電子書籍
制服捜査
著者 佐々木譲 (著)
札幌の刑事だった川久保篤は、道警不祥事を受けた大異動により、志茂別駐在所に単身赴任してきた。十勝平野に所在する農村。ここでは重大犯罪など起きない、はずだった。だが、町の荒廃を宿す幾つかの事案に関わり、それが偽りであることを実感する。やがて、川久保は、十三年前、夏祭の夜に起きた少女失踪事件に、足を踏み入れてゆく――。警察小説に新たな地平を拓いた連作集。
制服捜査
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本制服捜査
2010/09/23 12:04
『踊る大捜査線』より深い闇
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yjisan - この投稿者のレビュー一覧を見る
道警不祥事をめぐる一斉配置転換のあおりで、強行犯係の捜査員から一転、単身赴任の駐在勤務となった巡査部長の川久保。一見すると平和で健全な田舎町で起こる微かな異変に、彼の元刑事としての勘が反応した・・・「犯罪発生率、管内最低」の実態は、「犯罪が発生しない」ということではなく、「犯罪が表沙汰にならない」ということだったのだ!
川久保は制服警官という立場から、独自の「捜査」(本来は権限外)に乗り出す・・・・・・
駐在の聞き込み情報を軽視する所轄の捜査員や、よそ者を嫌い犯罪や不祥事を隠蔽しようとする地元有力者に苦しめながらも、僅かな手掛かりを基に、地道かつ執拗に事件の真相を追及する主人公の(派手さとは無縁な)泥臭い奮闘が眩しい、極めてリアルな警察小説。
「事件は会議室で起きてるんじゃない、現場で起きてるんだ!」とは、『踊る大捜査線』で本庁の傲慢なエリート意識と無責任な官僚主義に憤る所轄の青島俊作巡査部長(湾岸警察署刑事課強行犯係)の名言であるが、本作では所轄署に翻弄される駐在という、更に下のレベルでの悲哀が描かれている点(警察ものではあるが刑事=捜査員が主役ではない点)に最大の特質がある。また日本的ムラ社会に潜む腐臭という舞台設定も巧妙である。
連作短編形式となっており、最後の中編では、これまでの短編での不完全燃焼ぶりを晴らすかのように川久保が見事な活躍を見せ、爽快な読後感がある。
紙の本制服捜査
2013/03/01 12:38
大衆文学
4人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:カラス - この投稿者のレビュー一覧を見る
短編集だが、
二つ読んだところでやめた。
なぜなら、ワンパターンだからだ。
平穏に見える田舎の町が実は
事件に満ちていた。
ただ、それだけのワンパターン。
大衆文学はワンパターンの文学に過ぎないが、
これもその例にもれない。
同じような話をいくつも書かれても
飽きてしまうし、
文学的にもおもしろくない。
活字中毒者にはたまらないかもしれないが、
文学を魂の問題と考えている人間には、
ちょっとどうでもいい作品だった。