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紙の本
「タイトル」の妙
2009/10/18 09:30
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
何冊も東海林さだおさんの食べ物エッセイの「丸かじり」シリーズを読んできて、そろそろ書くネタを尽きてきたかと思いきや、大事なことを忘れていました。
ハンカチ、定期券、ちり紙、財布、全部確認したのに、弁当箱を忘れていました、ぐらい大事なこと。 それを今回書こうと思う。
それは愛。
ちがった、それは「タイトル」。
「丸かじり」シリーズは三十数編のエッセイから成り立っているわけですが、それぞれに「タイトル」がついているわけです。
この面白さ、工夫、鋭さを今まで論じなかった、私がバケツでした。
ちがった、ウカツでした。
どれくらい面白いかというと、「シロ」と呼ばれる真っ白な犬がいて、その尾まで白いくらいに面白い(尾も白い)のですが、この「伊勢エビの丸かじり」から見てみましょうね。
「ザ・イナリ」(うむ。この冠詞なジじゃないか)
「牛丼の出世」(なに。牛丼は出世するのか)
「麺の連休」(やや。それは三連休か、四連休か)
「裸のうどん」(いやーん)
みたいな、名作秀作が続くのです。
極めつけは、「幕間の幕の内の内幕」。
早口ことばみたいにして遊んでいたら、三回めで舌を噛み、四回めで入れ歯がはずれ、五回目でもういいや、ということに気がついて、黙読しました。
でも、黙読すると、乱視になってしまいました。
このように、東海林さだおさんは「タイトル」をつけるのが、実にうまい。
まず、これでお客(読者ともいいますが)をひきつける。
もしかして、かわいい子いるかも、みたいに思わせるテクニックは、歌舞伎町の金髪お兄様より数段うわて。
しかも、入店(読み始めともいいますが)して、階段踏み外したり、出てきた女の子の実年齢が五倍というようなことはない。
正真正銘、かわいい子ぞろい。
これが、ちっともつまらない「タイトル」だったら、お客(読者ともいいますが)は入店(読み始めともいいますが)してくれない。
お子様の作文だって、同じこと。
「遠足に行きました」ではどうも。
「運動会の話」なんてとんでもない。
「遠足の出世」「裸の運動会」みたいな「タイトル」ぐらいつけないと先生は読んでくれない。
では、この書評のタイトル、「タイトルの妙」はどうか。
ちっとも面白くないから、「名は鯛をあらわす」ぐらいにしておけばよかった、と反省しています。
◆この書評のこぼれ話は「本のブログ ほん☆たす」でご覧いただけます。