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DSKさんのレビュー一覧

投稿者:DSK

1,578 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

紙の本淫らな新居〈嫁の母、嫁の妹〉

2017/01/17 20:29

背徳が許される設定で咲き乱れた熟女の艶花

12人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ここ最近は短編集だったり既出作品の続編だったりで(これはこれで好ましいが)何やらスランプだったかのようにも感じられた作者が久々に放ったスマッシュヒットではなかろうか。嫁の母(義母)や嫁の妹(義妹)を軸に据えつつ義母にフォーカスして気品と艶のある熟女の官能を前面に押し出し、それでいて物語としては嫁自身も蔑ろにすることなく、互いの察しの良さからくる都合の良い展開ではあるものの、破綻なく収まるところに収まるストーリーが紡がれている。

5章立ての3章で活躍する義母【浅子】(42歳)は未亡人にして事実上のメインヒロイン。きっかけこそ「そんなことあるかぁ?」と思わせる偶発的な交わりだったが、出張で3週間も家を空ける妻【みちる】(24歳)の代役をしっかり果たすこととなる。ただ、これには娘婿たる主人公(23歳)夫婦、とりわけみちるにある事情によって途中からは公認の間柄となるため、娘のお婿さんと関係する不義を憂いながらも積極的な浅子の、まるで恋仲のような恥じらいと淫らさが同居した振る舞いに変化していく。年上の矜持と慎みから自分からは言い出せないことを察してくれる主人公に喜び、ご立派なムスコと疲れを知らぬ若さ、そして何より自分を求め、何度も責め立ててくれる性戯に悦び、どんどん溺れていく浅子である。女経営者としてタイトなスーツを着こなすクールな美貌に反して実際は押しに弱く、主人公の前ではオンナをさらけ出してしまい、時には甘えてしまう可愛らしさが垣間見えるのは実に魅力的。

主人公と浅子との情事を覗き見てしまうのが義妹【早紀】(16歳)なのはフランス書院文庫お馴染みの出刃亀展開だが、これにもきちんと理由があり、さらにはみちるが抱える事情の要因が早紀の過去にあることで負い目を持たせ、ストーリーを奥深くさせている。

新婚ながら主人公とみちるの夜伽が上手くいっていないことを以前から憂いていた早紀だが、そうとは知らぬ浅子が主人公のうっかりミスから気づいてしまう場面が前半に描かれていて、そこから浅子がさらにオンナを呼び覚まされたりもしている。新居を構え、同居を始めた男女が背徳の距離を縮めていく伏線もきちんと盛り込まれて好印象。

何事も連絡し合う風通しの良い家庭なので早紀の生娘卒業も早々に浅子へ伝わり、次には2人揃って主人公へのご奉仕となる。主人公をオトコとして導く役割もあった浅子が早紀にもオンナを指南する形で進む3Pには今少し頁を費やしてほしかったところだが、男に征服される女の悦びを描く作者らしい官能描写がここで一旦帰結する。

そして、最後まで直接的な出番のなかったみちるが出張から帰宅した途端に浅子や早紀の手助けから主人公と真に結ばれる結末はかなり駆け足ながらも、抱えていた事情の解決と、この家族が最後に至った官能的な境地が示されたことで読後感を大いに高めていた。所々で現実性が希薄と断じるのは容易いが、物語として辻褄の合った官能ファンタジーと好意的に受け止めたい。

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紙の本

“ぼっち”で生きる人達の心の叫び

13人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

帯に『はがない』(以下、本家と仮称する)の作者が(レーベルの垣根を越えて)コメントを寄せている。これにより編集側が求める本作の想定読者層が推測できる。要するに“ぼっち”な若者達それぞれの心の苦悩と叫びに共感する人達である。そして、コメントの『トラウマを抉られつつも(中略)友達がいなくても強く生きていく勇気』という文言が本作の内容を如実に表している。この意味では『本家』に極めて類似した設定ながら、少し異なる風味が加えられた作品と言えるであろう。

舞台は高校の「隣人部」ならぬ『奉仕部』である。ご奉仕(なのかどうか分からない場合もあるが)するだけあって、この部活は人のために何か行動しようという意図がある。これまで“ぼっち”を長く続けてきた面々が、その黒幕(?)たる国語教師【平塚静】の計らいによって動き出し、途中からは平塚先生の手を離れて動き出す部分も出てくる。これにより奉仕部の部員だけでない人物を幅広く登場させることが可能となっており、実際、いわゆる“リア充”な面々との対決の場面もあったりする。

