百書繚乱さんのレビュー一覧
投稿者:百書繚乱

スマホ脳
2020/11/30 21:14
『スマホ脳』
15人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
《今あなたが手にしている本は人間の脳はデジタル社会に適応していないという内容だ。》──「新しいまえがき」
睡眠障害、うつ、記憶力や集中力、学力低下、依存など、スマホが人間の脳に与える悪影響にスウェーデンの精神科医が警鐘を鳴らす
「脳が蝕まれる」などセンセーショナルに煽るのではなく、人間の脳の進化の歴史と最新の脳科学の研究成果をもとに、冷静に、ときにユーモアをまじえながらエビデンスを示して解説する
原著は2019年にスウェーデンで出版された“Skarmhjarnan”(Screen Brain)
前作『一流の頭脳』に続く世界的ベストセラーの邦訳、2020年11月刊
新潮新書のイメージが変わる濃密な1冊
巻末には「デジタル時代のアドバイス」を収録
・プッシュ通知をすべてオフにしよう
・スマホを寝室に置かない
・SNSは交流したいと思う人だけをフォローしよう
これらの提言はすぐにでも取り入れたい

「言葉にできる」は武器になる。
2017/02/05 19:59
『言葉にできるは武器になる。』
14人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
「言葉が意見を伝える道具であるならば、まず、意見を育てる必要がある」
この前提に立ち
「内なる言葉」で意見を育てる7つの手順と
それを「外に向かう言葉」に変換する2つの戦略を提唱
著者は電通のコピーライター
直近のコピーに「バイトするなら、タウンワーク。」がある

読みたいことを、書けばいい。 人生が変わるシンプルな文章術
2019/07/09 19:22
『読みたいことを、書けばいい。』
12人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
《本書では「自分が読みたいものを書く」ことで「自分が楽しくなる」ということを伝えたい。いや、伝わらなくてもいい。すでにそれを書いて読む自分が楽しいのだから。》
というコンセプトの文章術の本
《『文章力向上72のステップ』などという本を見ると、気が遠くなる。だいたい、いつまでステップしているのか。いい加減にホップするなり、ジャンプをしてはどうか。》
など人を食った内容に微苦笑しながら読み進めるうちに、大切なことがわかってくる
・ターゲットなど想定しなくていい
・だれかがもう書いているなら読み手でいよう
・物書きは「調べる」が9割9分5厘6毛
書くためのテクニックではなく書くための考え方を学ぶと人生が変わる
そして本書でなにより大切なのは
《いずれにせよ購入することが大切だ。》
ということだと著者は念を押す
電通のコピーライターを経た自称“青年失業家”初の著書
購入して損はない

あるかしら書店
2017/08/10 20:06
『あるかしら書店』
10人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
「あの、スイマセン。
なんか『ちょっとめずらしい本』って・・・あるかしら・・・?」
「ああ! ありますよ!
ん──・・・とネ。
たとえばこんな感じ、どうかしら。」
「あるかしら書店」のおじさんが出してきてくれたのは...
『「作家の木」の育て方』本の間にタネをはさんで土に埋めると...
『世界のしかけ絵本』とび出す絵本、とけ出す絵本、かけ出す絵本...
『2人で読む本』上巻、下巻を上下に2冊ならべて同時にめくって読む本
『月光本』月明かりだけに反応して発光するインクで印刷された本
「うーん。・・・
じゃあ、この本ください!」
こんな感じで「本にまつわる仕事」の本、「本にまつわるイベント」の本、「本そのものについて」の本など、ヨシタケワールド全開の奇書珍本稀覯本がもりだくさんラインナップされた希書
本への愛に満ち満ちたポプラ社創業70周年記念作品にふさわしい傑作

運気を磨く 心を浄化する三つの技法
2019/11/03 19:20
『運気を磨く』
9人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
人生において「良い運気」を引き寄せる方法とは
人生の習慣を改める
人生の解釈を変える
人生の覚悟を定める
《最初に申し上げておくが、本書は、この「運気」という問題を「オカルト」的な視点から語る本ではない。反科学的な「神秘主義」の視点から語る本でもない。》
「運気」を信じ、「運気」を向上させたいと願う人への示唆となる一書
しっとりとした語り口は著者の講演を髣髴させる
本書により、光文社新書からは知性、才能、人間、運気と続く4部作となる

