紙の本
こんなスリルに満ちたものは読んだことが無い
2015/10/08 07:46
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:タヌ様 - この投稿者のレビュー一覧を見る
狂牛病に共食いそしてプリオンの登場に私たちが何かとてつもなくいやなものを感じるとしたら、この本はその懸念に剛速球をくらわしてくれる。
スリリングな懸念、とどまることなく語られる実名や一族、風習。恐るべきものは狂牛病は神の裁きすら思わせるものである。
こういうものまで冷静に見つめ、分析せねばならない分野があるのかともわれらに伝えてもいる。
あえて内容はふれません。一度手に取られれば止まらなくなる、眠らずに読み続けること可能です。強くお勧めします。
紙の本
ミステリのように楽しめる
2017/10/22 18:37
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:わびすけ - この投稿者のレビュー一覧を見る
構成が上手で副題のとおりミステリを読んでいるような印象。イタリアの一族、ニューギニアの部族と医師の活動、近年のマスメディアと社会の動きと、複雑に絡み合いつつ、わかりにくくはない。プリオン病にたいする認識が大きく変わった一冊。
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一時話題になった狂牛病、、、
狂牛病のような発症をする病気は実に様々あり、
感染先は、牛、鶏、羊、鹿、そして人間など様々である。
そして、ウィルス性なのか、偶発的になのか、遺伝性なのかもはっきりししておらず、
そのすべてがおこりうる可能性もある。
狂牛病が、イギリス・アメリカで先に発症して問題になったが、
狂牛病に感染しやすいのは、ヘテロ結合体、というものを保持している人だそうだ。
そのヘテロ結合体をもつ、イギリス人、アメリカ人が少ないから、感染がそこまで広がらなかったことは、
50万年前の食人習慣で淘汰されたからだと筆者は述べる。
しかし、日本人はそのほとんどがヘテロ結合体を保持しているらしい・・・・!!!
ので、アメリカなど他国のずさんな扱いによって加工された牛肉はやっぱり輸入すべきでない、と思う。。。
こわいー。。。
無知は怖いと改めて思いました。
2008、April
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名著である。間違いなく、名著である。
この本を厚生労働省と農林水産省と、文部科学省の役人は全員読むべきだ。そして、できるだけ多くの日本人も。食肉輸入業者は特に。
イタリアのある高貴な血筋の一族に見られる「眠れなくなる病気」に始まり、2人のノーベル賞受賞者のプリオン発見を巡る攻防。英国・米国の国益に絡んだ身勝手極まりない政策。そして、80万年前に遡る人類の食人習慣。どれも読む者の背筋を凍らせるに十分な事実の羅列である。本当に恐ろしい。
私たちはBSEやプリオン、クロイツフェルト・ヤコブ病といった言葉を、メディアを通じて知ってはいるけれど、それがどういったものか、ということについては、理解しているとはいい難い。実のところ、本当のことは誰もよくわからないのだ、ということが、この本を読めばわかるのだが、だからといって暗澹たる気分になることもない。もっとも、希望がわいてくるということもないのだが。
日本人としてひとつ気になるのは、日本人が「ホモ接合体」という、プリオン病に罹りやすい遺伝子型を持っている人が圧倒的に多い、という事実である。このことを知った以上、絶対にアメリカ産牛肉は口にしない、と心に誓った。(オーストラリアやニュージーランド産の牛にBSEは見つかっていない)。
一日も早くプリオン病の治療方法が確立することを願わずにはいられません。
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さて、一時BSEが世の中を恐怖に落とし込み
私自身は騒ぎすぎだろーと思っていたのですが
それに関する書籍を読みました。
夏休みくらいに感染症にかなり興味を持っていた時に予約した
本ですね。図書館はタイムラグがあるから困ります。
さて、BSEやクロイツフェルトヤコブ病の
原因として有名になったのが
感染能力を持つたんぱく質であるプリオンです。
焼いても死なないし、時間が経っても死なない
非常に他の感染源とは異なる性質を持ちます。
殺すためには133℃・3気圧・20分のオートクレーブ滅菌による熱処理
が必要らしいです。
3atmの高圧蒸気滅菌って相当ですよ。
一般の医療機関にこれに対応しているところは
あるんでしょうか??
