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西加奈子作家生活10周年記作品と謳ってるだけあって、のっけからとんでもないです。
ーー僕はこの世界に、左足から登場した。
この冒頭! 面白くないわけがないじゃないか。するすると読み進めて上巻を一気に読み終え、ゾクゾクが止まらず困ってます。
マイノリティーであろうとする姉、素直すぎる母、存在感の薄い父、そしていい子であろうとする歩。ホモセクシャルとかわけわからない宗教とかを随所で絡め匂わせながらも、舞台はイランテヘラン、エジプトカイロ、そして日本を巡る(西さんと同じ!)
下巻が楽しみ!!
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面白い小説は数あれど、傑作と思うものはそうそうない。でもこの作品は間違いなく傑作だ。久しぶりにぐいぐい読ませてくれる作品に出会った。西加奈子、恐るべし。
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イランで生まれカイロに住んだ、著者の経験も踏まえた作品。30代後半になり、生まれてからの半生を振り替える、圷(今橋)歩の物語。
男子の視点で描かれているのに、すごくリアルな感じがします。
下巻へ続く。
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本を開いて読み始めると思うこと。
うわー。テンション高っ!
(力技で物語に)ずりずり引きずり込まれる、
ぐわんぐわん巻き込まれる。
アイデンティティーとは。
自分を形作るものとはと考え込む。
活きのいい魚を急に持たされたように、
どうしていいのかわからなくなる。
…結果やっぱり読書って体力いるわ、とぐったり。
それでも面白くて目が離せない。
圷家の息子、歩くん目線の物語。
受け入れ、諦めること。
それに抗いまくる母と貴子。抗わない父と歩。
どちらかというと抗って納得しない私。
歩が家族との生活の反動で惹かれる芯がある人々に、
私も憧れを抱いてしまいます。
母国ではない国で生活すること。
初めての国での母の「嘘やろ」「阿呆か」
帰ってきた日本での「嘘やろ」「阿呆か」
これだけは譲れないってものがいかに脆いものなのか。
価値観がそうなのであれば、
人間の素の部分なんてもっとですよね。
脆いから揺れるから人間なんでしょうけど、
どうしたら芯が通っていくのかを、
歩と一緒に探しています。
歩の「諦観」がどのようになるのか。
自ら引きずり込まれて下巻に進みたいと思います。
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1977年5月、圷歩は、イランで生まれた。
父の海外赴任先だ。チャーミングな母、変わり者の姉も一緒だった。
イラン革命のあと、しばらく大阪に住んだ彼は小学生になり、今度はエジプトへ向かう。
後の人生に大きな影響を与える、ある出来事が待ち受けている事も知らずに――。
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上巻を読み終えた時点では、「上・下巻にする程の話でもないだろうに」というのが正直な感想。
下巻を読むことで、この感想を恥じることを期待して!
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(2015/3/3読了)
前作が私には不振だったので、上下巻もある長編の今作への期待がかなりあったが、上回る面白さだった。下巻が楽しみ!
垰家(今橋家)の長男・歩の語り部で書かれている。目線は歩のもの。
風変わりな家族や周りの人たち。異国である事の文化の違い。
精神愛ではなく同性愛、個性的ではなく狂気が、常に影以上の存在感を放っている。
(内容)
1977年5月、圷歩は、イランで生まれた。父の海外赴任先だ。チャーミングな母、変わり者の姉も一緒だった。イラン革命のあと、しばらく大阪に住んだ彼は小学生になり、今度はエジプトへ向かう。後の人生に大きな影響を与える、ある出来事が待ち受けている事も知らずにー。
(目次)
第一章 猟奇的な姉と、僕の幼少時代
第二章 エジプト、カイロ、ザマレク
第三章 サトラコヲモンサマ誕生
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作者の西加奈子さんは、何かのインタビューで
「私はこの本を書くために作家になったのかも」と言ってたが‥大作!