主人公【比企谷八幡(ひきがや・はちまん)】の一人語りで進行するスタイルは、ちょっと斜に構えるというか、やや反抗的というか、世間に物申したい作者の代弁者でもあるような面白さがある。これに毒舌極まるクール系の【雪ノ下雪乃(ゆきのした・ゆきの)】と、ちょっぴりおバカながら本音と建前の狭間で揺れるところに庇護欲も沸く元気系の【由比ヶ浜結衣(ゆいがはま・ゆい)】が絡む構成を基本とする。この辺りは、まぁ、『本家』の夜空と星奈によく似ており、その先には一連の西尾維新作品の影も見えていたりするが、話が進むに連れて次第に息が合っていき、力を合わせて乗り越えようとする魅力が出てくる。中二病を思いっ切り自虐パロディ化した人物や、幸村チック(秀吉チックといった方が近いか)な人物もクラスメイトとして登場しており、友達づくりに関しては本作の方が先を行っている。

こうした要素が散りばめられているので、個人的には単なる二番煎じとも二匹目のどじょうとも思えない良さがあったと思うし、主に八幡(を介して語られる作者)の叫びに共感しつつ大笑いしながら読了した。次巻も楽しみにしている。

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紙の本

紙の本僕だけの未亡人義母 こんな衣裳を着せないで

2010/12/31 01:44

義母を愛する主人公の執拗な交わりがエスカレートする

10人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

美少女文庫の人気作家が名前を漢字に変えての「黒本」デビュー作。自社内レーベルを行き来する作家の登場が著しいフランス書院だが、これにより相姦も肯定的で、何より明るく前向きな誘惑作品の増加に拍車がかかっている。本作もこうした甘いテイストに満たされた内容である。

最近では珍しい1人ヒロインで、多人数ヒロインではどうしても避けられない関係性や官能要素の分散とは無縁のこってりした関係が描かれている。出てくるのは高校生の義息(17歳)と義母(33歳)の2人だけ。亡父の一周忌から始まる展開は、空閨を埋める義母の切ない自慰で幕を開ける。これを目撃した義息が、亡父の『母さんを頼む』との遺言を肉欲の関係にまで拡大解釈して迫る形である。清楚で貞淑な義母は当然驚き、困惑し、抵抗もするのだが、義息の真っ正直でストレートな愛情を次第に受け入れていくシンプルストーリーが良い。「母」としての矜持と「女」としての欲望。この好対照な想いの狭間で憂いていた義母の悩ましさも存分に綴られるが、時間の経過と共に少しずつ心が義息に向かっていく様子がじっくり描かれている。序盤は独り善がりなお願いを繰り返す義息の無邪気な我儘と、それを不承ながら聞き入れてしまう義母の甘やかしっぷりが少し鼻に付くが、義母を「女」として意識してしまう気持ちを抑え切れない義息の心情を盛り込むことで、単なる言い訳にならないギリギリの線で踏み止まっていると思う。義母も想いを確たるものと自覚してからは時に積極的な振る舞いも垣間見せ、言葉遣いも含めて妖艶な熟女に化けるギャップはなかなかの破壊力である。最後は2人の新しい門出を祝う、清らかさと淫靡さとが同居した、淫らで愛情深い情交で締め括られている。

さて、本作はサブタイトルで示唆されるように、義母のコスプレ展開もふんだんに用意されている。冒頭の喪服に始まり、セーラー服・ファストフードの店員(男なら多少ならずとも覚えがあろう業界ナンバー1チェーン店の制服を意識したもの)・バニーガールと続き、目隠し&緊縛を絡めたラバー系まで盛り込みながら最後にもう1つ出てくる幅広さである。ほとんどが自宅でのプレイだが、義母の職場近くのトイレで交わる捻りも加えている。また、元よりヒロインが1人しかいないために情交描写が長々と続くところがあり、抜かずの2発、3発と繰り返す場面も少なくない。さらには簡潔な描写ではあるが夜通し交わり続けるいやらしさもしっかり綴られている。

密戯を繰り返すところに若干の耽美さと憂いを醸しながらも全体としてはストレートに進んでいく展開の中で、次第にエスカレートしていく爛れた肉欲の交わりから義息の想いが義母に伝わり、最終的にはお互いの深い愛情が形成されていく良さがあった作品だと思う。

