かった。
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映画のアカデミー賞と同じで・・
直木賞芥川賞は商業主義だ。
・・商業主義だけど・・乗っかって読んじゃう自分が居たり(^_-)-☆
で。青山さん。
つまをめとらば】も読み始めてんだけど・・
直木賞ノミネートのこちらは秀逸でした ^^) _旦~~
恋愛・友情・親子・経済・哲学・人生・等々~
様々な興味深い出来事が詰めあわされてます(*ノωノ)
おもろいです!(^^)!!(^^)!!(^^)!
女性が(男性からすると)身勝手な理由や・・
自身の仕事への矜持・・
貫き通す事の効用と毒と。
男性向け書籍だ!と俺は勝手に思う。。。
カテゴリー分類は『歴史書』にしましたが・・
『ビジネス・経済』や『哲学』でも良いくらい。
・・おすすめです( ´・ω・`)♪
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内容(「BOOK」データベースより)
どの藩の経済も傾いてきた寛延三年、藩札掛となった奥脇抄一郎は命を賭すにたる御勤めと確信。飢饉の際、藩が命ずる実体金に合わない多額の藩札刷り増しを拒み、藩札原版を抱え脱藩。江戸で、表向きは万年青売りの浪人、実はフリーの藩札コンサルタントとなった。各藩との仲介は三百石の旗本・深井藤兵衛。次第に、藩札による藩経済そのものを大本から立て直す仕法に至った矢先、東北の最貧小藩から依頼が…。剣は役に立たない時代、武家が穀潰しでなくなる方策とは?三年で赤貧の小藩に活気ある経済状況をもたらしうるか!
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青山文平氏の本にハズレは無いと言う感じかな、武士道には感情移入できないところが多いが、人の心に住む本人を物語にする文才はさすが、
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奥田抄一郎の故郷は貧しい国だった。その国の建てなおしに失敗し、江戸へ出て、どうすれば貧しい国を救えるのか、その答えをひたすら探していた。そこで、北にある島村藩を貧しさから救い出す機会を得て、奮闘していく。
江戸時代中期以降の武士は、もう刀を合わせるような戦はしていないけど、抄一郎をはじめとする武士たちは、貧困という敵から国を救い出すためにまさしく命を懸けて戦っていた。
国という大きなものを守ろうとするその姿は格好いいのかもしれないけれど、なんだか私は悲しく思えました。
国を立て直すために親に切腹を命じ、親族である役人も召し放ち(財産を没収し、解雇を命じることかな)、その他にも農民や武士の命を奪うこともあった。徹底して鬼になってまで、国は守らないといけない状況がとても切なかったです。
今の日本に鬼になれる指導者はどれだけいるんだろうか、と柄にもなく考えてみたりして、現代とのギャップを感じてしまいました。
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青山文平さんの時代小説のファンとして言いたいのは、ほんとに当時そのものを世界としてものすごくリアルに描き切ってくれる、という点。当時が本当にどうだったかなんて、今では想像でしかないはず。なのに、まるでその時代を同時に体験したことがあるかのよう。実は、過去から来たとか、未来人とか、SFみたいな秘密があったりして。そんな風に思うほど、ぞくぞくし、はらはらし、堪能させてもらった。また別の作品を読みたい。
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貧乏藩の立て直し。藩札を使った経営コンサルタント。上手に武士の覚悟も絡めいい作品になっている。それでも女性との関わりはやけに人間くさい。そこのアンバランスさも心地よい。いいの読んだ。
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・後のない席に座る者は、理が届くところだけでなく、理の及ばないところでも決断しなければならない
・頭(かしら)にとって力不足は罪ではない。たかが力不足なんぞの理由で、力が出せぬのが罪なのだ
・内なる疵が重なれば、?の強い者は心を壊し、心の強い者は?を壊す
・この齢になっても、結局、稚気と縁が切れず、慚愧に耐えませんが、やはり、奥脇殿にだけは、事の次第を分かっておいていただきたいと思うに至りました。最後の最後まで、お世話をおかけし、まことに申し訳なく、ただ深謝あるのみです
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赤貧の小藩を救う為の経済的指南を行う、今で言う
フリーのコンサルタント奥脇抄一郎。
抄一郎目線で話しは進みます。
めちゃくちゃ面白かった‼︎
潘の改革を命懸けで突き進む「梶原晴明」が格好よすぎです。
「もとより、鬼になるつもりでおります」って…
晴明の覚悟にちょっと震えました(/ _ ; )
「誰よりも鬼には向かぬ者が、誰よりも厳然と鬼をやっている。顎を震わせながら、鬼をやっている…」
文章も簡潔、センスがいい!
ラストの手紙で泣かされた〜。゚(゚´Д`゚)゚。
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前半は、主人公・奥脇抄一郎が藩札掛として、成長して行く話。後半は、藩札万指南役として、北国の貧しい小藩・島村藩の経済立て直しを、三年の期限ではかる物語。前半では、抄一郎のどうしようもない姿が目立つが、後半の活躍はとてもカッコいい。また、島村藩の執政兼藩札掛・梶原清滝の生きざまが凄かった。