生まれた時の描写から始まり、丁寧でゆっくりとした時間経過だった上巻に引き換え、下巻になってからは怒濤の展開で登場人物それぞれのエピソードが繋がって回収されていく。
いつものように、ちょっとしたことば遊びもあり、作者のサービス精神に大いに笑って、そして深く考えさせられた。
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なんだかよくわからないけど、すごいな。
破天荒すぎる姉に読み手のこちらも辟易するし、どこまでも傍観者の歩にも共感はできないし母親もすごいし、とにかくみんながすごい。
特別な大事件(姉の奇行は事件だけど)が起こるわけでもなく、わりと日常をなぞってるだけなんだけど、ぐいぐい読ませるのは西さんさすがの力量。
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ダメだ!面白いだろうけど、入っていけなかった。
2014.11.24
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主人公の男の子がこの世に生を受けた瞬間から物語は始まります。気が触れた姉や常識の無い母に振り回されながらも、一見順風満帆に主人公は成長していきます。身体と心のバランスがちぐはぐなまま。
自分はあの人よりも幸せだ。自分はあの人よりも常識的であの人は非常識で間違っている。あの人のせいで自分の人生が狂ってしまった。よほどの聖人でない限り、このような負の感情を他人に向けたことは誰しも一度はあるでしょう。
自分の人生は「自分」が「決めて」いる、のに。
自分の「芯」が有りさえすれば、自分とあの人を比べることも憎むこともないはず。芯を持つということは何かを信じて生きるということ。信じるものは何でも良い。自分でも他人でも宗教でも、形あるものでも無いものでも。主人公の人生が傾きはじめたとき、彼は何を信じることでその傾きを持ち直そうとするのか。
一人称で綴られるこの長編小説はプロット無しで書き始めたとか。。。読むまでは、いくらプロの作家さんとは言え、少々無謀な書き方だなと思いましたが、主人公が生まれた場所(イランのテヘラン)や育った都市(大阪やエジプト)が西加奈子さん自身と同じであったり、主人公が現在の西さんと同い年(37歳)になるまでの物語という共通点を考えると、自身の歩んできた環境や価値観、倫理観、宗教観などはこの物語の中に自然とにじみ出てくるでしょうし、プロットが無くても構成はあらかじめ決まっていたかのように存在していたのかもしれません。私小説を読んでいるかのような疾走感を覚えたのも納得がいきます。
常に陰りがありながらも、どこかおかしみのある文章と登場人物たちの行動はいつもの西さん作品同様、健在です。傑作です。
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サラバ 上巻
主人公の歩に同感する意見がたくさんあった。
思わず、「そうなんだよなぁ」と声がでました。
年内中に 下巻を読むぞ!
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読み始めたら、止まらなくなった。
とにかくお姉ちゃん(貴子)が強烈。怒りながら産まれてきて終始世間と相容れない性格。その容貌(ご神木)もあいまって、ついには部屋から出てこなくなり、部屋いっぱいに巻貝の彫り物が…絵?
ここは読んだ時あまりの気持ち悪さに鳥肌がたったよ。
弟の歩の視点で語られていく圷家(離婚してからは今橋家)
この家庭では気配を消していきていくしかなかった歩。
エジプト、カイロでの日常生活が生き生きと語られ、面白い。
カイロでのヤコブとの運命的な出会い。その感情がめっっちゃ瑞々しいんだよね。
日本での高校時代の須玖との出会いや、大学時代の股のゆるい?鴻上との出会い。
下巻を楽しみに読了。
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何が正しいとか、こうあるべきだとか、こうしたいとか、そういうのを一切、感覚を研ぎ澄ました自分自身の底の方から掴もうとする。全てをフラットに並べて生で感じ取ろうとする。自由に柔軟に、傷付きやすさと逞しさを混沌とさせながら、生きていくことのコアになる宝物をまっすぐひた向きに求めている。
西さんの作品は、私にはそういう感じに思われて、作品それぞれの構成やプロットの善し悪しなどあまり気にならないのですが、この長い物語は長い必然性があり、特にヤコブとの場面が眩しく美しく、読んで良かったです。
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1977年5月、圷歩は、イランで生まれた。父の海外赴任先だ。チャーミングな母、変わり者の姉も一緒だった。イラン革命のあと、しばらく大阪に住んだ彼は小学生になり、今度はエジプトへ向かう。後の人生に大きな影響を与える、ある出来事が待ち受けている事も知らずに―。(Amazonレビューより)
とても「読ませる力」が強い作品という印象です。グイグイと引っ張っていってくれます。下巻の話の展開にさらに期待。