紙の本
いろいろ大掛かり。
2015/12/23 23:16
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投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
仏滞在中の黒猫はイタリアへ“遡行する塔”の調査に向かう。
建築家が亡くなり、設計図すらないなかでなぜか建築が続いているという。
今巻は建築の謎だったり奇妙な映画だったり、いろいろと大掛かりで楽しかった。
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〈遡行する塔〉と約束の映画、イタリアで再会した黒猫と付き人ちゃん。
塔がどうしてその形状なのか、とてもシンプルでもどかしい想いには泣きたくなった。
だけど約束した未来のために、今を走る。約束があるから頑張れる。二人にとって恋とか愛とか名付けようとするにはあまりに難しいようなその気持ちがとても前向きなもので安心した。
大切な人との約束なら、果たさなくちゃね。
黒猫が、付き人ちゃんの名前を呼んでくれたらわたしはそれだけで幸福になれるのに。
二人にはどんな未来が待ってるんだろう。
まだまだ今後が楽しみ。
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建築者が亡き後、誰も構想を知らないのに成長していくと塔の謎を追ううちに、事件に巻き込まれていく黒猫。そして、映画に出演することになった付き人。
遡行する塔がなぜ今も成長を遂げるのか、その理由やそこに秘められた思いなどは、関わる人たちの一途な思いはとても哀しい。関わる人たちがとてつもなく知性と理性が生む美学なのかもしれません。
黒猫と付き人の関係も少しは近づいたのかな...。美学については全く理解できなくても、二人が同じ空間で討論する姿は読んでいてにんまり。今回は一歩近づいたかのように見えたので、ますますもどかしく少し糖度高めでした。黒猫、少しひどくない?と思いつつも、黒猫だから許せることでしょうか。
神秘的で凛としている付き人がモテるので(本人はあまり気づいてないけれど)、黒猫も冷静に見えて心の中では不安なのだろう。お互いを想いあう二人という構図が見えてきてますます今後が楽しみです。
黒猫と付き人の関係ばかりに気を取られていたので、エピローグを読むことで、そうだったのかと驚かされましたが、少しもやもやとしたものが残りました。
余談ですが...付き人はメイク落としたんじゃなかった?とちょっと不思議に思いました。
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フランスにいる黒猫がイタリアに出張。相変わらず面白い黒猫のお話だが、今回は建築と映画を中心に据え、物語の構造が複雑になり面白さが増している。また、恒例となったポオ作品の美学的解釈だが、今回は「メエルシュトレエムに呑まれて」を付き人が解体してみせる。院に進んでかなりレベルアップしているようだ。あらかじめカントの「純粋理性批判」を予習しておくとより楽しめるだろう。
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このシリーズはどんどんすっきりとして面白くなっていっている気がする。構成が特にうまくなっているように思う。それから事件の内容も、シリーズのはじめの方はややリアリティに欠けると感じていたが、違和感なく読めるようになってきた。
最後の映画の描写は、本当に映画を一本見たような感覚がしたが、そこに様々な謎の答え合わせが詰め込まれていて驚いた。ミステリらしさはあまり期待していなかったが、回収されずに終わるのかと思われた伏線がいろいろと回収された。ゆっくり読めば気づいたかもしれないが、本書はサクサク読めるので流していた。
個人的に気になったのは
・エレナはどこの出身なのか
・エレナはなぜ、どうやってヒヌマと結婚したのか
・なぜヒヌマは殺されなければならなかったのか
の三点。まぁ、エレナは天才悪女だったから、とかそんな感じで納得できなくはないが。いつになく黒幕らしい人物だった。
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2014年10月3日読了。
シリーズの中でも1、2を争うレベルで面白かった!建築論・映画論、とても勉強になった。
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ぐわぁー!じれった過ぎる!20歳もとうに過ぎてなお関係がハッキリしないこの状況。今時中学生だってこんなグダグダしてないさね。こんな中途半端で曖昧な関係じゃないと萌えないのか?この二人は!生殺し萌え?5巻目でやっとこんだけ?こうなったらとことん最後まで見定めてやろうじゃないか。相変わらず薀蓄は難しゅうございました。チンプンカンプン。でも謎解きの部分は面白かったな。
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成長する塔を調査に来た黒猫と、映画の出演を依頼された付き人がイタリアで偶然再会する。