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紙の本

紙の本メイドと巫女と極甘生活

2010/11/30 00:50

ラヴコメ成分てんこ盛りな“極甘”展開

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

タイトル『極甘』の「極」の文字が浮いている気がするが、内容は文字通り「極甘」である。前作『僕とメイド母娘-ご奉仕します』に続く「黒本」2作目。またしてもメイドである。しかも、前作で感じられた「思ったほどメイド成分ないじゃん」に応えたのか、今回はヒロインの1人がしっかりメイドに扮している。しかも他方は巫女さんである。あからさまに狙ったキャラ設定と言いたくなるが、これは作者の主戦場たる美少女文庫の作品群に出てくる「鬼江村」の隣に位置する「西鬼江村」の神社の巫女さんという設定だからである。約10年振りに里帰りした主人公を巡る、微笑ましくて面白可笑しい官能ラヴコメである。

【鈴】 幼馴染みでもある巫女。32歳にして生娘。かなり可愛らしいツンデレ。秘密の性癖あり
【陽菜】 かつての上司の娘。20歳の生娘。マイペースでほんわかした腹黒娘。秘密の性癖あり

ヒロインが2人揃って秘密の性癖持ちで笑えるが、キャラ設定もかなりラノベ的な違いを出している。官能小説らしからぬ、明るく賑やかなノリには拒否反応が出るか、がっつり気に入るかに分かれそうだが、前作と同様に行き場を無くしたヒロイン達が主人公(27歳、ある種の能力持ち)の新居へ押し掛けてから始まる物語が良く出来ているので、純粋に読み物としても面白くなっている。王道的な主人公の奪い合いだが、ヒロイン達には姉妹のような仲の良さもあってドロドロしていない。そして、この仲の良さにより官能描写、特に3Pでは百合要素が漏れなく付いてくることになる。腹黒い陽菜が勝気ながら純情な鈴を弄ぶカラミが面白い。単体の情交でも、ある部分を責めてほしがる鈴や、ある要素で責めてほしがる陽菜といった特徴が出ている。

好みで大きく分かれる作風とは思うが、前半少なめながら後半からぐっと増える官能描写だけでなく、顔馴染みだからこその呼吸を見せる、キャラ立ちの良い登場人物達のやり取りだけでも面白さを出してくる作者の、美少女文庫で培われた経験が存分に活かされた作品と言えよう。

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紙の本

紙の本〈甘い夜〉夏の個人教授

2010/08/05 23:44

従姉、実姉、実妹……3人とも素敵過ぎる!

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

これまで凌辱寄りだった作者の「黒本」3作目にして初の本格的な誘惑作品。前作『働く女-夜9時の凌辱研修』にも誘惑的な甘い展開があったので楽しみでもあった。そして、本作は期待以上の破壊力だった。

【深雪】 従姉。25歳。可憐かつ妖艶な既婚者
深雪さん超ヤバイ。なんて大胆で積極的でいやらしい!という逸材である。戯れているだけでも充分にいやらしい希有な人。15歳の主人公を導きつつ自分が存分に楽しむ人。抜群なシチュエーションで繰り出される淫らな腰遣いが素敵過ぎる。偶発的な接近から満たされない夫に代わる爛れに爛れた関係を経て想いを寄せていく。深雪さんの1人ヒロインでも良かったくらい。

【奈緒】 実姉。16歳。物静かで真面目。生娘
好奇心は旺盛なのに相手が実の弟なため困惑と抵抗を繰り返すが、次々に覚えていく愉悦に抗い切れなくなる。終盤は可愛らしく豹変してしまうギャップあり。弟を求める積極性を見せながらも普段は姉としての矜持を保つしっかりさんである。

【絵美】 実妹。13歳。ブラコン。快活なおマセ。ややM。生娘
まだ幼い妹とどのように接点を設けるのかと思ったが、姉や兄を差し置いて意識は一番すすんでおり、身も蓋もないほどストレートに迫る小悪魔展開だった。「こんのぉ、マセガキがぁ」と笑いツッコミもしたくなるが健気な可愛らしさもある。

