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屈折率
著者 佐々木譲 (著)
ヤリ手の元商社マン・安積啓二郎(あづみけいじろう)は、経営状態の思わしくない実家のガラス工場の社長となった。工場売却を目論む彼だが、ガラス工芸作家・野見山透子(のみやまとうこ)との恋に落ち、ガラスの世界に魅せられていく。工場再建のために啓二郎が次々と打つ手とは? モノ作りに人生の再起を懸けた男の勇姿を描く長編企業小説。(講談社文庫)
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紙の本屈折率
2003/05/11 17:41
ニッポンの製造業に必要なのは恋のような情熱だった
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かいらぎ - この投稿者のレビュー一覧を見る
元ヤリ手商社マンであった安積啓二郎は、ひょんなことから経営の傾いた実家のガラス工場の社長となる。当初、工場の清算整理を目論んでいた啓二郎であったが、工場に出入りするガラス工芸家の野見山透子と不倫の恋に落ちる。これまで、企業経営も結婚も、成功を手に入れる手段として捉えてきていたのだが、透子に恋することを通して今まで見えていなかった人生を賭するに値することが見えてきた。啓二郎は工場再建と恋に情熱を傾けるようになる。
経営者である啓二郎は、芸術を追求する透子から、芸術を支えるのは限りない情熱と厳しい選択をも躊躇しない確固たる信念であることを学んだのではないか。「経営は芸術だ。」といわれることもあるように、経営にも情熱と厳しい選択が必要だったのだ。そして、それは恋のようでもあったのだ。啓二郎の心境の変化は、まさに現在のニッポンの製造業に必要な変革でもあろう。