紙の本
時代の胡椒
2016/12/23 10:38
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
香辛料を巡って血なまぐさい争いが繰り広げられる。モーガンのように、海賊がいつのまにか権力者になってしまうことも考えさせられた。
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イギリスとオランダがひどい。こいつらが勝手にひとの国で争ったせいでインドネシアがこんなひどいことに。台所で胡椒を握りしめるたびに「イギリスとオランダがひどい」と思い浮かぶ。
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熱帯地域でしかとれない香辛料 胡椒。この香辛料がヨーロッパに伝わると、徐々に人気を得て需要が高まると同時に、胡椒獲得のため、ポルトガル、オランダ、イギリス等々の国々で熾烈な競争が始まる。
胡椒の産出地であったスマトラ島は胡椒の輸出で潤うと同時に、これらの西洋諸国の支配と争いの影響も受けて、虐殺や隷属化の被害も受ける。
「血で染まっている」という胡椒の歴史を辿った本。そうか「東インド会社」というのは胡椒を買い付けるために国が起こした会社だったのか!という受験勉強世界史の復習になったり、遠くスマトラまで胡椒を求めて航海する船が途中の島々で食糧確保するための乱獲が「ドードー鳥」や(このちいきの)「陸ガメ」を絶滅させたという処にも繋がっているということを知らされます。
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胡椒をはじめとする香辛料貿易の歴史。オランダとイギリスの両東インド会社の争闘と、その植民地支配と貿易の暴虐も含めて、大航海時代とその結果を描く。
出航すると半数が死ぬような航海に出るような連中でマトモな人間はそりゃいないわな。
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西洋における胡椒の歴史の本。ラーメン屋で無料の胡椒を好きなだけかけるのが当然の現代からすると、「なんでそこまで」と言いたくなる。西洋の人々にとって胡椒とは「力づくでも奪い取る」対象だった。
帯には「ひと粒の香辛料に惑わされた人類の歴史」とあるが、本書を読む限りでは主語が大きい。惑わされ、暴虐の限りを尽くしていたのは西洋の人々ではないか。アジア・中東の人間が貿易をしていたところに、ヨーロッパ人が暴力で奪いに来る。もちろん最初から戦闘というわけではなく、最初は貿易からなのだが、商館を足がかりに要塞を建築し、支配区域を広げていく。同じヨーロッパでも国が違えば敵なので、商船への海賊行為もいとわない。まさしく暴虐である。
とはいえ当時のヨーロッパが、あらゆる点でアジアより優れていたわけではない。少なくとも大航海時代と呼ばれる頃など、文化の点ではアジアの方が進んでいたと言ってもいいだろう。しかし、結局は武力で勝負が決まった。現代は違うといいが、と思ってしまう。
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身近な調味料である胡椒が世界史に与えた影響を記述する本。「暴虐の歴史」とあるが言うほど血なまぐさい争いの記述が続くわけではなく、大航海時代に胡椒を求めてヨーロッパからアジアへ渡ってきた人々の所業が描かれている。原題である"A History of the World's Most Influential Spice" (世界で最も影響力のあるスパイスの歴史)の方がしっくりくる。
ヨーロッパの人々が、腐りかけた肉のにおいを消すために胡椒を求めアジアへ到来したとされるが、当時の富裕層の人々は新鮮な肉を手に入れることができたので必ずしもそうではない、らしい。
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胡椒という食物から見た世界史。胡椒とは何か、胡椒をめぐる争いを中心に世界史を俯瞰する。世界史の中で胡椒が果たした役割は非常に大きい。大航海時代と言われ、ヨーロッパ人がアジアを目指したのも胡椒が目的だった。これは歴史の授業で学んだことであるが、実際はどうだったのか。様々な資料をもとにアジア、特にインドネシアを中心に、当時の様子が紹介されており、知らなかったことも多くて大変勉強になった。 アジアを巡るヨーロッパ各国の争いも想像以上で、残虐なことが頻繁に起きていたらしい。 その中で、著者の思い入れがある人物がトマス・ラッフルズ。 彼については、約20ページ弱を割いて詳細に紹介している。
因みに昔、シンガポールに旅行した際、観光でラッフルズホテルに行ったことがあり、また彼の像を見たこともあるが、どのような人物なのかよく知らなかった。昔の知り合いに出会ったような感じで、その業績を改めて知って驚いた。東南アジアの国々、この本の取り上げられているジャカルタ、シンガポール、ジョホールバルに行ったことがあり、その町が胡椒貿易で栄えたことを知った。 旅行で観光しても、町の歴史まで考えることがなかったが、この本を読むとかつて訪れた都市が身近に感じる。 大変面白かったけれど、素人でもわかるような数字の間違いが所々にあり、変だなと思うことがあった。良い本だけに、それが少し残念だった。
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ヨーロッパではろくなスパイスが採れない。だからアジアに進出した。これは有名な話。胡椒が欲しかった、というのも有名な話。
それにしたって「暴虐の世界史」だから、ヨーロッパ人は武力でアジアの人々を屈伏させ、奴隷化したり殺したりした。胡椒利権をめぐってヨーロッパ人同士も殺しあう。胡椒を買うためにアヘンを売る。産地はズタボロである。19世紀になると、アメリカが乗り出してきて、町を灰にする。
航海には食料が必要で、ドードー鳥はたちまち絶滅し、アザラシの群れに大砲を撃ち込み、ペンギンも思いのままに殺した。親子連れのクジラの子を1日かけて殺すシーンもある。ゾウガメもウミガメもどしどし食べて絶滅に追い込んでいく。
胡椒は肉の腐臭を消すために使われた、という通説があるが、これは間違いだそうだ。胡椒は嗜好品だった。金持ち向け、といっていいだろう。その胡椒を求めて、こういうことが行われてきたのだ。
最終章では、なぜか胡椒の薬効が取り上げられている。それも、大航海時代に考えられていた歴史的な話、というよりも、これからの胡椒の薬効の可能性、のような話だ。どうしてこういう章が書かれたのか。胡椒に新たな価値が見出され、再び暴虐の歴史がやってくる、などということはないだろうが、果たして。
人の欲深さ、罪深さが重なって現代の食生活の基礎が出来ている、と思うと、なんとも気分が悪いものだ。胡椒以外も見れば、過去の話ばっかりじゃないのだろうが。
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オランダ東インド会社、イギリス東インド会社を中心とした、西欧からの胡椒の取引と帝国主義、植民地など。『ダンピアのおいしい冒険』と時期や登場人物が一致する部分も多い。世界史は苦手な上に、年代、地名、人物など登場人物が多い。歴史書的な語り口で、物語的な盛り上がりは少なかった。
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それまでは中東を通って陸路でヨーロッパに運ばれていたアジアのスパイスを、海路で直接ヨーロッパに輸入しようとした歴史を知れる本。
世界史で習ったバスコ・ダ・ガマの喜望峰到達やマゼランの世界一周が、その当時はただ探検、冒険のためだと思っていたが、実は交易をするため、富を得るために航路を開拓していたのだと知れた。
スパイスはヨーロッパでは自生せず熱帯のアジアでしか獲れない。地理的条件によって地域ごとに特産品が異なり、それらを交換することによって交易が行われてきたというのを歴史の実例として知れたのがよかった。現代ではお金が中心にあるように思えるが、根底は実物の資源、商品を交換することこそが商売、経済なのだと思えた。