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商品説明
ヨージは、雑誌の休刊に伴い、故郷に戻った。妻はボストンに単身留学中。小学5年の娘を連れて、母亡き後の父一人の家での同居生活だ。そこへ母校の高校野球のコーチを頼まれて…。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
重松 清
- 略歴
- 〈重松清〉1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。出版社勤務を経て著述業に。「エイジ」で山本周五郎賞、「ビタミンF」で直木賞を受賞。他の著書に「隣人」「口笛吹いて」など。
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紙の本
重松が笑顔を作りながら、じっと人を観察している、そういうところが厭なんですね。しかも考え方が、あまりに古い。げ、高校野球かよ、いまはカーリングだろうが!・・・でもないか
2006/03/02 22:36
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「女子大の助教授である妻がアメリカに一年研究で出かけたのを機に、父のすむ周防に娘の美奈子と住むことにした。息子の上京と結婚に反対し続けた母は、もういない」現代小説。
タイトルにあるように高校野球がキーとなるのですが、家族と故郷を描いた一種の青春小説といったほうがいいかもしれません。
雑誌の売り上げが落ちたことの責任を取らされた形で、会社を辞めることにしたヨージは38歳。妻の和美は女子大の助教授。夏から一年の約束で、ボストンの大学に移民史の研究のために派遣されています。本当は妻とアメリカに行くはずだった小学5年生の美奈子は、何を思ったのか、自分と父親の住む周防に行くことを選びました。
美奈子は早速叔父から、嫌味を言われ、アメリカにいる和美にメールでそのことを報告します。その正雄叔父は母親とともにヨージの上京と結婚に反対し続けた人間の1人だったのです。その母は、東京にいる息子に無断で二世帯住宅を作ったまま、父親をひとり残し逝ってしまいました。父はそれ以来、言葉も少なく大きな家に1人暮らしているのです。
しかし、父の元に戻ったヨージには、決して周防は懐かしい町ではありませんでした。20年前、この地方では一番の名門校であった県立周防高校の野球部に投手として在籍していた時の事です。つきが重なって、野球ではまったく期待もされなかったシュウコウは、甲子園に向けて勝ち上がっていってしまったのです。そして事件が。その時の部員を周防の町は許そうとしません。
今は、売れないレストランを経営する亀山、シュウコウで教師となり野球を教える神野、マネージャーの恭子、そして熱心に応援を続けた写真館のザワ爺。交通事故で死んでしまったオサム。都会から来た子供を苛める小学生。それにたてつく少年甲太。故郷を憎みながら、故郷に飲み込まれていこうとするヨージ。
アメリカから、夫を見守る和美。父親と祖父のために頑張る美奈子。ヨージの復帰を望む元編集者の仲間。そして、執拗に過去にこだわり、それを改めず告げ口や噂をながしては人を傷つけていく周防の人々。寡黙な父親から漏らされる言葉。自分では何も決めることの出来ない男の心のうち。
正直、私は高校野球の世界が大嫌いなので、感情移入が殆ど出来ません。しかもそこは日本を戦争に駆り立てていった古い体質の跋扈する地方の生活です。おまけに、優柔不断な主人公とくれば私には三重苦に等しいものです。しかも、主人公が見せる古い考え方。
ここに、TV番組で垣間見た重松の本質があるような気がします。私にはラストだけが救いの一冊。