紙の本
うーん…
2016/04/08 02:13
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投稿者:ねこさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
購入してから1年、なぜか読まずにいた本。宮下さんの本なので期待してましたがなんかまとまりのない感じ。たった、それだけが言えないからみんな苦しいのだと思う。簡単な、たったそれだけの言葉でもそれを言うのはむずかしい。
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たったそれだけ、これだけ、ほんのちょっとだけ、そんな出来心で賄賂をしたり、その賄賂を告げ口したり、浮気したり、心が離れたり壊れたりなどなど。ほんの出来心から始まる連作短編集。
涙って書いてルイちゃん。わたしは好きだな。人名に相応しくなくても好きだな。綺麗。(まぁ確かに負のイメージは強いし、実際夫が勝手にそれで役所に出したら嫌悪するが)
たった、は命取り。後にも先にもつきまとう。
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「たった、それだけ」
タイトルに込められたモノ。「たった、それだけ」のことで人は変わる。堕ちる。救われる。
深々と忍び寄る怖さとか切なさを感じました。でも最終の第六章で、何かほっとした。
「たった、それだけ」のことを、大切にしていきたいと思った。
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展開が気になり,ページ数も多くないので,数時間で一気読みでした。
細やかな心理描写はこの著者らしかったですが,個人的には心に響く言葉はあまりなかったかなという印象です。
一番心に残り,涙が出そうになったのは,妻と成長した娘の「何にもあげらなくてごめんね」というやり取りでした。
妻と娘を置いて逃げた男の妻との思い出を語る場面。
とても逃げる前に複数の愛人がいた人物とは思えず,ギャップがありました。
しかし,本当に大事な人だからこそ,自分をさらけ出せず,愛人に逃げてしまうということはあるかもしれません。本作の主人公は決して愛人にも自分を見せてはいないようでしたが。
人間の多面性,不合理性も描いているのかなと解釈しましたが,そうであるのなら,せっかく興味深い題材なのに,もう少し,男に何があったのか,何を考えていたのか真実に触れる部分の書き込みがあった方が読み応えがあったように思います。
上記の点で,読後に物足りなさを覚えました。
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「たった、それだけ」と思えることで、何かがが大きく変わることがある。
色んなことが上手くいかなくて。諦めて放り投げて斜に構えて開き直って。仕方ないよ、どうせ私は…と小さくうずくまっている。そんな誰かがそばにいる。そんな誰かに、「どうしたの?」と、「大丈夫だから」とささやいて、ギュッと抱きしめてあげたら、変わるんだ、何かがきっと。そう、変えられるんだ、きっと。
今までいつも宮下さんの小説にそっと抱きしめられてきたけれど、今度は私が、ぎゅっと抱きしめてよう。うつむいている誰かをギュッと抱きしめよう。
そんな気持ちになる一冊でした。
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本の帯の言葉と2章くらいまで読んだ感じから苦手な作品かなって思いましたが、ルイの小学校時代から少しずつ物語の中に入っていけました。トータが「逃げているように見えても地球は丸いんだ。反対側から見たら追いかけてるのかもしれねーし」と言うシーンがあるけど、ちょっとした視点の違いや心の持ちようで、ぎりぎりで危ないバランスのまま生きていた人たちも、自分にも笑顔があることに気が付くのだろうなあ。瀬尾まいこさんが描く中学生が好きですが、宮下奈都さんの高校生も大好きです(って私が言ってもルイの胸はきゅうってならないだろうけど(^^;)。トータもルイも応援するよ。
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冒頭───
人を傷つけたことのない人なんていないと思うけど。
蒼井さんが言い出したとき、何の話を始めたのかわからなかった。ひとりごとにしては大きめの声で、だけど誰に向かって話しているのかもわからず、会議室でお昼を食べていた私たちはなんとなく顔を上げて彼女を見た。
「誰だって一度は人を傷つけている。たぶん、自分で思っているよりも深く」
何かの台詞だろうか。そういえば、どこかの劇団に所属している女優だと言われても納得しそうな、独特の雰囲気と立体感を蒼井さんは持っていた。
空いた会議室には女性社員が十数名。少し離れたところの人には聞こえていないらしい。封切りになったばかりの映画の話をしている。
──────
ある会社の部長が突然失踪した。
彼には贈賄の容疑がかけられていた。
その男と関わりのある人たち。
不倫関係にあった会社の女性社員。
男の妻。
男の姉。
小学生の娘。
それぞれの視点からその男の失踪によって受けた影響による日常が語られる。
誰もが、その男はそんな大それたことをするような人間ではないと信じていた。
「小説推理」に連載されていた作品だが、一般的なミステリーではない。
“たった、それだけ”のことで、人々はどんな風に変わらざるを得なかったか。
読後感は悪くない。
最後に、上手く物語は収束する。
心がほっこりするようなお話です。