ビブリア古書堂の事件手帖 2−1 扉子と不思議な客人たち
2018/09/27 19:04
『扉子と不思議な客人たち ビブリア古書堂の事件手帖』
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
前作(7巻)で描かれたシェイクスピアの古書にまつわる事件から7年がたち、栞子と大輔に娘が生まれ6歳になっている、という設定で本書(8巻)の物語がスタートする
眼鏡をかけていないこと、年齢が違うことを除けば、整った顔立ちや長い黒髪が栞子にそっくりなその娘、名を扉子という──その名前には、様々なことに興味を持ってほしい、たくさんの扉を開けてほしいという夫婦の願いがこめられている
表情豊かで受け答えもはっきりしているのは栞子の妹文香に似ているが、本にまつわることはなんでも知りたがるのは母に似ており、他の子どもたちにはまったく関心を示すことなく、友達はひとりもいなかった
この扉子に栞子が、本にかかわるエピソード(本編に盛りこめなかった話やそれぞれの登場人物の前日譚や後日譚)を語っていく
北鎌倉と大船の超ローカルな描写があり、ご当地本としてもたのしめる
黒木華×野村周平の映画『ビブリア古書堂の事件手帖』は11月1日公開

コロナ黙示録
2020/07/20 19:11
『コロナ黙示録』
9人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
豪華クルーズ船ダイヤモンド・ダスト号で起きたコロナの感染爆発
感染者の受け入れ先になった東城大学附属病院はゾーニングに徹する
五輪に執着する安保首相に事態収拾の手腕は期待できず
取り巻きの今川、泉谷両補佐官が火に油を注ぐ
有朋学園事件で公文書改竄を実行し自殺した赤星氏
妻が国賠を提訴し遺書と手記を公開、「新春砲」が炸裂する
《混乱する政治と感染パニックの舞台裏!
世界初の新型コロナウイルス小説》──帯のコピー
そのとき厚労省の“火食い鳥”白鳥が、“北の将軍”速水が……
コロナ下の日本で進行する異常事態を戯画化して描く海堂尊の最新書き下ろし
「桜宮サーガ」が勢ぞろいした虚実ないまぜの痛快小説、2020年7月刊

英語だけの外国語教育は失敗する 複言語主義のすすめ 座談会林徹×鳥飼玖美子×大津由紀雄×斎藤兆史
2017/06/30 22:20
『英語だけの外国語教育は失敗する』
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
「グローバル人材育成」を旗印にした英語力育成だけに邁進する教育政策に対し、「複言語・複文化主義」の立場から提案をつづける研究者たちによる4冊目のブックレット。
専門を異にする四者に共通するのは外国語教育における母語の意義。日本社会において、英語は日常的に使う第二言語ではなくあくまでも「外国語」であることをふまえ、「英語による英語授業」を基本としないこと、口頭でのコミュニケーション一辺倒でなく文字や書きことばを活用すること、などを主張する。
本書にはシンポジウムと座談会、日本学術会議が出した「提言」を収録。

こころの深呼吸 気づきと癒しの言葉366
2018/03/11 19:28
『こころの深呼吸』
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
発信するtwitterのフォロワー数7万3千人以上
マザー・テレサの勧めでカトリックの司祭になった『ひめくりすずめ』の著者が贈る1年366日の“気づきと癒し”の断章
親の愛が無条件だと知っている子どもは、
心を満たした愛の力に動かされ、
家族や友だち、社会のために頑張ります。──2月8日
「あなたは、あなただというだけで素晴らしい」
それが最高の褒め言葉です。──5月18日
幸せな人が「ありがとう」と言うのではなく、
「ありがとう」と言える人が幸せなのです。──10月28日
「キリスト教」分類だが、聖書を知らなくてもすーっと入ってくる数々のことばたち
文庫サイズで読みやすく、こころが深呼吸できる一冊
通読でも、ランダムに日めくりでも、もちろん毎日1ページでも

子どもの脳を傷つける親たち
2017/11/19 19:33
『子どもの脳を傷つける親たち』
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
脳研究に取り組む小児精神科医が明らかにした驚くべき事実
過度の体罰を受けた子は前頭前野の容積が小さくなる
性的マルトリートメントを受けた子は視覚野の容積が減少する
暴言によるマルトリートメントを受けた子は聴覚野の容積が増加する
そして、子ども時代に受けたマルトリートメントが学習意欲の低下や非行、うつ病や摂食障害、統合失調症などの精神疾患をもたらす
「虐待」だけでなく言葉による脅し、威嚇、罵倒、あるいは無視する、放っておくなどの行為、子どもの前での激しい夫婦げんかなども含む「マルトリートメント(=不適切な養育)」と、子どもの脳の発達の関連性を科学的な視点から分析し、早期対応の重要性を説く
「世界一受けたい授業」で紹介され大きな反響を呼んでいる新書

