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光の曼陀羅 日本文学論
著者 安藤礼二
埴谷雄高、稲垣足穂、南方熊楠、江戸川乱歩、中井英夫ら、「死者たちのための文学」を紡ぐ表現者の連なりを描き出す第一部「宇宙的なるものの系譜」。折口信夫の謎めく作品『死者の書』と関連資料を綿密に読み込み、物語の核心と新たな折口像を刺戟的に呈示する第二部「光の曼陀羅」。『死者の書』を起点に、特異な文学者の稜線を照射する気宇壮大な評論集。大江健三郎賞、伊藤整文学賞受賞。
光の曼陀羅 日本文学論
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紙の本光の曼陀羅 日本文学論
2016/09/21 05:46
奇想の作家たちの宇宙論的評論
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Hyperion64 - この投稿者のレビュー一覧を見る
埴谷雄高、江戸川乱歩、折口信夫は一見、とりとめのない文学者と小説家と学者の寄せ集めに感じるが、安藤礼二の手にかかると異なる象徴的展望が拓ける。時代精神と宇宙論的なパースペクティブが、彼らにはあり、それこそが薄っぺらな現代人が喪失したものだ。
著者がひろいあげた足穂や武田泰淳もそうだが、20世紀中ごろの日本文学というのは穏健ならざる天性の芸術家、奇想にあるれた人たちが活躍していたものだ。半世紀を経てようやくそれが理解できる地点に文芸評論も到達したというべきか、それとも無くなった宝を惜しむ頃合いなのか。
価格が文庫本ではないのが残念。これでは読者が拡がらない。