電子書籍
お試し版って
2015/11/27 02:57
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投稿者:szk - この投稿者のレビュー一覧を見る
ぐいぐい読ませるお話。続きが気になるので、これは買うしかない。お試し版ってそういうことかーー。正規版は電子書籍ではなくて、文庫で買おう。そうしよう。なんかちょっぴりミステリーな雰囲気で気に入った。おもしろいかもしれない!
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落ちぶれた小説家が生きている現実を小説化していく不思議な表現法を取っている。
偽札事件に巻き込まれた主人公が、辿って行くと自分の行為がその原因だと知るまでを描く。
不思議なテイストだが、佐藤正午の語りの上手さで読んでしまう。
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落武者となった元売れっ子作家が、そのままの自分を物語の中心人物として展開させてるところが面白い。闇社会問題なのか、ドロドロの痴情もんなのか、つかみどころをあえて見せないもどかしさが逆にはまる。奈々美の顛末が分かった時点で読後達成感を得たが、当然下巻を読まずにおれない。そもそも偽札の持つ意味とそれが今後どう関わってくるかという大事な問題がうまくかわされている。著者はちゃんと読欲媚薬を仕込んでいる。
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鳩の撃退法(上・下)佐藤正午著 事件の謎解きと洒脱な言葉遊び
2015/1/4付日本経済新聞 朝刊
以前こんなニュースを耳にしたことがある。あるカップルが、結婚記念の撮影のため100羽ほどの白い鳩(はと)を飛ばしたところ、近隣住民がそこへつめかけ、放たれた鳩を残らず捕まえてしまった。場所は中国。彼らにとって鳩は美味なる食材なのだ。
佐藤正午『鳩の撃退法』に出てくる鳩もまた、平和の象徴とはほど遠い。とはいえ、捕まえて食べようという話ではない。むしろ、一杯食わされるのは読者のほうである。頭から尻尾まで、おかしな小説である。
地方都市に暮らす津田伸一は、コンパニオンの女性を車で送迎する仕事についていた。あるとき懇意にしていた古書店主の老人が亡くなり、形見のキャリーバッグを受け取ったところ、中に入っていたのは、古本のピーターパンと絵本、それに3千万円をこえる札束だった。老人はなぜ大金入りの鞄(かばん)を自分に渡したのだろうか。
だが、やがて津田は、働いている店の社長から思いもよらない話を聞かされる。いま町で偽札事件が巻き起こっており、そのお札の出どころは津田自身ではないか、というのだ。しかも、1年前に一家3人が失踪した事件と今回の騒ぎはつながっているらしい。
本作は、小説家だった津田が、一連の出来事を文章におこしている、というスタイルで出来あがっている。なにか裏社会に関係した犯罪と絡んでいるな、と匂わせつつ、話は現在と過去を行き来するため、なかなか事件の全貌が見えない。主人公同様、読者もまた、パズルの欠けたピースがどういうものか、気になってしかたなくなる。
一方、頁(ページ)ごとに笑いを誘うくすぐりや気のきいた言葉遊びが連打されており、その面白さだけで読んでいるのが楽しい。たとえば、津田の働く店「女優倶楽部」の女の子二人、司葉子と内藤洋子による会話で、「津田さんこう見えても元作家なんだし、直木賞だって二年連続受賞してるんだから」「嘘。まじ?」とあり、思わず吹き出してしまった。後半、東京中野のバーに舞台を移してからも、抱腹絶倒の場面には事欠かない。
そのほか古本のピーターパンが男たちの間で回っていく筋立てをはじめ、主人公の勘違いぶりや再起への道など、ストーリーの要約だけでは紹介しきれない妙味が随所につまっている。そして、人物関係の綾と物語の断片がすべてつながるラストの快感。小説ファンにとって本作は、鳩をつかった贅沢(ぜいたく)なご馳走(ちそう)にほかならない。佐藤正午ならではの、洒脱(しゃだつ)で愉快で寓話(ぐうわ)めいた世界をぜひ、ご堪能あれ。
《評》文芸評論家
吉野 仁
(小学館・各1850円)
さとう・しょうご 55年長崎県生まれ。作家。著書に『ジャンプ』『身の上話』など。
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作家が身近な事件を題材に小説を書いているという体裁に引き込まれる。
最初の場面に戻ってきたけどこれからどうなる?