オープンにがっつり交わる深雪さんと秘め事っぽい姉妹とを上手く対比させて好対照な情交を見事に描いている。次第に昂り、遂には我慢できなくなる官能美がある。地の文が多く、若干説明的に思うかもしれないが「小説読んでるなぁ~」という風情がある。惜しむらくは結末がかなり急ぎ足で消化不良だったこと(泣く泣く削除した箇所があるのかも?)。それでも多くの情交場面が悉く冴え渡る秀作と言えよう。

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紙の本

紙の本ヒミツのカンケイ

2010/03/23 17:36

祈りとともに読む最終巻

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

本編未完ながら正真正銘の最終巻であろう。全5編+α 。故人となられた作者の冥福を、遅蒔きながら祈りつつ読むことにする。

【ヒミツのカンケイ】 34頁+挿絵3点
学園の新聞部に和麻との関係を詮索される綾乃の話。別の意味で綾乃にピンチが訪れるものの、ある意味新聞部らしいオチで苦労を背負い込む綾乃である。

【甘いお誘い】 36頁+挿絵3点
妖魔に取り憑かれた久遠七瀬の迷惑な話。短編らしくコミカルな展開とオチだが、和麻の秘めた想いが発露するオマケ付き。

【綾乃さんのお宅訪問】 35頁+挿絵3点
和麻の家に「おつかい」を頼まれた綾乃がヤキモキして炎を撒き散らす話。和麻への想いに限って鈍感な綾乃は苦労ばかりしている。

【柊太一郎のそれでも割と幸せな一日】 29頁+挿絵3点
由香里の入れ知恵で柊クンの念願成就(?)だが、まぁ、タイトル通りとしか言いようのない話。結局当て馬とダシにされただけなのたが、ある意味これほどタフな少年もいない。

【風の聖痕NOIR 炎の喚び声】 タイトル+57頁+挿絵2点
かなりシリアスでやるせない物語。デリケートな問題が背後にあって居たたまれない気持ちにもなるが、綾乃を凌駕する素質を持った少女を登場させる思い切った設定に加えて、理屈では理解できるが感情的には納得したくない、ある意味酷な結末には、安易なハッピーエンドに慣れた読者の心を揺さぶるものがあろう。

【あとがきにかえて】 27頁(挿絵なし)
執筆途中だった『風の聖痕7』の未完成原稿。所々がプロットのままという、遺稿とか絶筆と呼ぶにはあまりに生々しい状態。第二章の途中でぷっつり切れた文章を見ると、まさにこの瞬間、こと切れたのではないかと錯覚して胸が苦しくなる。完成版を世に出せなかった作者の無念が伝わってくるような気がする。この続きを読めない我々も無念である。

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紙の本

紙の本隣家の四姉妹

2009/07/27 19:18

溢れる愛情と艶めかしい官能がバランス良く融合した傑作

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

目次で「オムニバス形式っぽく淡々と流れてしまうかな」と思ったのは杞憂だった。やや甘ったるさこそあるもののヒロイン4姉妹の溢れる愛情と激しく艶めかしい官能とが高い次元で融合し、各ヒロインのドラマと実に上手くミックスされた傑作と断言したい。作者の「黒本」デビュー作『最高の楽園-四人のお姉さまと寝室』に設定や進行が似ているが、内容は大幅にレベルUPしている。なので、このデビュー作はもちろんのこと、同様の雰囲気が漂う一連の巽飛呂彦作品(誘惑系)にハマッている御仁にはど真ん中ストライクな作品と言える。温和で癒し系の長女、ドS女王様な次女、やや舌っ足らずな話し方で奔放な三女、真面目で少し地味な生徒会長の四女(生娘)、この4姉妹は主人公の隣に住む幼馴染みで、四女とは恋仲目前という間柄。四女はなかなか可愛らしいツンデレなのだが、ドSな女王様(次女)が主人公との関係の変化により急激に超のつくツンデレに化けるため、ツンデレスキーな諸兄には堪らないエッセンスも散りばめられている。主人公も四女に想いを寄せているのだが、次女との秘密の過去(これにより主人公の初体験が結構驚きの低年齢だったりする)があったり、三女が巻き込まれたトラブル回避のために関係を持ったりしてしまう。その後も、仲睦まじい次女との関係に焦りを募らせた四女が「高校生デビュー」な健気な振る舞いを見せたり、哀しい過去を持つ長女の「女」を主人公が目覚めさせたりするドラマが続く。このドラマ部分がなかなか練られており、時には少しハラハラするような隠し味も仕込まれたストーリーの果てに(四女に負い目を感じながらも)主人公への愛情が開花していく他の姉妹達である。この深くて溢れる愛情が心地よい。最後はもちろんハーレム。象徴的な装いに身を包んだ姉妹達が主人公を迎える幸せ感たっぷりの結末である。

