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花村翠さんのレビュー一覧

投稿者:花村翠

8 件中 1 件~ 8 件を表示

紙の本

紙の本人形姫

2001/09/21 17:31

少女たちの午睡

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 青山のHanae Moriビルの地下アンティークマーケットにある「人形屋佐吉」。佐吉氏の現在の本拠地であり、アンティークドールと恋月姫人形を扱う店舗である。が、この店、滅多に開かない。いつ行っても大抵閉店。どちらにしろ私がこの店を訪れる理由は、店脇に店から切り離されたように存在する小さなショーウィンドウ。
ここに一体か二体、恋月姫人形が眠っている。滅多に店が開かないのは、もしかしてこの少女達の眠りをさまたげないためなのかも…。

 http://koitsukihime.tripod.co.jp/恋月姫の公式サイト。黒猫姫さんが運営されている。人形の画像や作家恋月姫との直接のやりとりもBBSを通じて。

http://www.phoenix-c.or.jp/~masato/dolls/M's Factoryさんによるサイトに、恋月姫の人形展(札幌)の時の写真等が載せられている。
 生の人形には適わないけれど、魅力の欠片を手にとってみたい方はどうぞ。

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紙の本

紙の本捜査官ケイト消えた子

2001/08/09 10:30

信頼の美しさ:オンナの友情は年の差を超える

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**控えめな人間臭さ**
 このシリーズの何よりの魅力は、キャラクターの描写でしょうか。。 読んでいくうちにぐいぐいと惹きつけられるキャラクターたちで読者はあっちへこっちへ振り回されます。

 その描写力は主人公ケイトよりもむしろ毎回顔ぶれが微妙に変わるサブキャラクターたちに発揮されます。各作品で印象的なのは、一作目では重い過去を背負った画家、二作目では自らを愚者と名乗る老人、そして三作目ではなんといっても小さな依頼人の少女ジュールズ。実は私はこのジュールズの魅力故に三作目が最もお気に入りなのです。


**濃密な友情**
 三作目に出てくるジュールズは思春期前の少女。そしてケイトは仕事に打ち込む大人の女性です。 二人の間には10以上の年齢の差という壁があり、この壁は特に思春期前という微妙な時期には大きいのものですが、ジュールズはそれを軽々と飛び越えて、ケイトに信頼を寄せます。

 ケイト自身、なぜに彼女がそこまで自分を信頼してくれるのか分からないまま、けれどもそれに応えたいと努力していくうちに、ジュールズという少女の心の迷路に一緒に迷い込んでしまうのです。 ジュールズ自身のこころのうちは最後まで詳細に描かれることはありません。
 けれど、ケイトとの信頼関係を通して痛いほどに「もてあまされる」ことのつらさ、愛情の不確かさを、そして本当の愛を得ることの心強さを彼女の中に見ることができます。とにかくケイトの彼女への傾倒の意味が、本当に分かるのです。
 友情ってどこまでも対等で、信じるにあたいするものなのだと感じることが出来て、心が温まります。

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紙の本

紙の本震える眼蓋 恋月姫人形作品集

2001/09/21 17:22

柩の中の人形たちは、永遠に目覚める時を待つ。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 原宿の喧噪をほんの一足逃れた場所にある、廃屋が、その場所。「恋月姫人形展『月の柩』」。5月の浅緑に包まれた洋館で、ひっそりと柩に抱かれて眠る人形たち。

 人形は少女のものだ、というのは正しいと思う。なぜなら、人形は、それ自体では意味を持たないものだから。理解を必要としない存在だから。

 ミニカーには遊ぶ目的がある。三輪車には乗る用途がある。けれど。人形には何も意味がない。目的を必要としない。ただ、そこにあるのみ。

 恋月姫の人形はけして理解出来ない。少女はけして理解したがらない。

 そうして出会ったふたつの魂。完璧な不調和が少女の胸を悪くさせる。不機嫌な幸福が、少女をみたす。不安を持って、少女は人形に語りかける。なぜなら、彼女は人形が満たされないことを、しっているから。

 硝子の柩のなかの人形たちは完璧に幸福だった。血の涙をながしながら。問いかけるわたしに、「わたしの造る人形たちは、すべて神への捧げ物なんです」その女性は笑みも浮かべず、そう応えた。

