紙の本
「常識」を超えるところから始める
2017/09/22 07:23
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本の著者長江貴士さんについてまず書く。
昨年盛岡のさわや書店フェザン店に端を発して全国の出版関係者書店員読書人を驚愕させた「文庫X」の生みの親が長江さんである。
おそらく出版界のニュースの歴史にも刻まれるであろう「文庫X」は既存の作品(新潮文庫の清水潔の『殺人犯はそこにいる』)に長江さんのメッセージを書いた独自のカバーで書名を隠して販売したものだ。
結果話題が話題を呼んで大きなセールスにつながった。
この本ではそんな「文庫X」がどのようにして生み出されて、何故拡販していったかを直接の仕掛け人である長江さん本人が語っている。
長江さんは「よい企画とは、お客さん自身ですら自覚していない潜在的な欲求を満たすもの」としているが、決してそういううがった考えで「文庫X」を作ったのではない。
純粋に『殺人犯はそこにいる』という作品を多くの読者に読んでもらうにはどうしたらよいかと考えた結果だという。
「文庫X」とすることで本来手に取られにくいノンフィクションの作品も読まれるのではないかと長江さんは考えた。
「常識」からインパクトのある企画は生まれ難いとも書かれているが、この本は「文庫X」にまつわるマーケティング本ではない。
驚くかもしれないが、この本は生きにくい時代を生きる、サバイバル本でもある。
長江さん自身、慶応義塾大学に進学するも中退。普通の就活などすることなく書店のアルバイトとして10年ほど過ごし、さわや書店にスカウトされて経歴がある。
「文庫X」は長江さんにとってはひとつの道標でしかない。
だから、副題の「「常識」に殺されない生き方」が、この本のことをよく語っているといっていい。
紙の本
『書店員X』
2017/07/25 19:55
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投稿者:百書繚乱 - この投稿者のレビュー一覧を見る
1書店で4ヶ月半に5034冊を売った「文庫X」
これを仕掛けた書店員が、「文庫X」を生み出した発想法と常識や先入観にとらわれない自由な考え方、生き方を開陳する、示唆に富んだ読みごたえのある新書
「文庫X」=『殺人犯はそこにいる』を読んだ人にも未読の人にも
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消費者が求めているのは、モノではなく、未来の私。
永遠のゼロも、思考の整理学もさわや書店なのかー。
失敗できる風土があるってのはうちと似てるなぁ
コンセプトは共感されすぎちゃいけないが(されてたらとっくに、誰かやってる)、巻き込むには共感が必要、というのは同感。
全体的には文章が冗長で、あまり力強いものではなかったかなぁ。「文庫X」がどういう背景の元に生まれたか知るだけで良かった。
他の本の引用が多くて、大学生の卒論みたいで、
副題の「常識」に殺されない生き方は正直言い過ぎ。
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昨年の夏から冬まで日本中の本屋で話題書として積まれた「文庫X」の仕掛け人、さわや書店の長江氏が語る本と本屋と自分について。
なぜ長江氏は「文庫X」を産みだすことになったのか。彼は何を求め、何を求めなかったのか。
世間の「普通」圧迫に押しつぶされずに生きていくためのエッセンス。
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「文庫X」の仕掛け人による、どちらかというと「生き方」について書かれている一冊。予想外の内容でした。
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2017年37冊目。
自分で勝手に作り上げている「小さな輪郭」をもっと広げる、そのためのヒントになる一冊だと思う。
著者の長江さんは、ユニークな企画を通じて地方から全国規模のベストセラーを多数生み出してきた名物書店「さわや書店」の書店員さん。
あるノンフィクション作品に衝撃を受け、「同じ体験を他の多くの人にもしてほしい」という強い思いを持つ。
その想いの末に去年(2016年)実施され大きな話題になったのが、タイトルも著者名も隠し、長江さんのこの本に対する想いと値段だけを書いたカバーを巻いて販売する「文庫X」という取り組み。
この企画が大ヒットとなり、全都道府県600以上の書店に取り組みが拡散、その書籍も30万部を超えるベストセラーになった。
感銘を受けたのは、この取り組みは「何の本だか隠して売ってみたい」という「企画ありき」ではなく、「力技になってでも、この本を多くの人に読んでほしい」という「想いありき」だったということ。
「デザインや著者名を隠すとは何事」と批判もあったそうだが、「この形でなければ、絶対にこの本には出会えなかった」「自分では絶対に選ばないタイプの本だった」という読者が多かったそう。
『書店員X』では、「文庫X」の取り組み内容だけでなく、それ以上にこの「先入観を取り除いて、未知のものに出会うこと」の価値が説かれている。
検索アルゴリズムが発達し、ネットではどんどん自分好みの情報ばかりが集まるようになってきたこの時代、便利な一方で、「自分の関心ごとの範囲内」にしか留まれないリスクも高くなる。
そんな中で、長江さんは、未知のもの・分からないものに出会うことは、自身の輪郭を広げていくきっかけになるという。
(まさに「文庫X」の読者がそうだった)
そういう意味で、過度な「共感」に縛られすぎないように、という意見は面白い。
そうして未知との出会いを増やし、先入観や常識を打ち破っていく先に、「普通」に縛られる生きづらさがほどかれていく、そのことが長江さん自身の体験ともリンクして語られている。
読後純粋に、「あえて」無関心だったこと・食わず嫌いだったことに身を委ねてみる時間を作っていこう、と思えた。
ちなみに長江さん、年に200〜300冊読み、毎回3000〜5000字のレビューを、15年書き続けてきたそう。頭が下がる。
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長江さん、すぎょい!
