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本書は、表題の「九年前の祈り」から始まり、「ウミガメの夜」「お見舞い」「悪の花」という構成で、独立した物語のように思えるが、それぞれの物語が交錯している。
しかし、書下ろしではないので、短編として読むことも可能と言いうことだろうか。
淡水の中をたゆたっているような、朧げなそして頼りなさげな印象で、私の好みではなかった。
文章も少し説明し過ぎな感じがして、神経質な印象を受けた。
ただ、舞台となっている大分県佐伯市は素敵なところなんだろうなと思った。
今の私にはしっくりこなかった。
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文藝春秋に掲載されているものを読みました。
→http://ameblo.jp/sunnyday-tomorrow/entry-12001080658.html
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返却期限が迫ったため、表題作のみ読みました。
子育てをしたことのない私には希敏の様子がよくあることなのか特殊なのかわからないけど、「ミミズ」の描写は読んでいてきつかった。
連作短編集らしいので、いつか時間があるときに読み直したい。
芥川賞作品はむずかしいなーという印象、継続中です。
作者が男性だということに、少し驚いた。
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カナダ人と離婚して息子を連れて大分県の故郷に帰ってきた35才のさなえがヒロイン。
美しいハーフの息子は度々癇癪の発作を起こして「引きちぎられたミミズ」のようにのたうちまわる。それを冷ややかな視線で受け止めるヒロイン。どこまでも暗くてあまり楽しめませんでした。過去と現在を行ったり来たりするエピソードも読みにくかったです。
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腐敗から生じた毒がさなえの体を通して息子に伝わったのか。ひきちぎられたミミズ。激しく身をよじらせるミミズ。背後には悲しみが立っている。悲しみが行う慰めは、さすられる者とそれに気づいてしまった者の心の痛みを増すだけ。心はひどく落ち着かない。なのに太陽の光を浴びる建物もその上に広がる青い空も美しい。逡巡に苛まれながらも気づいたときには悲しみは後ろにはなかった。悲しみは聞きたくなければ聞かなければいい。相手にされなければ悲しみの方から去っていく。
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大分県佐伯氏のある浦を舞台とした中短編集。
「九年前の祈り」
「ウミガメの夜」
「お見舞い」
「悪の花」.
の4編収録。
全編に流れるテーマとしては田舎ならではの閉塞性と近親者に脳や発達の病を持つ不安とその先の救いと思います。
「九年前の祈り」は現在と過去と心象の風景が混在する白日夢のような状況の中から祈りによる希望を見出す純文学、
「ウミガメの夜」3人の大学生のそれぞれの事情とそこから抜け出すためにもがいていることをひっくり返したウミガメに投影した青春小説、
「お見舞い」は田舎にとらわれた男の友情小説、
「悪の花」は老人の後悔の先の光明に至る救済小説、
と様々なスタイルで難解な作品もありましたが、比喩なども文学的で楽しめました。
しかも、それぞれの物語間で登場人物のつながりもあるようで、一つの村の群像小説にもなっているようでした。
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陰鬱。とめどなく流れる思考をとめどなく描き連ねたような、くどくて分かりにくい文章。純文学の評価基準が分からない私には、イライラするだけの苦手な本でした。
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芥川賞受賞作品。病気のお兄さんに向けて書いた作品だそうだ。
大分県佐伯市が舞台で、「九年前の祈り」の他、「ウミガメの夜」「お見舞い」「悪の花」の三篇。少しわかりにくかったが、みっちゃん姉の祈りは心に残った。
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標題作の中編1編、他短編3編。
大分県の忘れられたような過疎の漁村を舞台に、少しずつ人物も重複しながら、現在と過去をごちゃ混ぜにした、どうかすると妄想も混じっての心象小説。とにかく暗い気分が全体に漂うが、どこかに静謐な光を感じさせる。まあ、芥川賞らしい小説とは言える。
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表題は芥川賞受賞作。
あたしの中では、
円城塔さんと同じカテゴリー。
「掴みにくい文章と苦手な不思議感」
無礼千万だな、オレ。
でも、表題作の過去と現在が繋がる感じは嫌ではなかったし、小さな希望に光を感じられた事が嬉しい。
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芥川賞作品という事で読んでみた。でなければきっと手に取らないものだったかも・・・
そんなに分厚くないのに読み進めるのに苦労する。
大分県が舞台というのはとても気に入ったのだが。
短編が4つ。どれもさりげなく繋がってる。
「ウミガメの夜」が1番読みやすかったかも。
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地方の小さな町の人間関係はいつもどこかしら繋がっている。そんな町の群像劇。
なんとも言えない救いのなさ。希望はなく、閉塞感に満ちた話なのだけど、強烈なリアリティーがある。今日の不幸は明日も明後日も続く。
でも、絶望もできない。
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152回芥川賞受賞作。文章表現が綺麗だと思ったり分からなくてモヤモヤしたり。九年前の祈りより、他の短編の方が読みやすいかも。田舎の感じは分かる。あるある。
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読んでいて気持ちいい話ではないが、なんだか読みすすめてしまった。
よくわからないが、ザラザラする話。
海ガメがすごくかわいそうだったなー。
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芥川賞受賞作です。図書館で順番待ちしてました。
芥川賞の読みにくさは毎度のことですが、今回は意外と悪くない作品だと感じました。
シングルマザーとして郷里に帰る主人公。カナダ人とのハーフの子供は発達障害?で、田舎の閉塞感のなかで息苦しさに耐えながら人生への不安に押しつぶされそうになっている。
ある日、昔お世話になった知人の息子が入院中と知り、見舞い品の貝殻拾いをしに子供と離島に向かいながら9年前にその知人たちと行ったカナダ旅行の記憶が重なり・・・というお話。
主人公の母が、息子のありのままを受け入れる半歩を踏み出すまでの心理を描いています。
過去の記憶と現在が入り混じり、少し幻想的な雰囲気が分かりづらく読みにくくしているのですが、そこにある主人公の焦りや諦めや迷いは伝わりました。