2月8日に、橘ケンチさんの『パーマネント・ブルー』が配信となりました。
hontoでは、これを記念して橘さんに特別メールインタビューを受けていただきました！
普段はわからない橘さんの内面や、作品への愛着が伝わるようなインタビューとなりました。
橘さんの作品とともに、お楽しみいただければ幸いです。

2/8、初小説となる『パーマネント・ブルー』が発売となります。この作品を書き終えたときの、率直な感想をお聞かせください。

全身に染みわたるような達成感というのでしょうか。書き終えた時には、これまで味わってきたどんな感情とも違う感慨がありました。
なにしろ、書き始めてから三年という時間がたっていて、しかも、ライブだって舞台だって、チームのみんなや共演者、スタッフと一緒に大勢で作り上げていくものばかり。たぶん人生で初めてだと思います。ここまで、たった一人で試行錯誤し続けた日々は。最後は、ああ、出し切った！ と思いましたね。

ダンスを中心にさまざまな場で表現をされている橘さんですが、今回、小説というステージを選んだきっかけがあれば教えてください。

EXILEに加入して、迷ったり、自信がなくなったり、そういう時はいつも本を読んできました。
いつしか自分でも「本が書けたらいいな」と思っていたので、「小説、書いてみたら？」とひとから勧めてもらったときに、「今がその時なのかも」と飛び出せたんだと思います。

ダンスで表現することと、小説で表現することの違い、また共通点はあったでしょうか。

自分を通して表現するという意味では一緒ですが、小説のほうが少し自由な部分が多いのかもしれません。何より、実際の肉体表現からはみ出ることができるというのは大きい。小説って本当に、どこまでもひとの想像力を刺激することができる表現だなと感じています。

時代性を帯びた熱い青春小説である『パーマネント・ブルー』ですが、このタイトルに込めた思いをお聞かせください。

自分の中にはいまも ‟青春性” みたいなものがあるなと思っていて。
はからずも僕のテーマカラーはブルーで、髪色だって青だし、もう自分とは切っても切り離せないシンボルなんですが、小説を書いているうちにいつしかその青さと、自分の中に息づいている ‟青春性” が共鳴するのを感じました。
小説を書き終えた時もごく自然に、この物語に名前を付けるなら『パーマネント・ブルー』だなと思いました。

本作は橘さんの実体験をもとに紡がれたということで私小説でもあると思うのですが、フィクションとノンフィクションのバランスはどのように意識されたでしょうか。

主人公・賢太がチームを組むメンバーには全員モデルがいますし、作中の不思議な体験も実話だったりします。だから、基本はノンフィクションなんですが、過去と向き合ううちに、選ばなかった道がはっきりと見えてきたり、当時は気づかなかった自分の感情を発見したりして、自然に膨らんでいった部分もたくさんあります。

『パーマネント・ブルー』は、どんな方に読んでほしいでしょうか。

いままさに夢を抱いて進むべき道を模索している方はもちろん、自分の夢とは一度折り合いを付けて、いまは別の道を大切に歩んでいるよという方まで、いろんな方に読んでもらえたら嬉しいですね。

本作で小説家デビューとなりますが、すでに2作目の構想はお持ちでしょうか。または今後の展望があればお聞かせください。

この作品を書くので精一杯で（笑）、とても次作のことまで考えられていなかったのですが、本が完成していち早く読んでくれたみなさんから、立て続けに「続きが読みたい！」と言われて「そうか、続篇か」とハッとした部分もあります。
小説を書くことに関しては、苦労も多かった一方で、書いている間中まるでセラピーみたいに癒されている感覚があったのも確かで、できるならこれからも続けていきたいなと思っています。

最後に、これから読まれる読者の方にメッセージをお願いいたします。

大きな夢でも小さな夢でも、人生で何かに向かっていこうという時に、ふっと思い出してもらえるような作品になっているといいなと思って書きました。
まだ何者でもない主人公たちが、迷ったりぶつかったり、揺れ動きながらも喰らいついていく姿が、どこかで誰かの背中を押すことに繋がれば、こんなに嬉しいことはないと思っています。
ダンスに興味がある方もない方も、最後まで楽しんで頂けたら嬉しいです。