電子書籍
見えないものの影
著者 著者:小松 左京
もし、家の中や身の回りで、いろんなものが次から次へと消えはじめたら――? ある日、達夫の新品の腕時計がなくなった。次いで、朝まだ暗いうちに、妹の良子が悲鳴を上げて大騒ぎになった。何かグニャグニャした毛むくじゃらの手がふわっとさわったというのだ。その時、彼女の腕時計も消えていた。それからしばらくして、家でテレビが故障しはじめた。これは、何かとんでもないことの前触れなのか……? ひそかにしのびよる見えないものの影の正体とは? ジュニアSFの傑作! 貴重な手書きの生原稿画像と充実の解説を収録した決定版。
見えないものの影
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電子書籍見えないものの影
2019/05/19 17:52
短編ジュニアSFの決定版シリーズ
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:とあるUSJ好き - この投稿者のレビュー一覧を見る
SF、と一言に言ってもいろんな種類がある。ウェルズやヴェルヌのようなスチームからエレクトリックの移行期の古典SFから、スターウォーズのようなスペースファンタジー、70年代以降に考えられた未来・近未来社会のサイバーパンク、過去の完全な別世界線としてのスチームパンク、藤子不二雄・星新一のような少し不思議な物語と枚挙に暇がない。
その中で、このジュニアSFシリーズに名を連ねる小松左京・筒井康隆・福島正実らは、世界全体にスケールが大きく波及するものであろうとなかろうと、小さな日常に潜む空想的科学現象を描き出す。
小松左京のこの短編集の表題作は、そんな日常に潜む恐ろしい現象を列島の沈没の如く、容赦がない物語だ。
世界が危ういバランスで保たれていることに気づいて、またこの小説のように、バランスが崩れることを虎視眈々と狙う者の存在がいたとしたら。
そんな物語を突きつけることができるのもSFの醍醐味である。