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収賄容疑をかけられた男とその妻と子、愛人、姉...この事件にかかわる人たちの視点から描かれた連作短編集。事件に関わってしまった人たちが、辛く厳しい現状の中で、たったそれだけと思える、ひとすじのささやかな光が差し込むことで、前を向き、現状を切り開く。ルイとトータの話が良かった。
重い題材を扱った作品なので、読むまでちょっと憂鬱でしたが、読み始めて話が進むにつれて、この作家さん独特の一筋の光のようなものを感じて、前向きになれる作品でした。読後感もよくて、じわじわくる作品でした。
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宮下さんの初期の作品が好きで、新刊が出ると読むようにしてますが…なかなか最近はいい!と思える作品に出会えなくて残念。これもちょっと期待ハズレでした。
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思春期や人生に惑う世代の日常を描いた作品が多い印象だけれど今回は少し毛色の変わった連作短編集。
商社の海外営業部部長の望月は収賄を告発され、妻と生まれたばかりの娘を置いて姿を消し、それにより人生を左右された人たちの物語である。
1話は望月の愛人であり、彼の不正をリークした女が主人公。
なぜ彼女は愛する男を陥れるような決断をし、更に彼を逃したのか。
彼女がトラウマとして持っている友人のSOSを見過ごし救えなかった過去と重ねあわせ、心の機微が繊細に書かれている。
2話目以降、望月の妻、姉、時間が10年ほど進み娘の担任、娘と主人公を変えながら話は進んでいく。
最終話では逃亡した望月と思われる男と一緒に介護施設で働く青年が登場する。
最後に望月と娘が再会しそうな気配で物語は終わる。
登場人物それぞれに過去やトラウマがあって、望月の話は補足的に出てくるのだが、もう少し彼の人物像が濃く書かれた方がひとつの物語として重みが出るのではないかと感じた。
ひとつひとつの話は悪くはないけれど全体としてまとまると薄味な感じ。
1話のトーンがとてもよかったところで、2話が少し異質な設定で戸惑った。ああいうのは3話か4話あたりに持ってくる方がいいだろう。
どうしてもまとまりのない感じに思えてしまいジャンルが不明確でひとつの物語として満足度が上がらない。
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「たった、それだけ」・・・そうなのだ。たったそれだけの、ささいなことなのだ。しかし、そのささいなことの、どれを選ぶかは、その人自身が決めることなのだ。
このタイトルに込められた意味を、この小説を読んだ人は深く噛み締めることになるだろう。。。
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贈賄の罪が明るみに出る前に失踪した男と、その妻、姉、娘、浮気相手。考え抜いたそれぞれの胸の内からこぼれでた“たった、それだけ”のこと。本屋大賞ノミネート作『誰かが足りない』の感動ふたたび。人の弱さを見つめ、強さを信じる、著者の新たなる傑作!
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それぞれの章で主役を替えて語られる物語。だがそれは、一貫して贈賄の汚名を着て、ある日突然失踪した望月正幸というひとりの男にまつわるものだったのである。望月自身はその姿を現すことはほとんどなく、取り残された周りの人たちのその後が描かれているのだが、いつもそこには色濃く望月の気配が漂っている。そしてラスト。これほど近づいたのにここで終わってしまうのか、ともどかしい気持ちにもなるが、それからのことをあれこれ想ってみるのもまた興味深い。たった、それだけのことが作りだした波紋は意外に遠くまで及ぶものだと思わされる一冊でもある。
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ある事件の発生と、関係する人々の20年近い歳月。それぞれの人の気持ち(あるいは心情、思い)がとても丁寧に描かれていて納得されられ、こういうところが著者の持ち味だなぁと思う。ただ微妙な違和感の元は、事件が起きたのが恐らく今、現代だということ。であれば物語が進むに従って我々は未来を読んでいることになるわけだけど、そういう気持ちがまったくしないこと。おかしいというわけじゃないけど、不思議な感じ。ともあれ、ルイと"益田さん"に幸あれと思った。
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会社で贈賄を担当させられていた一人の男。彼を取り巻く妻、愛人、娘……それぞれのドラマを描く連作短編。
「たった、それだけ」のことで、人生はいともたやすく歯車を狂わせる。けれど、「たった、それだけ」のきっかけでその歯車が元に戻る。「たった、それだけ」の言葉をかけられずに後悔し続ける人もいる……。苦しい時には逃げてもいい。そんなふうに、自然に思えるやさしい物語。
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ある事件により失踪した男性の周辺の人たちのその後の話を連作短編としてまとめている。サスペンスではない。事件を起こした人の周辺ではその後の人生にも影響を与える。重ためのテーマ。所々ずしっとくる。いつもの雰囲気からすると沈んだ内容だけど、著者の作品の中では2番目に良かった。