アイデアを形にして伝える技術
「アイデアがコンスタントに溢れ出る仕組み」は誰でも持てる! 「効率的なインプット」から「相手に伝わるアウトプット」へ、その刺激を受けて「さらに豊かなインプット」へ…。そんな「循環システム」をつくろう! ビジネス書のイメージを変えたベストセラー『IEDA HACKS !』はじめ『HACKS !』シリーズ共著者にして凄腕マーケティング・プランナーの著者・原尻淳一が、インプット&アウトプットの各技術、それらをつなげるシステム構築について、具体的ノウハウを全公開。現場調査(1次情報)&本やウェブの情報(2次情報)収集術から、クラウド時代の情報整理術、企画書や章の超具体的な書き方、自分の価値を高めるプレゼン上達法まで…。山田真哉氏、小山龍介氏推薦! 「個人の能力と価値」がいっそう求められる時代の「新しい仕事の教科書」! (講談社現代新書)
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2011/07/23 17:14
マーケティング・プランナーが書いた、アナログのフィールドワークからデジタルなアウトプットをするための「知的生産の技術」
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:サトケン - この投稿者のレビュー一覧を見る
, 梅棹忠夫のロングセラー『知的生産の技術』を踏襲している本書は、アナログのフィールドワークの手法をウェブ時代のデジタルに活かすため、インプットとアウトプットの両方を網羅的にわかりやすく解説した本である。
著者のベースにある思想はいうまでもなく梅棹忠夫の『知的生産の技術』であるが、著者に大いなるインスピレーションを与えたのは、大学時代に垣間見ることのできた鶴見良行の「知的生産の工房」である。鶴見良行とは、東南アジア、とくに「海のアジア」を庶民目線によってフィールドワークによって調べ上げて、『バナナと日本人』や『ナマコの眼』などの名著を、つぎからつぎへと世に出してきた研究者のことだ。
梅棹忠夫や鶴見良行といった先人たちの「フィールドワークから知的生産物を量産する技術」をウェブ時代に発展させたのが本書の特色である。いわばアナログ技術をデジタル化する技術といってもいいだろうか。
本書は大きくわけて、インプット編とアウトプット編の二部構成になっているが、いうまでもなく読者にとっての読みどころは後者のアウトプットにある。具体的にいえば、レポートや企画書の書き方だ。本書じたいの企画案が掲載されているのは面白い(P.169)。本という形での「知的生産」を考えている人にも、役に立つだろう
本書は、ビジネス書として分類するのは狭すぎるというべきだろう。なによりも、よくあるビジネス書とは異なり、発想の源はビジネス以外の世界にもひろく求めており、実例も豊富に紹介されている。仕事のうえで、なんらかの知的生産をしなければならない人にとっての知的読み物にもなっている。
ただし、「アイデアを形にする」といっても、ここで語られているのは主に企画についてである。いわゆる狭い意味での「知的生産」である。製品やデザインなどの「形にする技術」のことではない。目に見えるプロトタイプ(=試作品)をつくる必要のある「ものづくり」そのものについては別の本を参考にしたほうがいい。ここでは、もっぱら目に見えないソフトについて語っている。
アイデアの作り方と伝え方にかんして書かれたアウトプット志向の本として、とくに30歳台前半までの若い人にすすめたいと思う。