紙の本
日本の高齢化社会において、誰もが立ち会わなければならない状況を面白く描いた作品です!
2020/09/12 13:01
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、詩集『ふ』(H氏賞)、小説『高円寺純情商店街』(直木賞)、『荒地の恋』(中央公論文芸賞)、『商人』(舟橋聖一文学賞)などの名作を次々に発表されている詩人で、作家のねじめ正一氏の作品です。同書は、「還暦を迎えたら、無理をすることが大切である」というちょっと奇妙な記述から始まります。初めてのタカラヅカに圧倒され、ジュリーの還暦コンサートでロックし、深夜に娘と二人でカラオケに行ったりと、そんな、人生の後半戦をジタバタしていたある日、母が病気になり、介護のために母の家へ通い、二人で過ごす時間などを綴ったエッセイ集です。そして、著者は母のためにある決意をします。一体、どのような決意なのでしょうか?我が国の高齢化社会と誰もが立ち会わなければならない状況を面白く描いた一冊です!
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淡々としてるけど、なんだかおかしい
そして今頃気づく
うちの父も86だった
あたしは還暦じゃないけどね
帯でびっくり
先の話を…
気になるから次も買うけどさ
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還暦を迎えきりりと鉢巻きを締め直すかのような著者と、いよいよ介護が必要になった老母のことなど。
これまで、老母と中年の娘といった関係の物ばかり読んできて、切羽詰まり、ある時は母を憎み、自分も体調を崩し、やっと見送ってホッとする…という本が多かったので、男性はやはり少し違うなと思ったのだった。
まずは、前向きなご自身の還暦生活だが…
(やっぱり団塊の世代はたくましいですね)
初タカラヅカで大いにはまったり、還暦のジュリーのコンサートを2回にわたってエッセイに物したり、俳句を始めて夫婦共通の楽しみを見つけ、娘さんから深夜のカラオケに誘われて、親子ながらお互いに気を使い合って絆を深めあったり。
詩人らしく、阪田寛夫、まどみちお、谷川俊太郎といった方々に関するお話、地元の商店街の今昔など、内容がバラエティーに富んで面白い。
しかし、後半に行くにしたがって、老いて行く母親の話が増える。
それもいたってカラッと書かれているのだが…
気が強く、「自分でやらないとボケる」と言い張り、ベッドからトイレに手押し車で往復するまで30~40分、タオルやセーターをたたむのに1時間…
針の穴に糸を通すのに30分以上、朝起きてから着替えるまでに3時間。
それでも、手を出せば怒るので見守るしかない。
気が長くならざるを得なかった著者であるが、時々はイライラするらしかった。
ただ、『還暦を過ぎたら無理をしなくては!』と頑張る著者と『やれることは自分でやる』といって介助をこばむ老母と…少し離れてみればそっくりではないかと思ったら微笑ましかった。
ただ、著者は母親と同居はしておらず、通いである。
一番ストレスをためているのは2世帯で同居している弟さんの奥さんなのではないかと思った。書かれていないけど。
ちょっと余裕をもって接することが出来るのはやはり、ちょっと離れていられるからなのだろうな、と思ってしまう。
この本の読み方はそこではないと分かってはいるけれど。