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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2006.3
- 出版社: 日本放送出版協会
- サイズ:20cm/408,21p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-14-081100-5
紙の本
東西逆転 アジア・30億人の資本主義者たち
著者 クライド・プレストウィッツ (著),柴田 裕之 (訳)
中国とインドの躍進が、世界経済のルールを変える。そのとき日本は、アメリカとともに、衰退の道を歩むのか? ベストセラー「日米逆転」の著者が警鐘を鳴らす、21世紀のパラダイム...
東西逆転 アジア・30億人の資本主義者たち
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商品説明
中国とインドの躍進が、世界経済のルールを変える。そのとき日本は、アメリカとともに、衰退の道を歩むのか? ベストセラー「日米逆転」の著者が警鐘を鳴らす、21世紀のパラダイム・シフト。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
クライド・プレストウィッツ
- 略歴
- 〈クライド・プレストウィッツ〉1941年生まれ。アメリカ経済戦略研究所所長。国務省、民間企業勤務などを経て、レーガン政権で商務長官特別補佐官を務める。著書に「日米逆転」「ならずもの国家アメリカ」など。
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紙の本
アジアに生まれる30億人の資本主義者たち
2006/09/19 14:43
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る
BRICsという言葉使われ始めて2年少々がたつと思うのですが、そのなかの中国とインドが台頭し、日本のGDPを抜くのはこれから10〜20年の間と言われています。
まさに、本書が提言する「資本主義としての東側」が世界を席巻します。グローバリゼーションの第一の波は大航海時代。第二は第二次世界大戦後のグローバル化。そしてこのBRICsがもたらす新しい世界バランスが第3の波。
著者はベストセラー『日米逆転』『ならずもの国家アメリカ』を記した知日派。日米貿易摩擦時の辣腕対日交渉担当官でした。
本書でも世界各国をめぐり、肌で感じた中国、インド、アメリカ、日本、EU、ロシア、南米諸国の実情を語ります。
インドの医療業界はジェネリック薬品で有名で、日本でもおそらく数年のうちにお目見えすると思います。インドの薬品は優秀で、ジェネリックではないですが、私も頑固な頭痛をやわらげてくれるインドの薬があって、常用していたことがあります。アーユルヴェーダなどの民間療法ではなく、西洋薬品です。
また、インドの紅茶農園との直接契約をしている日本の代理店があるのですが、そこの社長さんはインド旅行の代理店もやっているんですね。よく「白内障ツアー」というインド旅行を組んでいるのですが、これがどういうシステムなのか、本書を読んでようやく理解しました。
インドでは一流の病院で手術しても、飛行機代と滞在費を足しても自国で治療するよりも半分以下の医療費しかかからない。整形外科、心臓病などの外科治療が主に使われていて、年間数十万人のアメリカ人、カナダ人が利用しているという。
「白内障ツアー」もこれと同じシステムなんですね。
インドはITだけじゃないのね。
各国の優劣を公平に記しているのですが、インドは今のところ問題点がないばかりか、有利な点が目立ちます。おそらくインドが最終的には世界一の経済大国になるでしょう。
本書の目的はアメリカへの警鐘。BRICsの台頭によりアメリカに頼った経済は成り立たなくなる。ドルとアメリカ国債のばら撒きを続けると、それらを各国が売り飛ばすと、アメリカは没落していく。その「売り」の発端は現在友好的な日本になる、というもの。
確かに中国に生産工場を頼り、インドにITをはじめソフトをアウトソーシングし始めれば、アメリカへの依存度は軍事面だけになります。極東情勢が安定すれば、日米安保はいらなくなります。
しかし次に厳しいのは日本への警鐘。今のままでは「アジアのスイス」になってしまう。繁栄を続けるのだとしたらアジア統一通貨が不可欠と説きます。さて、これって日本が呑めるか。40年はかかりそうですね。
