紙の本
この映像作品がDVD単体でなく、書籍として発表された理由
2008/05/06 00:12
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
圧巻は、何と言っても3枚のDVDでしょう。この本はこのDVDにこそ価値がある、と言っては言い過ぎかもしれませんが、何度見てもその美しさに見とれてしまいます。かと言って映像にだけ頼った作品ではなく、きちんと言葉でも解説されているので、この本のタイトル通り「見てわかるDNAのしくみ」がわかったような気分になります。
最新の知見を入れた表現は、学生時代に教科書などで見た図や絵では理解しきれなかったDNAの姿を十分教えてくれます。パソコンやCGなどの技術は、こういうところにこそ使われてしかるべき、と思わせられます。学生時代にこれがあれば、もっと興味を持って理解できたのではないでしょうか。
であるならば、これをわざわざ書籍として発表することはなかったようにも思えますが、それもまた浅はかな考えであるようにも思えます。
第1部ダイジェスト編はDVDから抜粋してきた絵や図が収められており、ここだけでもビジュアル科学雑誌のようで、昔ならこれで十分理解の足しにしていたのでしょう。
そして第2部メーキング編を読むことで、DNAをいかに理解していくべきかを、この映像作品の制作過程を知ることによって同時に知るようになっていると見えます。そう、この作品が単にDVDだけで発表されたのではなく、書籍という形をとった理由もここにあると思えます。
さらに、中村桂子氏の「あとがき」にはDNAやこの映像作品のことだけでなく、生命科学が目指していくべき方向性(それを中村氏は「生命誌」と名付けて近年活動をしてみえるのですが)が丁寧に語られており、ここまですべて含めて理解することが大切なのだと思わせられます。
それにしても、やはり圧巻はDVDに収められている映像作品です。何度も何度も見入ってしまいます。
紙の本
本文「メイキング編」も忘れずに読んでください。
2008/02/21 09:00
9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
DNAの構造や機能を、DVDの動画を中心にして出来る限り「リアル」に説明する。DNAやタンパクのモデルはよく出来ていて、「細胞の中、核の中で、柔らかく動き回っているたくさんの分子」というイメージがよく伝わってくる。ちょっとした芸術作品ともいえるような、宇宙旅行をしているような画像もあって楽しい。
本編が15分ぐらいずつ3枚のDVDにわけられ、少し詳しい説明がさらにそれぞれに15分ぐらいずつ。何度か見返しながら進むことや、難しいことはあとで見るなど、理解程度にあわせて見られるのは親切である。子供には楽しく、少し知っている人には「なるほど」、専門家には「ああ、こんな風にも考えられる」と、段階に応じて新しい理解のきっかけになりそう、というのもよいところ。
わかりやすいのだが、そこにもかなり高度な内容が含まれている。DNAの複成の際、片方は短い部分にわけながら複成される(いわゆる岡崎フラグメント)ところは、作者も随分工夫したハイライトの部分なのだろう、表紙にも使われているし、何度か登場する。
DVDが中心ではあるのだが、是非読んで欲しいのが第2部メーキング編(第一部はDVD内容のダイジェスト)である。動画のハイライトでもあるDNA複成のところなど、あれこれと粘度やモールを使いながら機構を説明する方法を工夫する様子から、「手で考え、模索すること」の大事さが伝わってくる。
まえがきには「これはDNAそのものの本です(p5)」と強調されてはいるが、ここで示された動画はあくまでも大きさや色などを工夫し、「こうであろう」と想像されたもの。そのことがこの「メーキング編」にはきちんと書き込まれている。
少し前のHotelさんの書評にも、「~がわかる」的なタイトルの本の陥りやすい危険性についての指摘があり、思わず同感の声をあげていたところであった。よく出来ているからこそ、疑うことも少なく、表層だけの理解になってしまうおそれも大きい。これはある意味、現代的な「教育のジレンマ」ではないだろうか。だからこそ、この本に関してはメイキング編を忘れずに読んでいただきたいと思うのである。
画像処理などで積み上げた技術だけでも相当なものになると思う。製作者の方々には、是非この画像化技術を使って他の生命現象の分子表現も作品化して欲しい。
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メインは付属のDVDなんですが
これがなかなか良く出来ていて(・∀・)イイ!!