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読み始めて、なんじゃこの文章は
と思ったが。
脳内の言葉全部文章にしたような感じに
一瞬とまどったけど、
だんだん面白くなってきて
終電の切符券売機の場面では大
爆笑してしまった。
こりゃ癖になる。
後半も楽しみ。
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何とも不思議な読み物~1年と3ヶ月前の2月28日,深夜の暇なドーナツ屋でデリヘルのパート運転手・津田伸一は,居候先の銀行員の車・キューブを近くに駐め,後に失踪する一家の主から今の妻とは妊娠を知ってから結婚し,二人目が自分の子でないことも知っていると告げられる。古本屋からは3万4千円の借金の返済を迫られ,チンピラに因縁をつけられて,殴られる。雪の中,代わる代わるに人の送迎を依頼され,その日を境に人々が失踪する。そして,デリヘル・女優クラブの正社員となった今,古本屋が形見として残したキャリーケースの中の3403枚の一万円札が偽札だと判明した。失踪した一家・幸地はバー・スピン経営。消えたコンパニオンは高峰秀子,リピーターの晴山は郵便局員。晴山を雪の夜無人駅へ送り,ベンツのワゴン車に乗り換えて去ったが,幸地秀吉はベンツを所有し,顔役・倉田ケンジロウとも旧知の仲だ。晴山が秀子の元に残したハンディ・カムの映像で居候先を追い出され,幸地家と向かい合わせのマンションに住む不動産会社の専務・慎改家のベビーシッターの元に転がり込み,彼女のラパンが新しい足になった。普段はドーナツ店の店員で週末はちきちきでアルバイトをする沼本さんから借りたハンディカムで,晴山が残した動画を視ると,愛欲に溺れている様が手に取るように見える。年が明けて妊娠がはっきりし,晴山の子か夫の子として生むか幸地奈々美は悩むのだった~直木賞受賞者である元小説家が語る消えた人々の話。神楽坂の話が出てくるので東京の話かと思ったら大間違い,ホテル神楽坂でした!赤坂も!!
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本書を読む前に、津田伸一が登場する「5」を先に読もうとトライしたのだが、文体が合わず断念。
「5」ほどはではないが、やはり筆者の文体は苦手。とはすえ、図書館で長々待ったし、頑張って下巻も頑張る。
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中身は面白い。次が気になって早く読み進めたい。
だけど、文書に癖があって、仕事で精神すり減らしてる時には疲れる。イラっとする。
村上春樹って、やっぱり凄い小説家なんだな。どんな時でもすんなり世界に連れて行ってくれるもん。熱烈な村上春樹ファンではないけど、今更ながら分かりました。
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奇妙な小説だ。
物語は、ある街でバーを経営する幸地秀吉の話からはじまる。
彼には奈々美という妻がいる。そして、父親の違う子供、茜。2月28日、彼は妻から妊娠を知らされる。しかし、それは彼の子ではないと彼は知っていた。
この日起きる出来事が、この物語の全てといってもいい。
彼は、店の子から3万円の前借りを聞き、OKする。しかし、彼はその処理を店のものに頼んだ。
そして、友人でその街の裏の人間である倉田健次郎からあるものを入れた封筒を預かって欲しいと頼まれ、それもOKする。そして、それも店のものに頼んだ。
この日の早朝、彼は、仕事帰りのドーナッツショップで、マルボロを吸い、『ピーターパンとウエンディ』を持った男と会っていた。彼は元小説家で財布を持たず、金をポケットに裸で入れていた。また。紙幣を本の栞代わりに使っていた。
そこで、十分な会話が交わされるのだが、彼は妻のことと、自分には子供ができない体であるということも加えている。そして、彼が持っていた本の帯の「別の場所でふたりが出会っていれば、幸せになれたはずだった」というコピーをみて、その元小説家は、「小説家は別の場所でふたりを出会わせるべきだろうな」と言った。
そして、この日から翌日(29日となっているから、閏年だったらしい)にかけての話が展開されるのだが、なんと、この物語の主人公は、この元小説家という「僕」「津田伸一」なのだった。
