電子書籍
自転車ツーキニスト
著者 疋田智 (著)
「自転車とともに生活すること。それは人生のスタイルを変え得る可能性すら持っている」(「自転車通勤をはじめた頃」より)。ふとしたきっかけで自転車通勤を始め、自転車にのめり込んでしまった著者が、自転車生活の魅力、自転車への熱い思いを吐露! 快適な自転車通勤に必要なものは? 真の自転車的社会とは? 今すぐ自転車で出かけたくなる一冊!(『「自転車通勤で行こう」』改題)
自転車ツーキニスト
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紙の本自転車ツーキニスト
2003/12/21 03:55
二倍おいしい読書。
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:アルテミス - この投稿者のレビュー一覧を見る
しばらく前から自転車通勤をしている。
18歳から30歳までずっと同じ体重だったのに、30歳になってから毎年1kgずつ増え始め、数年前生活環境が変化してからは、一気にドドーン!と増えてしまったのだ。
美容面を横においても、急激に体重が増えると何が困るって、手持ちの服が入らなくなること。増え方が半端でなかったので、靴まできつくなった。他にも、立っているのがしんどい、正座が5分ともたなくなるなど(前は、2時間でも3時間でも平気だった)。
いよいよ危機感を抱いたのは2度目に大台を超えた時で(つまり20kg増えた時)、こりゃやばい、糖尿病になりかねない(親が糖尿病なので、素質は充分にある)、何とかせねばと真剣に考えた。
ところが。ケチな私はフィットネスクラブの入会金を払う気になれず、しかも不精なため通い続けられる自信もなかった。
で、思いついたのが自転車である。実は高校時代に部活で、今の勤務先の近くに自転車で通っていたのだ。あの頃と同じスピードは無理にしても、バスと電車を乗り継ぎさらに徒歩という元の通勤手段よりは早いだろうと考えた。自転車代しかお金がかからず、しかも余計な時間を使わないとなれば、いかに3日坊主の私でも続くだろう。
結果はほぼ予測どおりで、季節が春夏秋と過ぎた現時点で、まだ続いている。体重も5kg減った。減った量が少ないのは、毎日自転車を使っているわけではないため。無理に毎日やるぞと力むと、早々に挫折すると考えた。うーん、私は自分を相当に根性無しと思っているな。
そんな折に、先達の存在を知った。いや、知るだけは前から知っていたのだが、本が出ているのを知らなかった。
で、読んでみた。
読む前は自転車通勤についてのハウツー物だと思っていたのだが、そういう章もあるのだが、それよりは自転車をキーワードに、世の中のさまざまなことを考えるエッセイ集の趣が強い。
自転車での通勤についての文章では、うんうん、そうだよなあと共感した。
テレビ屋さんという著者ならではの体験には、笑い、怒り、考えさせられた。
中心となるのは無論、日本の自転車を取り巻く環境である。車道と歩道、どちらを走ればいいのか? スーパーやホームセンターの、あの異様に安い自転車の裏側に潜む問題点は? 自転車泥棒は?
それに、著者が仕事で出会った国内外の人々の、自転車への思い。
さらに、この本の特色として。
本書は単行本で出版されていた「自転車通勤でいこう」を大幅加筆修正したものなのだが、その加筆分に書体の違う活字が使われている。そのため自転車通勤初心者の素朴な、そしてちょっぴり感傷的な文章と、それから数年を経た、当時の素朴さに苦笑し訂正し新たな考察を加え、でもやっぱり少しばかり感傷的な文章を交互に読むという、珍しい経験ができる。
単行本時の著者に近い初心者の私は、元の文章に共感し、加筆分に知識をもらうという二倍おいしい読書となった。
ただ、同じ初心者と言っても、ベースにある体験が違った。私は、子供用自転車を除けばママチャリしか乗った事がなかった。本格的な自転車に乗って東京から宮崎まで旅したことのある著者とは、道具としての自転車に対する姿勢が違った。
だから自転車屋のおじさんに薦められるままに、シティサイクルを買ってしまった。シティサイクルとしては高価な部類に属するのでそれなりに軽いし、太りなまった体でも、運動部だった高校生の頃のママチャリより速く走れる。
でも、スポーツタイプはそんなに軽くて速いのか。ああ、買う前に読むんだった(あ、本書はまだ出てなかったか)。