みてて飽きませんねぇ。
DNAの複製とかたんぱく質の合成とか
毎日からだのなかのどこかでこんなことが
起こっていると考えるとめまいがする。
いきものふしぎ。
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2008/5/31 メトロ書店御影クラッセ店にて購入
2008/8/25~8/26
DVD3枚がついたヴィジュアルブック。DNAやRNA、それに関係するたんぱく質の動きなどが綺麗なCGで表現されている。まさに芸術である。また、自然が一番の芸術であることを再認識させてくれる本。科学好きはもちろん科学嫌いの方にもお勧め。
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DNAがたんぱく質を作ったり、分裂したりする機構をCGで再現したDVDが付いています。遺伝学や進化生物論関係の本はよく読むのですが、実際にDNAがどう働いているかと点については、いまいちピンと来るところがなかったのですが、何となく分かったような気にさせてくれます。mRNAとかリボゾームとか減数分裂とか動原体とか、高校の生物で勉強したときに聞いたような言葉が連発です。
ブルーバックスという媒体がベストの選択であったかどうかは分かりませんが、こういった成果をDVD付書籍という形で世に出したという点は非常に意味があるように思います。
この本を読んだ日に、米クレイグ・ベンター研究所で細菌のゲノムを人工的に合成することに成功したというニュースが出ていました。まだまだこの分野の進歩は続きそうですね。
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[ 内容 ]
「ダイナミックに動くDNAの姿を見せたい!」
生命誌研究館スタッフの10年以上にわたる挑戦の結果、CGを駆使した大迫力の映像が誕生した。
DNAは、体のどこにあり、どんな働きをしているのか。
ゲノムの専門家が見ても、何も知らない小学生が見ても、それぞれ発見と感動がある映像美をご堪能あれ。
[ 目次 ]
第1部 ダイジェスト編
第2部 メーキング編-誕生物語
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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理系大学生、そして生物科のものですがこのDVDには驚かされました。とっても綺麗、そしてとってもわかりやすい。もちろん細部は省かれてはいますが、ここ何十年で飛躍的に進化した生物学の一端を最も綺麗な形で触れることができるでしょう。楽しめる一冊だと思います。そして、今までの遺伝子やDNAといった概念が覆され、ものすごく動的なものであると考えさせられると思いいます。
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これは本というより、DVDですが。。。
様々な進化の本を読んで、圧倒的にDNAについての知識が足りないと感じ、見てみた。
結果、本当にこんなものが何もないところから自然発生したとは、到底信じられない、と思った。
一つの細胞の中に、こんなに精巧なナノマシンが入ってるとは!まさに生命の神秘。
いまの学校では、こんなのを見せたりするのだろうか?もし高校生の私が見てたら、人生違ったかも。。。
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DVDは映像がきれいですごくよかったです。
ブルーバックスの『大学生物の教科書 第2巻』でDNAの複製について読んだのですが、全体的な流れを把握するのが難しく、動画でみてみたいと思ってこの本を買いました。この本で正解だったと思っています。理解が深まりました。
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DVDの映像によりDNAの細かい動きがイメージで分かる。
リーディング鎖とラギング鎖があってDNAが複製されるとか興味深い。本編ではDNA複製装置が動いているように説明されているが「詳しく見る」映像では、実は、逆にDNAのほうが動いていることが示される。こんな便宜的な映像も多いので、全部見て初めて分かったといえるものだ。
これに限らず、このDVDのメニューも少しミスリーディングな気がするのだ。「詳しく見る」は独立した映像の単位であって、決して大見出しに対するブレイクダウンではない。でもレイアウトはそうは見えない。これら「詳しく見る」も見ないと全部見たことにはならない。
塩基3つずつでアミノ酸ができるところまで高校で勉強した記憶がある。それがリボソームで行われ、かつ、コドンとアンチコドンにより、mRNAの上をtRNAが2つずつ連係し合って、アミノ酸配列を作り、しまいにはシャペロンに何度も入って蓋をされて締め上げられてたできるとはタンパク質の来歴もすごい。
全部すごい映像だけど、終盤に出てきたヌクレオチド除去修復の映像とか特にすばらしい。生物の不思議。
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http://lib.s.kaiyodai.ac.jp/opac/opac_details.cgi?amode=11&bibid=TB10070814
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DVDだけ見た素晴らしい。そして自分の体の中のいたるところでこんなことが行われているとは、なんてグロテスクなんだと思わずにはいられなかった。
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素晴らしい。多くの教科書は,名著と呼ばれるものであっても,静止画と文章に留まらざるを得ないという限界がある。「生きもの」というダイナミクスは読者の想像力に委ねるしかない。そこに来て,このCG表現は見えない世界を見させてくれる優れた道具で,DNAの振る舞いを(実際の見えとはきっと異なるが)捉えられるようになる。この労を負ってくれた表現者に感謝だ!