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紙の本

紙の本白い薔薇の淵まで

2001/08/09 10:13

読者へと向かって開かれた扉

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 初めて彼女の小説を読んで「痛み」を覚えました。それは一部には自分自身の経験と重なって…というのが大きかったのですが、語り手である「クーチ」に自分を投影するのと同時に、主人公「塁」に自分が関わってきた様々な人たちを重ねたせいです。人によっては「クーチ」がまったく描かれていない、作家は主人公以外に興味がない、と言い切ります。なるほど「塁」はこれまでの中山作品に共通の自堕落な王子様タイプに他ならず、その点はまったく変わりません。けれども、私の感覚のアンテナは初めてナルシストの主人公に共鳴しました。

 周囲に迎合することを自己主張としている女と、ただ一人でいることが生きていることだと逃げている女。魅力よりも共感。私自身はおそらく実際こんな人が目の前にきたらぴしゃりと心を閉じてしまうであろうと思われる、そういう人々に、実は一番近いかもしれないと感じました。彼女の作品をこれまで読む度に、ただ「そうか。中山可穂とはこういう人なのか」としか感じられなかった一人よがりな感覚が、確実に読者側へ扉をひらきつつある、そんな予感に変わりつつあります。
 この変化は、彼女の作風がエンタテインメントよりになってきたせいなのか、それとも彼女の持つ純文学への拘りが大衆文学へとスライドしてきたのか、現時点ではまったく見えません。ただ、その変化の大きさは、この作品が大衆文学の登竜門とも言える「山本周五郎賞」を受賞したことからもうかがえます。

 とある人がこの本の書評で、「三島由紀夫賞受賞」と間違えていてぎょっとしたけれど、ふと気づけば中山可穂もまた、寺山修司や天井桟敷と交流のあった三島と同じく演劇には造詣深いはず。比較してみると面白いかもしれません。同じ情念と性の世界を描きつつ、三島のような暗喩は中山可穂にはみられず、あくまで直接的描写によってのみ、表現が達せられています。
 三島由紀夫にとっての「海」や「火」のようなテーマに深く根差すような背景は、中山可穂にとっては何になるのでしょうか。彼女が「演劇」や「小説」といった彼女にとっての直喩的背景から離れたらどんなものが出てくるのか。それを見てみたいと思う私です。

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紙の本

「セクシュアリティ」にまつわるイメージ

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 女性の多くは「性意識調査」という言葉を聞いて某女性誌出版社が年単位でレポートする「セックス白書」のようなものを浮かべると思います。私も浮かべます(笑)。

 でも、残念ながら? この本はそういうエロティックなムードはほとんどなく、実際にセクシュアルマイノリティと呼ばれる女性たちがどのように性生活を送っているのかに焦点が絞られているのです。この編者「性意識調査グループ」というグループはこの本を作るために集まった、女性たちのグループ。それぞれに学生、アクティビスト、ライター等々様々なバックグラウンドを持った人々の集まりです。

 その視点に限らず、「性」を実生活に拡げる意味でのインタビュー集が赤裸々でおもしろい。具体的でかつ偏見の入る余地のない、性についてのイメージを打破する一冊です。

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紙の本

紙の本ナチュラル・ウーマン

2001/09/21 12:32

オンナとしての私の存在

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 松浦理英子を読むときにいつも意識するのは、自分の性別について。別に「オンナ」を意識するというのではありません。「性別」そのものを意識するのです。その傾向は後の作品になるにつれて更に色濃くなっていきます。「ナチュラルウーマン」ではむしろその色は薄い。それは女性同士の愛というテーマのせいなのか…セックスそのものを描きすぎているせいか。

 花世の愛の形は、私には理解しにくいようで非常に近い。近すぎて痛く、目を閉じたくなるのだと感じます。「性別」をそれほど意識しないのに、逆に自分の「女性器」を嫌いになりそうになる。そのパラドックスにはまってもがくのです…。
 対して、「親指Pの修業時代」は、小道具が「男性器」という露骨な性器であるのに、テーマはあくまで精神愛。彼女の描写のテクニックがここにきわまれり…という印象があります。