プリオンが原因で眠れず、衰弱死する一族の話から
始まり、プリオンに関してある程度の知識をくれる
良い一冊です。
科学で正しいと言われているものが
否定されていない「仮説」に過ぎないと
真剣に考えさせられます。
専門用語はそこまで出てこなかったと思うので
医療や生命科学に関する知識がない人でも
問題ないと思いますよ。
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書評があおってくれます。
「ほかの「狂牛」物の本は全部ゴミ箱に放り込むとよい。プリオンに関して、これぞ必読の書といえる・・」
ほかの「狂牛」物の本は読んだことありませんが、誇大広告でもない感じがしました。
帯にある
「クールー病、スクレイピー、狂牛病、致死性の不眠症・・をつなぐ鎖とは?」
の鎖とは「プリオン」なのですが、
「すべてがプリオンに集約された後に見えてきたもの」はわからず終いですね。
でも全体像の見通しは、すごくよくなります。
そして、いかにこれらの病気が残酷かも・・
今まで報道で断片的に聞いてきた狂牛病の話題について、どこまでが確かなのか、そして何がいまだわからないのかが、だいぶ掴めるようになります。
「BSE(牛海綿状脳症)」は、農漁食料省が「できるだけ早くこの用語が忘れ去られることを望んで」という理由で命名されたものであり、サンデー・テレグラフ紙が書いた「狂牛病」は、同省には嫌われたものの定着した、とのことで。
学者の功名心、政治、大衆の不安等の背景がわかると見通しがよくなってきますね。
帯にある「80万年前の食人習慣がすべての始まりだった」はそそりますが、
これはかなり言い過ぎ。
でも数十年前、パプアニューギニアの未開の地で、プリオン病が流行ったのが食人と関係してるのは確からしいですね。
プリオン病が恐ろしいのは、
・致死性、かつ、かかった時の残酷さ
・この病原体(タンパク質であり生物ではないのだが)がほぼ不滅であること
・その不死性ゆえの感染経路(生物でないので不死というのもなんですが)
ということですかね。
あれほど多くの牛を処分する論理もわかりました。
「背筋の凍る思いをすること請け合いだ」
うーん、その通り。
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不眠症状などを引き起こす恐ろしいプリオン病に関するメディカルミステリー。
一応現実に起こったことを時代に即して述べたものだが、一種のミステリーのようになっていて、興味を持って読み進められる。
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評価4.0
18世紀評判の名医がなぞの死をとげる。その子孫の多くが同じよう病で死を迎えた。共通しているのは不眠。
そして20世紀その正体はプリオンと判明するも治療の目処は一切立たない。
その殺人タンパクの起源を辿るうちに80万年前の習慣に辿りつく。。
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夏休みに最適の本。うまくまとまった、スケールの大きな世界でした。
ある一族を襲う致死性の不眠症、羊に流行したスクレイピー、パプアニューギニアの部族を襲ったクールー病、そして世界に広がった狂牛病。
その裏にある殺人たんぱく、「プリオン」をめぐるお話です。メディカルミステリーというジャンルらしいですが、確かにミステリー小説のようだ。事実は小説より奇なり。
官僚、医者、化学者、そして食べるものを市場に頼る私たち。各層が読んで何か得るものがあるだろうと思える。久々名著ヒット。
事実だからこそ背筋が凍る。人間は禁忌の領域を知らない生物だけど、その命は他の生物同様、化学的な現象にすぎないんだなぁと。
同時に、研究者たちの試行錯誤、発想が飛躍する舞台の広さに圧倒される。
また、自分の一族を苦しめる病の正体を突き詰めようと、専門家たちに立ち向かった個人の努力も。「証拠の不在は不在の証拠にあらず」ってね。
ただ、邦題と表紙がちょっと問題だと思う。内容と全然といっていいほどそぐわない。
こういう不気味な感じにした方が売れるのかもしれないけど。なんかうさんくさいおどろおどろしさが出てて、真面目なミステリとして人の目に入ってこないよなぁ。
食人はメインテーマじゃないし。原題は「the family that couldnt sleep -a medical mystery-」。
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久々に骨太の本を読んだ印象。
訳者あとがきがわかりやすくまとまりすぎ。
眠れない一族に平和な眠りが訪れる日を祈って。
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眠れないまま死に至る病をめぐり、人類の歴史を紐解くノンフィクション。悲劇の一族が亡くなるまでのおぞましい過程、その運命を受け入れる生き様、利権や己の欲に縛られる学者たち、杜撰な政府の対応…。病に関する専門的な解釈も豊富に交え、多方面の実体が生々しく描かれている。読んでいる間はこちらが眠れなくなってしまった。
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難しかったけど、興味深かった。
世界中で世界の研究者たちが、日々いろんな動物実験をしているのだなあと思った。
FFIは、日本でも数家系で報告されているとのこと。
http://www.nanbyou.or.jp/entry/51
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眠れない病気というか優性遺伝でタンパク異常が現れる一族についてかかれたノンフィクションです!
文句なしの質です。
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第1部 闇の中の孤独
第2部 闇を跳ね返す
第3部 自然の反撃
第4部 目覚めのときは来るのか?
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50歳をすぎると突然発症して、眠れなくなって最後には消耗し尽くして死ぬという謎の遺伝病を軸に、その原因のプリオンの発見から現在までを追ったノンフィクション。
タイトルの眠れない一族の話は全体からすればごく一部で、大半はプリオン発見までの経緯と、その後の状況についての記述なのですが、どちらもとてもおもしろい。ちょっとした小説以上に刺激的です。不眠症を巡る話の恐ろしさはほとんどホラー小説、プリオン研究に携わる研究者たちの功名心と思惑の錯綜はまるで白い巨塔、プリオン対応が後手後手に回る政府当局やプリオンの恐怖に過剰に反応する人々の描写はパニックもの……一冊で2度も3度もおいしい。さまざまな人名や名称が頻出してちょっと整理が足りないきらいもありますが、現在までのプリオンに関する学術的知識や各国の対応も網羅的に記載されていて、プリオンの入門書としてもかなりのもの。ここまで知的好奇心をくすぐりつつ読み物としても非常におもしろい、というのはなかなかないように思います。
ちなみに、BSE(狂牛病)騒動で一気に有名になったプリオンですが、その概念というのは、従来の生物学では考えられない全く新しいものなのですね。つまり、感染というのは細菌やウィルスなどの生物あるいはDNA,RNAを持ったものによって引き起こされるというのが当然だったところ、ただのタンパク質が病気を引き起こし、さらには動物から動物、動物から人、人から人へと感染するという。だからこそ、ただのタンパク質が感染を起こすわけがない、と狂牛病プリオン原因説に反対する人がいるんですね。しかし、オートポイエーシス理論なんかを考えると、タンパク質でも自己複製能力があって感染源になりうるというのは、決しておかしな話ではない気がします。プリオン仮説もオートポイエーシス理論もいずれも70年代あたりに提唱されたのは偶然ではないかも。
いやー、ページをめくるのももどかしいというのはまさにこのこと、というくらいに面白かった。