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アウトドアライター森山伸也氏によるラップランド紀行、ちなみにラップランドとは、北欧のスカンジナビア半島北部からロシアに跨る、先住民族サーミ人の居住エリアを指す。
2008年に行った北極圏トレイル縦断と、2009年のサーレク国立公園踏破の様子が、二部構成となって掲載されている。
いわゆる冒険的紀行文とはチョット違い、ほとんどが割と平坦なツンドラ地帯を歩き、しかも飲料水や果実も豊富な場所なので、危険なクライマックス的部分はあまり無い。
雄大なラップランドの自然描写と、その中を歩く森山氏の心理状態、そして擦れ違うハイカーとの交流や、時折訪れる北欧の街の様子がとても興味深く印象的だった。
若干文章がシーナ的だったのが読んでいて気になった、北欧と聞いてなんとなく勝手に星野道夫風を想像していただけに少し残念w
でも僅かに限られた情報だけを頼りに、とりあえず現地まで飛んでしまう森山氏の行動力には脱帽である、次回作も楽しみです。
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これは楽しい。著者が大学探検部出身で、北極圏徒歩行の記録と聞くと、壮絶な冒険をイメージしてしまうが、そういうたぐいのものではなくて、もっとあっけらかんと明るく、肩の力が抜けているところが好ましい一冊。
日本では登山とかトレッキングにはいろいろ規制やルールが多く、どうもストイックな感じがつきまとうが、そういう風潮に反発し、自由に自然の中を歩きたい!という著者のスタンスが、まことに若者らしくていいなあと思うのである。若い人ってこれくらいとがってなくちゃね。同時にどこかスットコな感じが漂っている所も好感度大。
随所で笑わせながらの自然な書きぶりに、もっと読みたいなあと思わせられた。添えられた写真がきれいで、肩の凝らない感じの装幀も内容によく合っていると思う。
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日本の山は、やれテントはここで張れだの登山道を外すなだの、小屋に泊まれば食事時間が決められ、みんな競って早立ちをする慌ただしさ・・・
そんなルールに縛られるのはイヤだ!!という森山さんは、誰もいない、山小屋もない、情報も少ない、とてつもなく広い荒野で、とんでもない景色が見たい、暑いより寒いのがいい、と言うことで歩かれたのが北欧のラップランドです。
北極圏に属していて、樹木はなく地衣類などのツンドラが広がるばかり、道はあるのか無いのか、というか好きなところを歩き放題、日が暮れたら適当なところでテントを張って眠る、というまさに森山さんにぴったりの条件。しかし言い換えると、道を外してさまよっても、熊に襲われても、けがをしたり病気になって動けなくなってもすべて自己責任、何の手助けも望めません。
ノルウェーとスェーデンとフインランドにまたがる北極圏450kmを40kgのザックを担ぎ、たった一人で歩くという、トレイルと言うより冒険?
でも森山さんは結構楽しんでいて、それはシーナ的文体で表されているが、靴ずれがだんだん大きくなっていく様子や、夜中カサ、カサという音に目覚め息を潜めていると自分のまつげの音だったとか、結構笑えます。
山は歩き始めて、1日・2日がしんどいけど3日4日と経つと体が慣れてきていくらでも歩けるようになるのだそうです。
そうか1泊2日くらいの山歩きはしんどいだけなのか・・・
いくらでも歩ける、そんな山歩きがしてみたいものです。
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道のない、微かな踏み跡さえない、なーんにもない手つかずの荒野に放り出されて、さぁどこへ行ってもイイよッなんて言われたら、ちょっと困ってしまうかもしれません。ふつう人は目的地があるから歩くのであって、そうでなければ歩かなければならない理由が???です。本書は北欧三国にまたがるラップランドのロングトレイル800kmを歩いて旅した記録です。日本の山ようにテントを張って良い場所や、火を使ってイイ場所が決められているわけでなく、どこで寝ても良いし、どこでたき火をしてもイイし、氷河を源流とする川の水は飲み放題だし、自己責任においてすべてが自由。夏は日が沈まないので、ふだんならすでに眠ってしまっている時刻までついつい歩いてしまったり、気に入った場所があれば食料事情の許す限り動かなかったり。常にリスクはともなうけれど、解放された、とても贅沢な過ごし方だと憧れます。著者は面白おかしく書かれていますが、しっかりしたリスク管理があってこそ楽しめる、大人の遊びだと思います。また、ヨーロッパの人たちは、日本のように最新のアウトドア装備で出かけるのではなく、長靴履きで、父親や、祖父が使っていたものを、そのまま譲り受けて、いまも使用しているというところがカッコイイですネェ。きっとアウトドアが非日常的なイベントでなく、日常に寄り添ったものなのでしょう。
本書にも書かれていましたが、こんなところには誰も足を踏み入れないだろうなぁという場所で、ふいに人の痕跡に出くわしたら、思わずゾッとしてしまうという経験が自分にもありますが、それだけ多くの人が孤独や何やらを求めて、山や荒野をさまよっているということなのでしょうネェ。
べそかきアルルカンの詩的日常
http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/
べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2
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冬のフィンランドしか行ったことないけど、夏のラップランドを歩くなんて贅沢な時間。
そして、北欧人のフィールドでの時間の過ごし方がいいね。歩くだけじゃなくて、自然の中で暮らすように気ままに移動する時間。あー、ただただのんびり山で過ごしてみたい。
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父親のお下がりを大事に使いながら生活の延長線上にラップランドがあるのと、日本百名山などルール、もしくはルール内ルールに縛られている日本的なトレッキングではどちらがいいのか?とふと考えてしまった。
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自然の中でゆっくりと長い時間を楽しみたい。体
感覚、思考、新しい発見の連続。いつか子供とロングトレイルをのんびり歩くことが夢かなと、思ってる。
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ラップランドという地名とそれが北極圏にあることは子供のころ読んだ絵本で知っていた中で、本書を見つけて、読んでみました。
著者と自分の感受性は結構近いようで色々な部分で共感でき、最後まで楽しく読むことができました。
ただ一番の感想(というか思ったこと)はといえば「自分の足で実際に歩いてみたい!」
これに尽きるかな。死ぬまでに絶対訪問するぞー!
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どこかに旅行に行った時の飛行機の中で読んだ。
旅に出る高揚感と相まって、自分もラップランドを歩いているような気分になった事を思い出した。
旅本は時々無性に読みたくなる。もう一回読み返してみたくなった。
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なんとも無茶な人である。行動的?行きたいから行って、そこでなんとか切り開く。感覚で動く。でも、使える情報は、使う。共感出来る部分がいっぱい。あー自由人。というか、やりたい放題!実に爽やか。
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読んでいると遠い外国の辺鄙な地を歩きたくなります。
ただ私には歩ききる精神力も体力も、ついでに資金力も完全に欠落しています。
なので歩きに行く日は来ないでしょうが(笑)
でも本書を読んで本当に北極圏に歩きに行く人は必ずいると思います。
そのくらい面白かったです❗