 彼女の作品のそこここで描かれるのは、「個としての女性」、存在そのものとしての主人公です。誰かの母でも娘でも姉でも妹でもなく…独立した人間としての女性。泣き笑い怒り生きて死ぬ。彼女の描く女性たちは、まるでたったひとりでこの世に生まれ落ちたかのような孤独の中で、母性を武器にすることが出来ません。社会の中で抹殺されてきた「個としての女性という性」しか持たない彼女たちは、如何にしてそれを否定しようとする周囲と繋がっていこうかともがき苦しみます。そして私は、その力強さと、けして儚くはならない意志に限りない愛着と同情を覚えるのです。

 時々「松浦理英子は文章がまわりくどい」という人がいますが…これ以上分かりやすい文章を書くひとは少ないと感じます。そして、分かりやすい文章以上に説得力ある、危険な刃はないのでは…と…。

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紙の本

紙の本Coming out!

2001/09/21 12:37

単なるスタートラインとしてのカムアウト

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 実はこの本を読んだ時に、私は最初共感はほとんど覚えなかったのでした。むしろ、「こういう人もいるのね…」という感覚が近かったのでした。それは彼女が芸能人であることよりも、彼女自身のセクシュアリティへの感じ方が私とは違うせいだったと思います。

 逆に、カムアウト後の彼女の話(文庫のみ収録)が妙にリアルでうなずけました。特に「カムアウトというのはゼロになること」という話はとても分かる気がします。

 周囲に自分のセクシュアリティを話すというのは、それだけで何の意味もないというのが現在の私の実感です。セクシュアリティを知られてようやく同じスタートラインに立つ準備が出来るというだけ。そこまでですでに力を使い果たしてしまうセクシュアルマイノリティの現状のきつさが身にしみます。ゆっくり行きたい(生きたい)のにね…。

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紙の本

紙の本女神の沈黙

2001/08/09 10:25

ハンナとピンクのハーレーダビッドソン♪

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**女たちを取り巻く生臭い事件**
 アンネホルトの描く事件描写は妙に生々しい印象が残ります。1999年9月現在三作が翻訳・出版されていますがそれらすべてに直接女性が関わっているのが、同じ女の性を持つ私にそういう印象を引き起こすのか…。ある時は被害者側、ある時は加害者側、様々な形で女性の「性」が関連します。
 特に二作目の「土曜日の殺人者」では、レイプという人間の尊厳そのものを犯す犯罪がテーマの一つになっているためか、時々読むのが苦しくなるほどです。
 ホルトは、すべての作品中で現代での女性の在り方、社会との関わり方を問いかけていますが、特にこの作品では主人公ハンナの言動、同僚の男性との関係からハンナ個人に限らない全ての女性にむけたメッセージを発しているように受け取れます。


**警官とカウンセラーの微妙な関係**
 もちろんハンナがビアンである以上、同性の恋人であるセシリーとの関わりをどう自分の中で、そして周囲との関係の中で拡げていくかが大きな課題になっています。

 …とかいいながら、とても不思議なのはこのホルトのシリーズに限らず、警察官(探偵)の同性の恋人はなぜすべからくカウンセラーなんでしょう…???? 偶然なのかわかりませんが、日本で訳されているビアンものミステリー(のうち私が知っている三シリーズ)すべてがこの設定というのはあまりにもバラエティなさすぎですよね…。

 なんだか同性愛者にはカウンセラーが必要という図式を作り上げる可能性があるようで、ちょっとイヤです(苦笑)。


**ハンナとセシリー**
 で、ハンナの恋人セシリーですが、ケイトの恋人リー、またローレンの恋人キップと比べて一番奔放で我が強いタイプのようですが、私は割と好きです(笑)。

 頑なに同性の恋人がいることを周囲に隠すハンナが、「土曜日の殺人者」の中で期せずして同僚を二人の家へ招待する羽目に陥ってしまいます。汗だくのハンナを目の当たりにして、その後ピンクのハーレーの後ろに乗せられたセシリーが高笑いをするというシーンがありますが、こういうしたたかさと我が儘さも共感できます(笑)。

 まだ三作目、この後二人の舞台はアメリカへうつるとのことです。どうなるのか、まだまだ期待♪

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