*****
とにかく研究の世界では表現は重視されていない。本当はこれではいけなんだと思います。これから変わっていくとよいなと思うことです。興味深いことに,自分が研究しているものは大きく,目立つように描き,それ以外のものはいい加減に描くという傾向がありました。重要なものを研究対象にしているんだぞと無意識のうちに思い,また表現する時もそれが外に出てしまうのかもしれません。(p.71)
映像に限りません。このような形で皆が共有できるものをつくっていくことの意味は大きいと思います。研究が細分化し,それぞれの知識が統合化されずにいると,せっかくたくさんのデータがあっても,それが「生きている」を知ることにつながりません。ちょっと生意気な言い方になりますが,研究者とお会いしていて,ここは動いているはずなのに止まったものとして考えているなとか,もう少し広く見れば新しいことが見えてくるのに残念だと思ったこともあります。研究よりも広い視野を要求される表現の持つ役割と可能性を再認識しました。(p.74)
科学も演奏まで行って初めて科学として存在するという認識を持ち,そのためにはどのような演奏をすればよいのかを工夫するところまでを研究の一部と考えているのです。もちろん演奏はたとえであり,科学の楽しく美しい表現を求めているのです。(p.88)
Science Communicationの場合,科学研究の多くは税金で行われるのだからその成果を説明する義務があるというところから始まっています。そこで,科学は素晴らしい,役に立つと宣伝することになります。私たちは,そもそも科学って何なんだろうというところから皆で考えたいのです。そのためには,基本の基本を表現し共有しなければなりません。科学は科学のためにあるのではなく,自然について考える一つの手段なのです。その中で生物学は,生きているってどういうことだろう,人間ってなんだろうということを考えるわけで,それを表現することが大事です。(p.89)
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個人的な興味で進化論や遺伝子の本を何冊か読んでいるが、素人なのでDNAの構造や働きなどがイメージできなくてモヤモヤしていた。本書はBLUE BACKSであるが小さなDVDが3枚付属されており、DNAの構造から始まってタンパク質合成(転写と翻訳)、DNA複製と細胞分裂、DNAの損傷と修復、減数分裂などの仕組みについて映像で表現されている。あくまでもDVDがメインで、本はそのダイジェストとメーキングである。DNAのダイナミックで複雑な動きが視覚的に示されることで明確にイメージできるようになった。特にDNAがコンパクトにまとまって染色体の構造になる仕組みや、タンパク質合成でアミノ酸の鎖が合成されていくところ、ラギング鎖の複製、組換えのメカニズムなどは映像ならではだと思う。著者らの「DNAの持つダイナミズムを伝えたい」という想いが詰まった作品である。
Disk-1
1.DNAの構造
2.DNAははたらく-真核生物-
・詳しく見る
・DNAははたらく-原核生物-
・DNAがほどける
・mRNAをつくる
・タンパク質をつくる
・リボソーム
Disk-2
3.DNAは伝える1-複製のしくみ-
4.DNAは伝える2-分配のしくみ-
・詳しく見る
・原核生物のDNA複製-開始から終結まで-
・DNAとタンパク質、どっちが動く?
・DNA複製と細胞分裂の連携
Disk-3
5.DNAは変化する1-不安定なゲノムDNA-
6.DNAは変化する2-減数分裂のしくみ-
・詳しく見る
・ホリデイ構造
・組換えの起源
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弾さんは「30億塩基は一見にしかず」という。
大学時代憧れだった、三菱化成生命科学研究所の中村桂子
オビには、あの「福岡伸一が絶賛」とある。
8cm DVDが3枚ついてくる。
本のようにして売っているDVDという感じ。
中味は、「百聞は一見にしかず」
30年前、コーン・スタンプの生化学で学んだことが、動画で見られる。
そういうことだったのかというのが多々ある。
久しぶりの堪能したビデオだった。
「生命って本当にふしぎですねぇ」