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紙の本

紙の本狼と香辛料 1

2009/07/07 00:10

独特の世界観と「二人芝居」の妙が孤高の作品

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

今更のレビューでスミマセン…。
アニメ見てからのレビューでスミマセン……。
これまでずっと枕元に積んだままでスミマセン………。

読了しての第一印象は「なるほどねぇ~、こりゃ人気出るわ~」といったもの。中世っぽいファンタジーな舞台、行商人という職業と経済的視点、ロレンスとホロの二人芝居。ライトノベルらしくてライトノベルらしくない独特の世界観が第1巻にして孤高の域にある。前半こそ文章に若干の気負いが感じられるものの、ロレンスとホロの交わす会話が何とも小粋というか、賢狼とはいえ少々物分かりが良過ぎる気もするホロに手玉に取られるロレンスという構図が実にナイスである。商人らしい考えと行動が最後まで続くストーリーに、2人のラヴともライクとも付かない微妙な関係が折り重なるドラマティックな展開に引き込まれる。「香辛料」が意味するものの由来も面白く演出されており、この2人の駆け引きを含んだ今後の道中が大変楽しみになってくる。挿絵に賛否あるようだが、これはこれで作品世界を上手く表現していて悪くないのではなかろうか。

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紙の本

紙の本未亡人熟母の寝室 Secret lesson

2009/03/02 21:54

心も美しい娘が貞淑で妖艶な未亡人母を思いやる愛の物語

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

これは……!もしかしたら誰が何と言おうと、作者自身が「ちょっと異色」と言おうとも鏡作品の最高傑作ではなかろうか。自分的には間違いなく殿堂入りである。確かに鏡作品にしては主人公がオドオドしたウブな少年ではなく、むしろしっかり者の大学生であり「初めて」も終えている。この主人公が教え子の未亡人母を見初め迫っていく展開が異色である。それもいきなり風呂あがりの母とばったり鉢合わせして強引に迫り貞操を奪ってしまう。母の抵抗が弱過ぎる気もするが、もとより憎からず想っていたのだろうと推測すれば唐突な印象も多少拭える。そして主人公が己の情欲のみで迫っているのではなく本当の本気だと示すセリフがあり、これが本作のカラーになっていく。家庭教師の時間前に逢瀬を重ね、年の離れた恋人同士になっていく展開がミラクルながら心地よい。ソファで迫り、娘の部屋で交わり、またまたソファで今度は後ろからとシチュエーションもいやらしくてグッド。いきなり玄関先で交わり、またもや娘の部屋へ移動して娘の服を着せて娘のベッドで2回戦突入といった背徳感たっぷりのシーンもある。乱れながらも恥じらいを捨てない母が艶めかしく美しい。そして、早く帰宅した娘に情事を覗き見られる場面があるが、ここでこの娘の凄いところは、自分も主人公に恋していながら、ようやく見つけた母の幸せを尊重して身を退こうと考えるところである。娘とも関係を持つのだが、これは三角関係の泥沼を避けながら娘の最初で最後のお願いを聞き届ける唯一の策としての、1度限りの儀式であり、この儀式で娘は「初めて」を奉げる。その後、主人公の決心と娘の後押しが綴られるエピローグを迎える。現実感は乏しいかもしれないが、この2人、そしてこの家族にとって最高の結末と言えよう。ああ、素晴らしい。未来の覚悟も自覚してよくぞ決意した主人公!である。

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紙の本

紙の本フルメタル・パニック! 12 ずっと、スタンド・バイ・ミー 下

2010/08/22 01:10

大団円としか言いようのない見事な完結

7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

あえてハッピーエンドの大団円と言わせていただく。ネタバレと責めないでほしい。このサブタイトルにこの表紙で他に何がイメージされると言うのだろう。見事な完結と喝采したい。なので、どう展開して大団円に至るのか、これに注目して読んだが、結末に至るまで痛快の一言に尽きるものだった。