そして、彼が5年ぶりに書くという小説なのか、取材日記なのか草稿なのか、がこの28日に常に戻りながら、津田伸一によって展開されていく。が、それを書いているのは、もちろん作者の佐藤正午氏なのだ。これも彼の5年ぶりの長編なので、津田伸一と佐藤正午もだぶってきて、おまけに「私小説は書かない」というような台詞もあって、その立ち位置を面白がっているようにもみえる。
そして、「僕」の実におこった事実を書いているといいながら、どこまでがそうなのかもわからない。そして、津田伸一は、これを出版するために書いているわけでもないという。小説家は、とにかく小説を書くのだという台詞もある。ところが、突然、読み手に語りかけ、いっしょに小説をつくりあげているような気にもさせたりする。
石井桃子訳の『ピーターパンとウエンディ』の引用も上手い。
たくさんの人物が登場し、奇妙なつながりを見せる。その中を、住所不定で元直木賞作家のくせにモデル小説事件を起こして出版界から締め出しをくい、女性を渡り歩いている、この元小説家が、この街に起きた失踪事件と偽札事件に関わり、それを小説にするという行為のなかで、もがき、ななんらかの答えを出すのだが。
上下巻を一気に読ませる。
津田伸一というのは主人公に魅力があるのかといえば、そうでもない。が、なにか書くという行為はこういうことなんだなと思わせる。それは、こうした事件を書くということでなくても、常におこる疑問であったり、快感であったりする。なにか、そうした書くことの根源的なところを改めて考えさせてくれる。もちろん、それは、全て読了してからの話なのだが、まあ、この物語はサスペンスであり、コメディであり、やっぱり、私小説のような気がする。
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佐藤正午、結構好きな作家さんです。
たいていの作品は読んでいます。
サイン本も持っています(目の前でしてもらったわけではありませんが)
しかしこの方恐ろしく寡作です。
この前は、どんな作品をいつ読んだのか全然思い出せません。
そんな中、新聞の広告欄で見つけた本作品。
上下巻の長編。新刊なのに図書館でリクエストしなくてもありました。あれ?
う~んけったいな題名です。
図書館の本は普通、帯は外され宣伝文句だけ切り取って表紙をめくると貼り付けてあるのに、この本にはない、全く予備知識のないまま読み始める、これも良いでしょう。
読んでいくと、うんうん思い出したこの人をくったような物言い(人=読者)決して読者に媚びない態度(かな?)これだこれが佐藤正午です。
なんだか突拍子もないことが起こっているなあ。
伏線もいろいろあるなぁ、これはご親切に作者が教えてくれたりします。
下巻になだれ込みましょう。
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図書館に予約。文字数はやたら多いが、いかにもキーボードで書いたのがまるわかりの推敲不足の小説。編集者は何をしていたのかねぇ。
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5年を掛けた1000枚に及ぶ著者会心の最高傑作…
各メディアにも取り上げられらしくなく気合十分であるようだったのでファン?としては彼の老後の生活のために買ってやらにゃ!と思っていたのだが本屋より先に図書館で見つけてしまって借りてきちゃった…正午さんゴメン。
さてその内容と言えば彼独特の瀟洒で(ふざけた)凝りに凝った(回りくどい)メタ要素(ひとつ間違えるとメタメタ)を内包する正統派(古臭い)ミステリー。
そんなこなでやはりこれは正午さんにしか書けない貴重な物語であることは間違いないだろう。さて半分終わった!その結末やいかに?
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偽札をめぐるミステリー。小説の中の現実と小説の中の小説が入り混じる、メタ小説のスタイルをとっているので、最初はちょっととまどうが、読み始めると止まらない。
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津田伸一登場!! 待ちかねていました。『5』で、誰も好きになる人などいないとの評判が高かった(悪かった?)いい加減なキャラクターが相変わらず冴えています。元小説家の津田は、その時々に付き合っている女性の部屋に居候をし、デリヘル嬢の送り迎えをして暮らしています。その津田が、いりくんだ事件に巻きこまれていくわけですが、津田の一人称形式の記述と津田が事件を題材に書いた小説形式の記述が混在しており、ますます複雑さに拍車がかかっています。下巻でのストーリー展開も楽しみですが、津田のいい加減な言動もますます楽しみです。