honto+インタビュー vol.10 真保裕一

注目作家に最新作やおすすめ本などを聞く『honto+インタビュー』。
今回は、「行こう!シリーズ」最新作『遊園地に行こう!』刊行を記念して真保裕一さんが登場。

小さいころから、とにかく物語をつくりたくてしかたがなかった

『ホワイトアウト』『奪取』『アマルフィ』などのミステリー、冒険小説で知られる真保裕一さんには、もうひとつの人気ラインアップがある。読むのがひたすら楽しく、ハートウォーミングなストーリー展開の『デパートへ行こう!』『ローカル線で行こう!』。
この「行こう!」シリーズの第3弾が、真保さんの最新刊にあたる。『遊園地に行こう!』と題された小説、いったいどんなものか。
また、今年でデビュー25周年を迎える真保さんの、書き続けるための原動力とは―。

――「行こう!」シリーズの最新刊、舞台が遊園地というのはどこからきたアイデアなのでしょう。

このシリーズは「再生」がテーマになっています。最初の『デパートへ行こう!』は家族の再生。次の『ローカル線で行こう!』が地域の再生の物語。次は見えないもの、みんなの夢をもう一度取り戻せたらと思ったんです。今、若い人でもなかなか夢を持てないと嘆く声がありますね。誰しもがんばっているのに、それでは寂しい。遊園地をテーマにすれば、活力を取り戻す話を書けるんじゃないかと考えました。

――執筆にあたって取材は綿密に?

現場で働いている方から話を聞きました。みなさん、遊園地への愛にあふれていましたね。私自身は小説家を25年も続けてきたのですが、最近、どこかデビュー当初の情熱を忘れかけていたところもあった。
遊園地と自分の仕事を愛し、がんばっている人の言葉から、大いに刺激を受けました。読んで元気になるものを書かなくては、と強く思わされましたね。

――デパート、鉄道、遊園地。「行こう!」シリーズの舞台は、テレビや雑誌記事などでよく取り上げられるもの。「誰も知らない、とっておきの情報」を小説に盛り込むのが難しそうですが……。

それはそうですけれど、あっと驚いたり、深く頷いてしまう情報の部分は、小説にとっておまけみたいなもの。それよりも、人が織りなすドラマこそが、小説の中心だと思っています。「行こう!」シリーズなら、ある環境で働く人のドラマが、小説としてはメイン。物語をこそたっぷり楽しんでもらえたら、うれしいですね。

――雪山や外交官の世界、警察内部、はては選挙の現場まで。四半世紀に書き継いだ作品は膨大で、かつ幅広い。なぜこれほど多様な物語を紡げるのでしょう。

ひとことでいえば、好きなことだから、情熱を傾けられたということになります。小さいころから、とにかく物語をつくりたくてしかたがなかった。漫画や小説をたくさん読んで育って、アニメや映画を見て感動してきたので、いつしか自分も、そういう喜びを人に与えられるようになれたら最高だなと思うようになった。それで、まずアニメの制作を、そのあとに小説を書くことに移りました。子どものころから「こういうことしたいな、できたらな」とずっと考えてきたことを、そのままやっているだけだといえそうです。

――『遊園地に行こう!』では、主要人物が困難を経て、スタッフとして大きく成長します。主人公が壁を克服し作中で変化していく、それも真保作品の特長では?

冒険小説が好きなんですよ。日常のちょっとしたことでもいい、人が何かを乗り越え、成長していく。その過程を描くのが楽しいんですよね。「行こう!」シリーズは再生の物語ですから、人の成長するさまが、よりはっきりと浮かび上がるのだと思います。

新刊のご紹介

遊園地に行こう!

遊園地に行こう!

真保裕一 (著)

出版社:講談社

明日も仕事に行くための、勇気と熱狂ここにあります!読めば元気が出てくる痛快お仕事ミステリー。

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著者プロフィール

真保裕一(しんぽ・ゆういち)

1961 年生まれ。
91年、『連鎖』で第37回江戸川乱歩賞受賞。
95年、『ホワイトアウト』で第17 回吉川英治文学新人賞受賞。
97年、『奪取』で第10 回山本周五郎賞と第50 回日本推理作家協会賞受賞。
他に『アマルフィ』『赤毛のアンナ』など、ミステリー、エンターテインメント、時代小説とジャンルを超えて作品多数。

主な著作

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