絶望的な展開があっちこっちに噴出するが、これをギリギリのところで回避する。些細な機転や、時には運まで味方につけて乗り越えていく。意思を持たぬ軍人が自らの意思で、生きたいという一念で行動した結果として、絶望から次々と這い上がり、乗り切るからこそ痛快であった。冒頭の「DJ」と化した宗介の“罵倒”からして痛快であり、これに怒りを露わにするかなめの反応もまた痛快である。あの男も実に「らしく」登場しては、これまた実に「らしく」台無し扱いされている。

今回の顛末はゲームになぞらえると分かりやすい。人生ってのは、そう簡単にリセットできるものではなく、リセットすべきものでもないのだから、後悔してでも歯を食いしばって前に進めと諭してくれているようである。また、予期した未来というものが、ちょっとしたことでこうも劇的に変わるものだとも教えてくれている。ミスリルの面々が体を張ってこの奇跡を示している。だから面白いのだと。奇跡と言えば、最後の最後に見せたハルの行動を「あり得ねー」と断じるのは野暮であろう。宗介との長く厳しいコンビを経てハルが掴み取った刹那の“転生”と思いたい。

この物語の後日談を書き下ろすことも検討中とのことだが、ここは逡巡せずに是非ともお願いしたいところ。宗介とかなめの、やっとの邂逅の割に心を通わす場面が殊の外少なかったことが本巻ほぼ唯一の物足りなさなので、これをどうにか埋めてほしい。思いっ切りイチャイチャして埋めてほしい。

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紙の本

紙の本カンピオーネ! 7 斉天大聖

2010/07/28 16:10

バトルもハーレムも絶好調

7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

斉天大聖編の後編。孫悟空と言えばこの二神もネ、とばかりに猪(豚?)や河童も現れ、三神三様のバトルから三神一体の総攻撃に対して、護堂もまた何度も退却を余儀なくされながらもチームを結成し、新戦法でこれを迎え撃つ妙味を加えた、スペクタクルな激闘と相成った。二転三転するカタルシス充分なバトルが相変わらずの大スケールで描かれ、今回もまた世界遺産及び重要文化財が悉く破壊されるオマケ付きである。

今回は『まつろわぬ神』とカンピオーネのバトルロイヤルの様相を呈したが、ここで意外にも“護堂ハーレム”に新局面か?と思わせる面白さがあった。しきりと護堂に「お姉さま」と呼ばせたくて、これを執拗に強要する羅濠教主。超絶なプライドの高さに加えて結構しつこい人だった事も判明するのだが、これが何とも言えず可愛らしかったりして株を上げている。実は本巻の序盤で訳あって実質的な退場状態となり、中盤のワンシーンを除けば終盤まで活躍の場が無いのだが、出て来る度に強烈な存在感を放っていた。護堂のことを、態度こそ尊大ながら「弟」のように溺愛するに至った彼女の今後の再登場を、同様に護堂を意識し始めたアニー・チャールトン共々期待したい。

ところで、羅濠教主の不在時に護堂は何をしていたかと言うと、これが既存ハーレムのさらなる強固だったりする(実際はこればかりでもないのだが)。もぅね、『少年』の権能はちょっと反則。女性陣みんなメロメロのトロトロ。(笑) ハーレム展開する数多のラノベ作品に「これが真のハーレムじゃい!」と見せつけるかのごとき甘くて艶めかしい『加護』によって完全に屈服させている。何ですか、これ。3“ピー”ですか?5“ピー”ですか?という際どさ一歩手前なシーンもあり、彼女達にあのような誓いの言葉を吐かせる、コンチクショー極まる護堂である。