君の名は。
2016/09/18 21:18
『君の名は。』
8人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
真知子と春樹のすれ違い物語(菊田一夫『君の名は』)
かと思えばさにあらず
一夫と一美の入れ替わり譚(山中恒『おれがあいつであいつがおれで』)
とも趣を異にする
山深い田舎町の宮水三葉と東京に住む立花瀧
出会うはずのない二人の高校生がムスビつく
つばさ文庫版は角川文庫版『小説 君の名は。』にルビをふり
読みやすくしたもの

小説家になって億を稼ごう
2021/04/12 20:00
『小説家になって億を稼ごう』
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
《年収億超えの人気作家が本気で伝える禁断のハウツー》──帯のコピー
物語を『想造』する方法から売り込み方、編集者や出版社との付き合い方まで、独創的で具体的なノウハウが満載
・顔写真入り登場人物を七人と五人選び、風景写真三か所で舞台設定する
・十二人の登場人物と、三か所の風景が貼られた部屋でしばし寝起きする
・物語のあらすじをWordを使って四十字×三行で表現する
・第一幕=設定を十行、第二幕=対立を二十行、第三幕=解決を十行でまとめる
・原稿完成前にあらすじを編集者に見せてはいけない
これで本書の五分の一
ここまで書いていいのかという“前代未聞、業界震撼、同業者驚愕”のノウハウを指南する
これだけで書けた気にはならないが、書けたら“億”になりそうな気がしてくる説得力がある
《本書でご紹介するのは、小説家で「食べていく」のではなく「儲けて富を得る」方法です。》──「はじめに」より
著者は『千里眼』『万能鑑定士Q』『特等添乗員α』『探偵の探偵』『高校事変』など数々のベストセラーシリーズを持つ人気作家

行動経済学の使い方
2019/10/18 21:21
『行動経済学の使い方』
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
伝統的経済学では説明しきれない人間の“不合理な”意思決定
たとえば
老後の貯蓄が必要だと思っていてもなかなかできない
宿題や仕事の締め切りがあるのにそれを先延ばししてしまう
ダイエットの計画は立てられるのに実行できない
など
本書は、行動経済学の知見を活用して人間の意思決定を合理的でよりよいものにするためめのヒントを紹介する
人間の意思決定のクセを説明する行動経済学の4つの観点(第1章)
・プロスペクト理論(確実性効果と損失回避)
・現在バイアス
・社会的選好
・ヒューリスティックス
合理的な意思決定に導くキーワードは「ナッジ」(第2章)
《行動経済学はいまや「使う」段階に来ているのだ。》──カバー紹介文より
医療・健康活動への応用(第7章)、公共政策への応用(第8章)の解説にはなるほどとうならされる
記述の正確さとわかりやすさを両立した岩波新書らしい一冊

ヒロシマ消えたかぞく
2019/07/14 18:19
『ヒロシマ 消えたかぞく』
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
わたしのうちは 広島のはりまや町の とこやさん
おとうさんが 写真をとるのがすきで いつも にぎやか
おとうさんの めがねをかけた わたし
猫を おぶった わたし
道路に らくがきをする 英昭おにいちゃんと わたし
ピクニック
じんじゃの おまいり
おとうとの護が うまれた
おんぶしてあげる
あしたは なにを しようかな
ね おにいちゃん
1945年8月6日 午前8時15分
原爆によって
すべてが 変わった
すべてが なくなった
広島平和祈念資料館「新着資料展」の記録写真に出会った著者が
残された13冊のアルバムをもとに構成した絵本
《すべてをうばいさった、あの原爆。
でも、このかぞくが生きたあかしを消すことまでは、
けっしてできません。》
全ページ英文対訳つき
“A Family in Hiroshima ─Their Vanished Dreams”
《この一冊をとおして、あなたのまわりのだれかと、いのちや平和について語りあえる機会が生まれることを願っています。》
まためぐってくる夏の日を前に
親子で、教室で、手にとってほしい一冊