「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
商品説明
「自分勝手な思い出のために、人を使うなよ。」 26年前に別れた少年時代のヒーローとの切なく苦い再会を描いた表題作をはじめ、「タンタン」「かたつむり疾走」など、現代を活写する5篇を収録。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
口笛吹いて | 5-86 | |
---|---|---|
タンタン | 87-142 | |
かたつむり疾走 | 143-202 |
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
すべての年代の方にお勧め!!
2002/03/03 23:35
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かよ - この投稿者のレビュー一覧を見る
久しぶりに本を読んで大泣きしてしまいました
私は今3人の子どもを育てながら、求職活動中なのですが、長女の「近頃にしては珍しく無邪気で、まるで昔の子みたいな感じ」にずっと悩んでました。いやいや、そんなところが大好きで、だからそんな風によく言われるように育ったんです。が、しかし、小学生になっても、かぎっ子になっても、まったく無邪気で、先生に怒られるなんて屁でもない。遊ぶということ以外は興味もないしやりたくない。
仕事から帰ってきても、小学生の娘のほうがいたためしはなく、いたとしたら、きた友達みんなとご飯よそって食べてたり、ある日は私とは面識のない友達とそのお母さんがリビングに座ってたり…。
元気な時だったらなんでもないんです。またそんなことしてーっていえるかもしれません。でも私は確実に疲れていて、気がついたら私の方が宿題ノイローゼになっている様な有様で…。
私も20代まではまさかこんなに自分が疲れやすくなるなんて思ってもみなかった。自分が元気な時期は、「疲れたー」とすぐ横になってしまう母親を醒めた目で見ていたような気がする。まさに今、私は大人の世界にやっとやってきてしまったような気がする。好きだった仕事も、両立に悩んで結局挫折してしまった。
でも目の前のパワーの塊の子どもに、そのどうしようもない疲れはどう説明しても理解できないんじゃないか。昔私がわからなかったように…。
そんな、なんともいえない気持ちがきれいに表現されていて、本当にびっくりしたのがこの本です。“体力・自分の中の激しいまでのパワー”を失ったせつなさがあっさり描かれていて、もし娘がこの本を読める歳だったら(家の長女、まだ小2なので)仕組んででも読ませるのに…と思ってしまったぐらいです。私ももっと元気だったときに読んでおきたい本だったと思ってしまったので。
「口笛ふいて」の元ヒーローだった晋さんの夢敗れてからの生き方、元熱血教師の「タンタン」の“熱血の”もつ良さ、悪さ、を考える姿勢、不登校のわが子へのつぶやいた想い、「タンタン」な父をもつ香奈恵の若さの持つパワーの素敵な感じ、はあったかい、そして切ないフィクションとして私の中に残りました。
「春になれば」はとても現実的。
ときに子どもの友達のことを、ちょっと怖いと思ってしまうときがある私は先生の気持ちが分かってしまったりする。すごくナイーブでそしてストレートに気持ちが出てしまう子どもたち。思わず読んでるうちに子どものように泣いてしまいました。早く自分の疲れとうまくつきあうこつをつかんで、もっと子共達を包んであげられるようになりたい。
そして「グッドラック」もまた超現実的。
我が子のことを時に重荷に感じてしまう親の気持ち。でも子供をもった親の子どもに対するかけがえのない気持ち。自分の疲れ。疲れから来る夫婦の不和。一つ輝く子どもの持つ素敵な感性。
この作家さんは、どうしてかすべての登場人物をとてもリアルに描いていて、いろんな年代の想いを一気に一つの作品に盛り込んでいるような気がする。だからこそ、自分以外の年代、立場の人のことを読んでいるときにすごく理解できるような気がする。
ぜひ、いろんな悩める年代の人がこの本を手にとれることを願ってしまいました。