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紙の本

紙の本僕とメイド母娘 ご奉仕します

2010/03/03 17:45

頑張る母と素直じゃない娘が楽しい激甘な「ご奉仕」物語

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

美少女文庫のエースによる「黒本」長編デビュー作。美少女文庫の雰囲気そのままに35歳の未亡人母を加えた作風が実に楽しくていやらしくて素晴らしい。熟女が少年を妖艶に誘惑するのではなく、サブタイトルが示すように、言葉遣いも丁寧で楚々としたウブな母が「これぞ本当の初恋っ!」とばかりに献身的な愛情を捧げる中に素直じゃない娘が絡む展開である。その名前から今にもあの「アンタ、バカぁ?」を繰り出しそうなツンデレ娘は、実際、主人公に照れ隠しの『バカ!』を連発する生娘である。この2人が主人公を取り合う様が微笑ましい。とある理由で主人公と同居することになった母娘なので相姦要素は無く、真っ直ぐな想いを主人公にぶつけるが、特に前半では年の差を気にする母が逡巡する場面が多い。とりわけ自分を『おばさん』とか『年増』と卑下しては主人公の真意をしつこく確認するのだが、ここには主人公に否定してもらいたい健気で一途な愛情とともに無意識なしたたかさも感じられ、母の可愛らしい小悪魔振りが出ていた。また、『ね、ここ、絶対領域って言うのよね?恥ずかしいけど、お母さん、頑張ってみたのよ』とのセリフが全てを表すように、この母は頑張るのである……メイドのコスプレ。他にも裸エプロンや女教師風の格好で淫猥に責められている。あと、主人公とのやり取りでは思いっ切り甘えた「女」なのに、娘には「母」の言葉でたしなめるギャップも面白い。こうした激甘な雰囲気が実に良いのだが、「メイドでご奉仕」のシーンはさほど多くない。一応、Wヒロインな母娘だが、母に寄った内容は「黒本」を意識した配慮かもしれず、年齢的に娘は“妹”にあたるものの妹らしさは皆無なので、母あるいは可愛い熟女好きな読者向けの作品と言えよう。個人的にはこのまま「黒本」での次作以降を激しく希望する。

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紙の本

紙の本ナースを彼女にする方法 1

2009/09/24 17:36

設定が既にハーレム

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

作者初の長編シリーズらしい。舞台は病院、ナースがてんこ盛り(女医も患者もいる)、そしてみんなが主人公の新人看護師【太嶋海斗】を狙っている。対して海斗は以前からの想い人であるナースにしてメインヒロイン【羽鳥】との距離を少しずつ縮めるもののタイミングが合わずなかなか恋仲に進展しない、という王道ラヴストーリー……うん、悪くない。ベタかもしれないが全然悪くない。物語を紡ぐための条件や設定は充分に揃っている。もともと心暖まる恋物語を短編で幾つも描いている作者なので本作もまた安心して読める内容だと言えよう。

今のところカラミは海斗の元カノで教育係の【瀬崎夏夜子】と女医の【岡野】先生が主に担当。夏夜子は一応、海斗争奪戦で一歩リードした形にはなっている気丈なお姉さん系。海斗の看護師としての成長を認め、信頼も寄せている。長髪のナイスバディで海斗に心も体もメロメロな一面をも覗かせており、羽鳥との仲に対するライバル的存在に発展しそうである。可愛らしいところもあるオトナ、岡野先生は人妻だけに背徳感も漂っているが、夫との仲があまり芳しくないようなフシもあって、これまたライバルになるのか?というところ。シチュエーション抜群で濃厚な情交を披露している。あと侮れないのが羽鳥と一番仲良しな後輩の【工藤】さん。当初は訳あって海斗を警戒していたが誤解と判明、後に海斗を見直す場面に遭遇して態度が急変、なぜか酔った勢いで素股をしている(本人は覚えていない様子)。そして本巻の最後には、いわゆる“海斗ハーレム”からさらに一歩進んだ関係を望む行動一番乗りまで果たしている。ただし海斗の想いは、あれだけ夏夜子や岡野先生と交わっていながらコンチクショーにも羽鳥一筋なので、これにどう応えるかに期待が高まる。病院内にもいろいろ伏線めいた秘密があるようなので、これらも併せて今後が楽しみである。

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紙の本

紙の本高慢女性課長

2017/03/14 17:58

非現実な設定に盛り込まれた現実性

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

早期退職の見返りに女子社員を5人まで自由にできるという余りにも非現実的な設定に当初はどんなファンタジーかと思ったが、ここから現実的な問題を巻き込んで面白味のあるストーリーに仕立てるところはさすがの作者と申し上げたい。タイトルこそ「女性」と遠慮気味だが、要は高慢ちきな女を懲らしめる痛快さがたっぷり濃厚な官能で包み込まれた作品である。

1人目:冴子(33歳)女課長
怜悧な美貌で逆セクハラ・パワハラも厭わない上昇志向の塊。その性格の悪さをギャフンと言わせるべく最初に選ばれた相手だが、実際には全身これ性感帯という感度の良さで主人公の責めに悔しがりながら屈するいやらしさがある。そして、本作のラスボスとして終盤にも登場する。