予想してなかった内容だったけど、逆によかった!!
居場所が、ちゃんとあって・・・見つけられて、というか、見出されて、というか、とにかく、よかった!!
親になると、子供のことをいろいろ、はみ出しちゃうと、生き難いかなぁとか思っちゃったりして、つい自分の観念の枠の中で育てようとしてしまったりするけれど、子供って、人間って、あんがい強かったりするんだよなぁ。
その強さを信じて、見守れるような親でいたいとは思うんだけど。
ちゃんとわかってくれる人との出会いが、もれなくあるといいんだけど、そこがなかなか難しいんだよねぇ。。。
長江さんもすぎょいけど、さわや書店さんもめっさすぎょいんだよね、これがwww
世の中を生き難いと思っている人に読んでもらいたいな、みんな自由に生きられたらいいのにな~。。。
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さわや書店という盛岡の名物書店におけるキャンペーン「文庫X」は、文庫のバーコード以外をあえてお手製の推薦文を書いたブックカバーで隠し、売ることで、爆発的な売り上げを上げた。
その「文庫X」を仕掛けたのが筆者。
あえてカバーをすることで本の正体が隠れ、カバーがかかっていなかったら、普段ノンフィクションを読まないような人にまで本を買わせることができた。書店でしか買えない、希少価値、プレミア感も醸し出したのであろう。
第一章の「文庫X」とはなんだったのか? は文庫Xの現象に対する当事者としての現場感がひしひしと伝わり面白い。
なにより、さわや書店の自由な社風が魅力的。
今の書店が本を売る大変さ、けれどもその逆境があるからこそ、このような本を魅力的に見せる様々なチャレンジがされるのだなと感じた。
第二、三、四章は、作者の主要のようなものが書かれているが、正直「文庫X」という現象と関係はあるが、作者個人の思いが徒然に語られている印象。
先入観、自由、共感など、一般的で抽象的な言葉が使われているが、この本で語られている内容においては、筆者なりの言葉の定義があるように見受けられたが、その掘り下げが、様々な他の本の引用であったり、特に定義について明確なものがないまま、一般的に語られたりしている印象があり、少し散漫な印象を受けた。
本文中にも「この新書を書くのにかけた稼働は5日間程度」とあり、やはりもう少し遂行して書けば、もっと多くのことを簡潔に書けたのではないかと惜しい気がする。
ただ、文庫Xの中身も読んでみようと強く思ったので、このプロモーション(=筆者の熱意)はそれだけ魅力があるということだと思う。
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「文庫X」は、知っていたが、買わずに終わってしまった。
このため、文庫Xの中身がなんだったのか?を知らなかった。
そして、さわや書店の存在も、長江貴士さんという書店員さんのことも知らなかった。
偶然、図書館で手にした本をパラパラしてみたら、文庫Xの話で、面白そうだなーと読んでみた。
第1章の主役は、文庫X。
あの頃、本屋でそれを目に留めておきながらも、「中身がわからないのは怖い」と避けてしまった自分に後悔した。
この波に乗りたかったなーと切に思った。
第2章から先は、哲学的な部分が多いかな。という印象をうけた。
第2章「普通」からの逸脱 「逃げる」を肯定する生き方
第3章 世の中を疑ってみる
第4章 「常識」や「先入観」を越えた先の「自由」
自分を含め、人間は「先入観」にとらわれて生きている。
そのために、知らぬ間に自分で色んな壁を作ってしまっている。
その「先入観」を越えた先に、自由があって、生きやすさがある。
そんなニュアンスを読み取り、少し楽な気分になったし、「あー、あの時のこれが、先入観を超えた時だなー」と思えるものを自らの経験の中に見つけて、喜んだ。
とりあえず、次は、文庫Xの中身を読んでみたいと思う。
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昨年、書店業界を席巻した「文庫X」。その仕掛け人が、独自の発想法や今後の小売のあり方、行き辛さを抱えた人々へメッセージを語る。
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読むべき本かといわれると人による。だが、出来がいい本かといわれると間違いなくいい本。というか、著者の書店員・長江貴士100%という内容。
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文章で埋め尽くしたカバーで表紙を隠して何の本かわからない状態で販売していた「文庫X」を仕掛けた書店員さんの本です。
もちろん「文庫X」のことも語られているのですが、中心はこの長江さんという書店員さんの考え方です。私はこの考え方にとても共感しました。今の「社会」の中でどう生きていくか、考えさせられます。他人と同じじゃなくてもいいじゃないか。そういうことです。
「わからない」と言って、自分から離れたもの・ことを遠ざけるのは、かなり残念な状態だと私も思います。自戒も込めつつ。
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2016年、<文庫X>という、書名や著者名、ジャンルすら隠し、書店員のその本を推すコメントだけで本を売る、さわや書店の新しい本の売り方は、全国の書店員を巻き込み日本中に広がった。その仕掛人の初著作。
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自分とは異なる考え方を持っていて新鮮だったし、常識にとらわれないこと、自由に生きることについて新しい視点を持てたと感じた。
清水潔さんと長江さんのオススメの本をぜひ読んでみたいと思った。
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当時書店員だった私がそんな売り方が?と羨望と悔しさを感じていた文庫Xの舞台裏的な軽い本を想像して手に取ったのですが、世の中の常識や先入観にいつのまにかがんじがらめになりあたりまえと思っている事は果たして本当にあたりまえなのか?そもそもあたりまえとは何なのか?本文中に幾度となく出てくる「常識」「先入観」「自由」という事について常に考え続けさせられる本であった。