- 出版社: 講談社
電子書籍
科学する麻雀
著者 とつげき東北 (著)
従来の麻雀観を根底から覆す数理的戦術書。「状況」や「流れ」を根拠にした曖昧な打ち方は思考停止にすぎなかった。膨大なデータを解析し「ここではこう打つ」という解に可能な限り近づく史上初の試み。※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。 (講談社現代新書)
科学する麻雀
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評価内訳
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紙の本科学する麻雀
2004/12/27 01:40
革命者は、文学から遠く離れて。
6人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Straight No Chaser - この投稿者のレビュー一覧を見る
五味康祐(名著“麻雀大学”)や阿佐田哲也(名著“Aクラス麻雀”)に心酔した人々が作り上げた「文学的」な麻雀。ヒクソン・グレイシーの親友でもある伝説の雀鬼・桜井章一に心酔した人々が作り上げた「武士道的」な麻雀。東大出のプロ雀士・井出洋介に心酔した人々が作り上げた「理論的」な麻雀。漫画家・片山まさゆきが言いだしっぺの「スーパー・デジタル」……そんな系譜に終止符を打つ人、それが「とつげき東北」であるのかもしれない。
「とつげき東北」とは誰か? そのふざけた名前は何なのか? 馬鹿にしているのではないか? しかし講談社の本だ、どういうことなんだ、これは!?
「とつげき東北」氏は、東風荘(ネット上の雀荘)の“カリスマ”雀士である。僕も何度か一緒に打たせてもらったことがある(ちょっと自慢)が、アクの強さとか、勝負師くささを全く感じさせない麻雀を打つ人である(そんなこともあってか、わりと相性がよかった……とかなり自慢)。いわゆる劇画チックな面白さは皆無である。でも、確かに面白い。彼との対局は密度が濃いのだ。
そもそもネット雀荘で“カリスマ”化するような人は、どこか壊れているところがあったりするものだが、彼にはそれがない。ゲームとしての麻雀の面白さ、「ゲーム」という言葉が軽すぎるならば「競技」としての麻雀の面白さを、彼が同じ卓にいるというだけでひしひしと感じる。背筋がピンっと伸びる感じ、自分勝手は許されないという感じ……たかがネット麻雀だが、そんな空気を作り出せる人である。
断言する。この人は“ほんもの”だ。“今後の麻雀は本書を避けては通れない”と豪語するだけのことはある。
なんだか「文学的」な褒め言葉が並んでしまっているが、本書の主張は正反対だ。「文学的」ではなく「数理的」な麻雀、膨大なデータの解析・統計処理(彼はそっちのほうの専門家であるらしい)をもとに、ルーズな常識をバサバサ斬り捨ててゆく。その手腕は見事である。
「とつげき東北」氏は、偶然は偶然として認めることが大切である、と言う。“運”とか“偶然”という言葉に逃げることの許されない部分をデータの裏付けをもって徹底的に追究してゆくこと(ウィトゲンシュタイン、或いはゲーデルの如き態度である)、その結果として明らかになったものを、惜しみなく本書は提供してくれる。
たかが麻雀と馬鹿にするなかれ。なかなかどうして奥が深い世界である。“言葉”ではなく“牌”を使って卓上でコミュニケートする……“捨て牌”という表の顔と“手牌”という本当の顔……うむ、どうも僕が書くと全てがあまりに「文学的」になってしまう……
麻雀なんて要するに“遊び”であるし、“馬鹿げた”“無駄な”ものである。でも、“道”というのは案外そんなところから開けてきたりするものだ。
ふと思ったのだけれど、むしろ麻雀をよく知らない人にこそこの本は深い意味をもつのかもしれない。「ああ、麻雀ね…ふん」ぐらいの気持ちで手にとってみてほしい。この本のなかでは、確かにスゴイことが起っている。かつて麻雀にハマった経験のある僕の濁った心には見えないものが、あなたには見えるかもしれない。
紙の本科学する麻雀
2010/05/14 14:40
麻雀上達の最短経路は,この本を読むことだと思う.
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちよく - この投稿者のレビュー一覧を見る
麻雀とは非常に複雑なゲームである.なぜならば,そこには運という不確定要素が含まれているからである.
では,どうすれば強くなれるのか.これまでの麻雀の指南書では,非常に漠然とした内容しか書かれていなかった.リーチをかけるべきか否か.鳴くか否か.これらの問題に対しての明確な答えを用意せず,流れや気配といった不明瞭な要素まで出てくる始末.
この本では,オンライン麻雀「東風荘」の膨大なデータを分析し,打点,待ちの形,順目からどういう場合にリーチをかけるべきか,また,相手に対しどういう守備をとるかといった麻雀の基本的な問題に対し,非常に明快な一般解を用意している.たとえば,「5200未満のペンチャン待ちはリーチすべき」のようにである.
もちろん,麻雀は非常に奥が深いゲームであり,単純な解答などない.上級者になればなるほど,確率や効率の枠組みにとらわれない柔軟な思考に基づいた打ち方をしている.しかし,確率統計に基づいて書かれたこの本の内容の信頼度は高い.さらに,どの要素が最も上達に関して効率の良い技術であるかまで言及されている.
麻雀が強くなりたいと思う人にはぜひ読んでもらいたい一冊である.