中国と南米、EUとインドの貿易や経済協調が着々とすすんでいる記述には、日本がとり残されていく雰囲気が漂います。今までのような繁栄はいらないけれど、没落していくのはつらいですね。
紙の本
近未来の日本、米国、中国、インド
2008/03/24 14:09
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:CAM - この投稿者のレビュー一覧を見る
原書の書名は「30億人の新しい資本主義者たち」、副題は「東洋への富と力の大移動」となっている。 ここでいう「東洋」とは、(残念ながら)日本ではなくして、主として中国とインドを意味する。 知日派プレストウィッツ氏による2005年の原書、日本版は2006年3月の刊行である。 「プロローグ ドル暴落のシナリオ」のみは、原書と内容が異なっている。 最近のドル安のなか、このプロローグを思い出して、2年前に購入した本書を読み返してみた。 日本版のプロローグは、2009年2月という仮想時点で、日本のドル公式保有高が2兆ドルを突破して、遂に日本がドルと米国債の購入をやめ、保有外貨をユーロなど複数通貨にするという決定を行う場面の描写である。そして、このプロローグは、その1年後の為替レートが、1ユーロ2ドル、1ドルが50円になるという想定で終っている。
ちなみに現在の日本の外貨保有高は約1兆ドルと言われる。 そして、本日(2008年3月24日)の為替レートは、1ユーロ1.54ドル、1ドル99.9円程度であるから、このプロローグが仮想する1年後のレートも全くのあり得ない数字ではない。 原書のプロローグも、書き方は異なるものの、米ドルの価値低落について述べられていることは同様であるし、本書全体にわたって、ドル価値の低落、米国への信認低下についての憂慮が基調となっている。
このような、インフレや為替レート低落によって価値を大きく失いかねない米ドルを大量に保有するという大きな脆弱性をかかえる我が国の将来の姿として、著者は「日本にとって賢い方策(A smart move for Japan)は、NAFTAに加盟し、ドルを公式通貨として採用することだろう。そうすれば、インフレやドルの暴落が起きる前に、日本のドル資産を円ベース価値に固定できる」と言う。 そして、さらに「日本は事実上すでにドル圏に属しているので、ドル化によって主権が揺らぐことはないだろう。 またNAFTA加盟により、あらゆる状況下でマーケットへのアクセスが確保でき、過剰貯蓄をどうするかという問題を恒久的に解決できる。 アメリカにとっても、日本を勢力圏にしっかり取り込むと同時に、貯蓄がないという問題を解決することになる」と述べる(p.350)。 日本人として、それはアメリカさんの虫が良すぎるのではないか、と言いたくもなる主張である。 著者も、さすがに、引き続いて「おそらく日本はこうした手段をとらないから、結局はアジアのスイスと考えはじめたほうがよさそうだ」とする。 要するに「小さくて、老齢化が進む、金持ちで、少し偏狭な国に」ということである。 敗戦直後の日本では、スイスを理想像としていた向きもあったようであるから(ただし、スイスは重武装中立であるはずだが)、そうなれば、日本は結果的に“理想”を実現することになる・・・・
もちろん、少子高齢化が加速される我が国の前途が明るいとは言いがたいことは間違いない。 しかしながら、中国もインドも、それなりの問題点を抱えていることも当然のことであろう。 たとえば、著者は、中国について、その環境問題の深刻さ、極端な経済格差という問題のほかに、一人っ子政策による男女比のいびつさ等がもたらす将来の困難性を指摘する(p.328)。 インドについても、もちろん気の重い難題を抱えていることは違いがないとしても、著者が「たとえ現在から2040年までは中国が最強の勝者ではあっても。インドは今や資本主義街道をまっしぐらに進んでいるので、今世紀後半にはひとり勝ちするだろう」と予測する根拠は、中国に比べて有利な人口動態である(p.342)。
この翻訳書が刊行された2年前に比べて、米国経済の動揺、ドル価格の急落、そして我が国の財政累積赤字の更なる悪化・・・と、状況はさらに憂鬱さを加速してきている。 その中であらためて読む本書は刺激的な叙述に満ちていて、手にとると一気に読みきった。 近未来の日本、米国、中国、インド・・・・の姿を考える上で、本書が貴重な一資料となることは間違いないと考える。