やっぱり二人で会話しているところが好き。
互いに相手を想っているのは間違いないのに、何でそこでブレーキをかけちゃうの?!黒猫に近づきたいからこそ今じゃないと離れる付き人の決断が切ない。
次巻も楽しみ。
今度は黒猫が付き人を追いかけてほしい。
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仏滞在中の黒猫は、ラテスト教授からの思想継承のため、イタリアへある塔の調査に向かう。建築家が亡くなり、設計図すらないなかでなぜか建築が続いているという〈遡行する塔〉。だが塔が建つ屋敷の主ヒヌマは、塔は神の領域にあるだけだと言う。
一方、学会に出席するため渡英した付き人は、滞在先で突然奇妙な映画への出演を打診され……。
久々の黒猫本編。今回は美学談義は少なめで、話もわかりやすくロマンチック。二人が飲むシーンが久々に見れてにやにやした。相変わらずでじれったすぎるけど、いっそずっとこの距離感を保ち続けてほしいところ。
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黒猫シリーズ第5弾。〈成長〉し続ける〈遡行する塔〉の謎に黒猫が挑む。
ア・プリオリ(先験的)、物質と精神、虚構と幻想…感覚的には分かったような気がするけど、今作の美学理論はとりわけ難しかった。
周りから見ると相思相愛なのに、相変わらず焦れったい2人の関係。2人のセリフの「……」がもどかしくて仕方ない。でも、言葉にはしなくても、何となく暗黙の了解となっている約束。常に黒猫の背中を追いかける付き人さんが追いついた時、2人は一歩踏み出すのだろう。黒猫曰く、付き人さんの成長は著しいらしいので、その時までヤキモキしながら見守ることにしよう。
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未完成で終わっているはずの建物が、成長し始めた。
それを調査するために現地へ飛んだ片方と
別の理由からその場にいる事になった片方。
一緒についていった彼女の、密やかな思いは?
彼の行動は?
彼女はどうしたいのか。
建築がどうなるのか、どうしてこうなったのか、が
話の軸だというのに、気になるのはそちら。
2人が出会ってしまった状態だと
それはもう気になって。
一体誰が塔を成長させているのか。
まったくもって分かりませんでしたが
全員の口ぶりから、多分…という予想は。
そちらは当たりましたが、一体何がどうなったのか、は
『答え』を見て納得。
あのシーンについても納得(笑)
しかし想像するに、恐ろしい建物です。
ごく普通の発想から考えると、このバランスは
非常に怖いものがあります。
が、一転想像ながらも目的が何か分かると
微笑ましいだけです。
読んでいる時点で、彼らの発言に違和感がありましたが
なるほど、という納得しました。
とはいえ、あの勘違いは、言語が分からないと
まったく気がつきません。
やられた! という気分いっぱいです。
この二人の関係も、それで終了しますけど!w
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フランスの女の子、マチルドとおなじみ「付き人」双方の視線からの黒猫への想いが描かれています。
建築学・美学、遡行する塔の謎、屋敷に住まう人々の不思議加減など、相変わらずキュン・ドキッのシリーズ。
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シリーズ五弾。それぞれに異国へ旅立った黒猫と付き人。それぞれの場所で新たな謎に出会い、そして彼らもまた再会することに。事件の謎と、そしてふたりのなんともいえない距離感が気にかかるシリーズです。
「遡行する塔」がなんとも魅力的。そこにまつわる物語もだけれど、造形がとんでもなく独特だなあ。ビジュアルで見てみたい気がします。そしてロマンチシズム溢れる物語も印象的で。もちろんお決まりのポーに関する考察も読みどころです。
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『メエルシュトレエムに呑まれて』に見る物質と精神。
レモンの町で成長する〈朔行する塔〉、突如解雇される使用人、付き人を見初める映画監督、塔が崩壊するとき、離れた愛が引き合わされる。
謎の着地点も比較的合理的で、なにより付き人と黒猫の関係がよかった。物理的に離れた一年間でもてあました不安と葛藤、動き出した距離と、寸土めする理性、めずらしく恋するひとの涙にぐっときた。
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黒猫シリーズの5冊め。今回は、イタリアが舞台。パリから遡行する塔の調査にきた黒猫と、学会できたロンドンで映画監督にスカウトされた付き人が再会する。人間の可能性であるところの黒猫と、人間の心であるところの付き人が少し近くなったところで物語はおわる。
ポオの解体中はやや少なめで、でも付き人の成長をうかがわせる内容になっている。