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紙の本
街並み、景観とは何かを問い直す
2006/07/17 21:24
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は前編の『街並みの美学』の続編である。前編では著者の街並みに関する考察と、世界の街並みのさまざまな評価を著していた。
本書もその延長にあるものだが、空間に関する考察、これは前編で述べていた著者の考え方をおさらいしたものである。続いて、景観の構成、これも前編で述べたものを違った例を引いて解説したものとなっている。この当時としては明確には出てきていなかったものの、その後ウォーター・フロント開発で注目された水辺の美学が登場している。
以降は、都市環境への提言と世界の景観分析で前編とは異なった実例が紹介され、評価が加えられている。
都市環境への提言では、最近ではよく見るようになったコミュニティ道路、ボンネルフが提言されている。商店街の例では横浜のイセザキ・モール、ミネアポリスのニコレット・モールなどが例として紹介されている。
つい最近、東京の押上に高さ600メートルの電波塔の建設が発表された。その先駆であるパリのエッフェル塔、東京タワーの景観上の設計的な配慮の違いについて興味深いコメントが語られている。
都市の景観としては橋が目立つ存在だが、これもフランスのポン・デュ・ガール、イタリアのポンテ・ベッキオ、サンフランシスコの金門橋、東京の日本橋などそれぞれの違いが面白い。
前編ではやや理論的な解説が多かったが、本書では実例が中心となっているせいか、大変読み易かった。やや古い時代の建築家、ル・コルビュジェやオスカー・ニーマイヤーの建築に関する概念が少しずつ消えて行き、芦原氏は新地域主義を提唱している。温度、湿度は地球上では地域によって大いに異なっており、地域の気候に根ざした建築はそれぞれの文化や特徴が反映されているという。
わが国も建物の内部空間の美だけではなく、玄関扉の外、すなわち隣接する建物との調和や街路、庭などとのバランスなどに配慮した空間構築を考えようとの主張である。当然、わが国の都市では空間自体が狭く、そういう空間的な余裕がないというのも一理あるのだが、配慮のある空間は結果として違うものである。
もうだいぶ昔だが、コロンビア大学のロバート・スターン教授が『アメリカの建築』と題して、本書でも登場したフィリップ・ジョンスンのグラスハウスや、ミース・ファン・デル・ローエのシーグラム・ビルなどを紹介した連続テレビ講座があった。本書にも多様なメディアで多くの人に紹介すべき価値ある啓蒙的な内容が含まれていると思う。
紙の本
前著を発展させた本
2008/07/09 20:46
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者の主張の基本線は正編とかわっていない.西欧の建築が壁の建築であるのに対して日本の建築は床の建築であるという.日本の建築が龍安寺石庭のように「内から眺める景観」をつくっているのに対して西欧の建築は「外から眺める景観」をつくっているという.日本人がこれまでは外から眺める景観に無頓着だったために街並みの美しさがなおざりにされてきたが,いまこそそれをもとめるべきときだという.本書には,前著にはなかった水辺の美しさやエッフェル塔と東京タワーなど,さまざまな景観が分析されている.
前著ほどの新鮮さはないが,あわせて読むことでさらに理解をふかめることができるだろう.