サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

  1. hontoトップ
  2. レビュー
  3. 東雅夫さんのレビュー一覧

東雅夫さんのレビュー一覧

投稿者:東雅夫

3 件中 1 件~ 3 件を表示

紙の本

著者コメント

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ひと晩でサクッと読めて、怪談を書いたり読んだり蒐めたりするときに必要な基本知識が総て身につく……そんな入門書があれば便利だなと思って構想執筆した本です。結果的に、一種のアンソロジー的書物(特に第二部)になったのは、アンソロジストの性(さが)でありましょうか(笑)。これから怪談入門を志す方はもちろん、すれっからしのマニアにも、それなりに面白く読んでいただけるのではないかと思います。どうかよろしくお願いいたします!

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

紙の本怪談の学校

2006/02/15 18:29

「あとがき」より

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 本書は、二〇〇三年八月に〈怪談双書〉の一巻として刊行された『怪談之怪之怪談』に続く、私ども怪談之怪にとって二冊目の共著であります。
 前著『怪談之怪之怪談』では、各界を代表する怪談好き文化人の皆さんをゲストにお招きし、主客一丸となって「怪談を共に聞き、語らい、とことん愉しむ」怪しの宴を繰りひろげました。
 これに対して、今回の『怪談の学校』に御参集いただいたのは、全国津々浦々、あたかも秘密結社か草の根運動のごとく散在し潜伏する怪談之怪準怪員の皆さんです(あまりにも深く隠れ潜んだせいか、いまや消息が分からなくなってしまった怪員も少なくありません……別掲の怪員名にお心あたりの方は、編集部まで御一報くださいますよう、私からもお願いいたします)。
 怪談之怪準怪員——それは、雑誌『ダ・ヴィンチ』の「怪談之怪」コーナーに、投稿作品が掲載された方にのみ与えられる称号であります。
 怪談之怪では、一九九九年一月の結成直後から一貫して、『ダ・ヴィンチ』誌上で、読者の皆さんからの怪談投稿を募集してまいりました。
 そして一九九九年五月号から二〇〇一年六月号まで全十六回にわたり、怪談之怪メンバー四人による合評会形式の入選作発表コーナーが開設されたのです。
 怪談之怪の活動が第二ステージに突入した二〇〇一年十一月号からは、メンバーがリレー形式で講評を担当し、添削指導をおこなう「怪談之怪・創作教室」としてリニューアル・スタート。この創作教室コーナーは、二〇〇四年八月号まで全二十五回にわたり掲載されました。
 この間、なんと一千編近い投稿作品が、編集部に寄せられたのです。
 怪談之怪準会員の資格を得ることが、いかに狭き門であったか、この数字からもお分かりいただけることでしょう。
 本書には、こうして選出された準会員の皆さんによる投稿作品の総てと、各編に対する怪談之怪メンバーの講評が収録されています。
 いうなれば本書は、怪談之怪メンバーと読者代表たる準会員の皆さんが一丸となって「怪談を蒐め、書きあらわし、読み解く」ことのスキルアップを追求した、怪しの錬成場なのです。
 以て『怪談の学校』と名づける由縁であります。
 世に怪異奇談に関わる書物は数多あるとは申せ、怪談創造の具体的手法を、ここまで実例に即して指南する試みは、おそらく史上初ではないかと自負しております。
 新たな怪談の担い手たちが、陸続と生まれいずるために。
 あるいはまた、「書く」という行為を通じて、怪談への理解がよりいっそう深められてゆくために。
 本書の試みがいささかなりと同好の士のお役に立つとしたならば、怪談之怪メンバー一同にとって、これに優る歓びはありません。

怪談之怪■東雅夫

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

紙の本夜市

2006/12/11 15:53

恒川光太郎『夜市』の衝撃

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 幻想文学の専門誌を編集していて長らく悩みの種だったのが、ジャンルの問題である。編集サイドとしては、幻想文学という分野の総合的な研究批評誌を目指すからには、ホラーも採りあげればファンタジーにも触れる、伝奇時代物やSF、あるいは純文学にも目配り怠りなく……などと高邁な(?)理想を掲げていたわけだが、読者の側の志向と嗜好はまちまちで、とりわけホラー・ファンとファンタジー・ファンの間には、深くて黒い大河が滔々と流れているようであった。
 ホラー派はファンタジーを「いい年して御伽話かよ」と鼻で笑うし、ファンタジー派はホラーを「あんな気色悪いものを好んで読むのは変態」などと嫌悪する……両派の相互不信には、なかなかに根深いものがあった。

 だが、時代は変わった。いや、変わろうとしている。
 今年度の日本ホラー小説大賞(第十二回)を受賞した、恒川光太郎の中篇集『夜市』を読みながら、私はそのことを痛感し、感慨ひとしおであった。

 受賞作の「夜市」は、人外の魔物たちがさまざまな品物を売買する、この世ならぬ市場の物語である。「学校蝙蝠」が、夜市の開催を町中に告知してまわるという冒頭の一節からして、これはホラー大賞ではなくファンタジーノベル大賞の受賞作ではないのか……と疑わしめるに十分だろうし、その後の展開も、登場人物たちがいとも易々と、それこそ近くのショッピングセンターにでも出かける感覚で異界へ参入し、そのことにさしたる驚愕も恐怖も示さないときては、気の早いホラー・ファンの中には、看板に偽りありと怒りだす向きがあるかも知れない。

 だがしかし。ゆめゆめ、そこで投げ出してはいけないのだ。
 夜市という世界の実態が次第に明らかになるにつれて、読者はヒロインの大学生いずみとともに、迂闊に異界へ踏み込むことの恐ろしさを、じわり、じわり、と実感させられることになる。そしてハッと気がついたときには、ジャンルの違い云々など忘れ去って、思いもよらぬ方向へと二転三転する物語の行方を、夢中で追いかけていることだろう。

 こうした離れ業を可能ならしめているのは、ひとえに作者の、物語の語り部としての卓越した資質に他なるまい。
 非現実を描いて虚構を意識させない、イメージ喚起力に優れた文体。
 読者の意表を突く奇計をひそめて、入念に練りあげられたプロット。
 怪奇幻想文学の書き手にとって最も必要とされる二つの美質を、作者は十二分に兼ねそなえているように思われる。

 それが決してフロックゆえなどでないことは、受賞第一作となる併録の「風の古道」が雄弁に実証していた。
 古くは神々の行き交う通路であったという「古道」——住宅地や山林を縫って縦横に延びる不可視の街道に迷い込んだ少年たちの彷徨を描いたこの作品は、ホラー・ジャパネスク評論家を以て任ずる私などからすると、受賞作を凌駕する傑作であると断じたくなるほどのきららかな魅力を感じさせるのだから。

 作者の描く異界譚には、近くは天沢退二郎(「竜の道」)、古くは泉鏡花(「高桟敷」)、はたまた海彼のジャン・レイ(「闇の路地」)にも通ずる密度と奥行き、そしてなによりも確固たるコスモロジーがある。
 この作家が語りだす物語に、もっともっと耳かたむけてみたい……心からそう感じさせてくれる「幻想と怪奇」の語り部の誕生を言祝ぎたい。

(『小説推理』2006年1月号「幻想と怪奇」欄掲載)

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

3 件中 1 件~ 3 件を表示
×

hontoからおトクな情報をお届けします!

割引きクーポンや人気の特集ページ、ほしい本の値下げ情報などをプッシュ通知でいち早くお届けします。