2人目:逢子(24歳)元部下
対照的な癒し系の若手を2人目に配する硬軟のバランスが絶妙だが、どうしてこんな素敵な娘さんが主人公の求めに応じるのか、という疑問には女性側のメリットを明記することで解消している。敢えて第2章で示すのは巧みな構成と言える。55歳の主人公に父親的親しみと愛情にも似た想いを寄せて初心な反応を見せる逢子の一言から裏に忍ばされた本当の物語が始まるが、この時点では主人公も読み手もまだ気づかない。

3人目:和代(39歳)部長夫人
挑戦的にも上司の妻を選んでいるが、つまりは元カノである。かつては重役秘書として(妻帯者の)主人公と不倫の関係にあった和代は、出世争いの勝利者たる部長に寝取られた女として未練の対象であり、敗残兵たる主人公の悲哀の対象である。また、和装の麗人として今は慎みのある魅力を放つ和代は夫とご無沙汰続きの空閨を満たすために応じた経緯があったりする。そして、その理由が冴子にあることから、未だ鼻っ柱の強い冴子に制裁を加えるための共闘関係が成立する。

4人目:麻輝(28歳)営業部
営業の成績トップだが、枕営業も辞さない態度から冴子と共に性悪女トップ2ともされている。上から目線で主人公を侮蔑するものの無自覚だったM性を突かれてしおらしくなるギャップも見せる。冴子と似たタイプながら官能面で別のシチュエーションを用意するのはさすがのベテランと言ったところか。そして、自分の昇進を邪魔する冴子に腹を立てている麻輝もまた主人公の提案に乗り、冴子包囲網が形成されていく。

5人目:?
ほぼ1章1ヒロインで進んできた流れが第五章で変わる。冴子の増長を抑えるために敢えて和代の夫にして主人公のライバルだった部長に矛先が向けられる。その理由が部長にはある。枕営業で培ったノウハウ(?)で麻輝が部長を堕とし、ホテルで睦み合うところを隣室から主人公と和代がモニタリングしながら録画するという作戦だが、刺激された2人も淫らに燃えるという霧原作品らしい展開で最初のクライマックスが訪れている。そして、これをネタに事態の収拾を図った後は、若手の男子社員を交えて最後の仕上げとばかりに冴子を前に後ろに責め立てる2度目のクライマックスである。

それぞれに異なった魅力のヒロイン達が恥じらいつつも感度良く昂っては淫らに燃える。その妖艶さに大人の女らしさを感じつつ、第2の人生を歩む主人公の穏やかな結末はその対比のようでもある。

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紙の本

最後まで「傲慢」を貫き通した刻也の完結編

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渾身の全400頁、作者にとっても読み手にとっても満を持しての最終巻である。心の準備をして一気に読んだ。『円卓生徒会(著:本田透)スーパーダッシュ文庫』シリーズでも思ったが、何冊にも渡った物語の全部をひっくるめて1つの大きな大きな伏線とするかの壮大などんでん返し的大技が繰り出される瞬間に出くわすことがある。「やられたなぁ~」という心地良い瞬間である。この期に及んでも本巻最初のクライマックスのために伏線を張る【第一章】から、刻也が全ての真相を知る【第二章】、図らずも二転三転する『アンティーク』対決となる【第三章】を経て刻也の決意が試される。ここまでにこれまでのエピソードが走馬灯のごとく巡ってくる。ほぼ全ての「小さな物語」がこのためにあったのかというニクい演出、その遠大さに舌を巻く。そして、刻也と咲の想いが、すれ違いの中で真に花開き、最後のクライマックスへと続く【第四章】が、咲から『傲慢』と言われた刻也の、さらにナナメ上をいく傲慢な結末への導火線となりながら、これまでの“第四章”を彷彿とさせる「2人の物語」になっているのが素敵過ぎる。

前巻の書評で予想した本巻の行方は正否相半ばだったが、素人のちんけな予想なんぞを劇的にぶっ飛ばす素晴らしい結末を見せてくれて大感謝である。未回収だった第2巻第三章が「なるほどねぇ~」と回収されるのはある程度想定内にしても、第1巻第四章がこれほど重要な位置を占めるとは思わなかった。しかし、あれが刻也と咲の「2人の第一章」だったかと思えば、ほんのり暖かい気持ちに包まれるというものである。

見事な完結に喝采を贈りつつ寂しい思いにもとらわれるが、次は本シリーズの第四章の成分を抽出したライトなラヴコメなどはいかが?と僭越ながら提案してみたり。

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