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パラレルワールド 11次元の宇宙から超空間へ
M理論による究極の宇宙論的予言
この宇宙が死滅するとき、われわれはワープマシンや超空間を通って無数に存在する並行宇宙へと脱出できるのだろうか? 最新の理論と観測データによって宇宙の進化を鮮やかに描き出す、BBCノンフィクション賞受賞作。理論物理学の第一人者による、平易でスリリングな最新宇宙論の決定版!
[内容]
第I部 宇宙
第一章 宇宙が赤ん坊だったころ
第二章 パラドックスに満ちた宇宙
第三章 ビッグバン
第四章 インフレーションと並行宇宙
第II部 マルチバース
第五章 次元の入口とタイムトラベル
第六章 量子論的な並行宇宙
第七章 M理論──すべてのひもの母
第八章 設計された宇宙?
第九章 十一次元のエコーを探す
第III部 超空間への脱出
第十章 すべての終わり
第十一章 宇宙からの脱出
第十二章 マルチバースを超えて
パラレルワールド 11次元の宇宙から超空間へ
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2006/06/05 04:21
「最新宇宙論」の名作
14人中、14人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:てっぺい - この投稿者のレビュー一覧を見る
理解しにくい最新宇宙論を、一般人でも理解できるレベルに書くことを成功した、珍しい本。
今まで宇宙とは唯一のものと思ってきたが、本書を読むと、宇宙が唯一のものではなく、我々の宇宙がたくさんある宇宙の一つでしかない可能性を、当たり前のように受け入れることが出来るようになる。
昔天動説から地動説へ移行する際、たぶん宇宙に本当に興味を寄せる人々は、驚きと共に、宇宙のさらなる広がりを感じて、興奮したに違いないと感じるが、それと同じ種類の興奮を与えてくれた。
子供の頃、無限のはずの宇宙に大きさがあることを知り、無限なのに大きさがあるということは、宇宙をまっすぐに進んでいくと、元いた地点に戻ってくるということなのか?また、宇宙の始まる前の状態が事実として本当にあったのであろうが、その状態を想像することが出来ない反面、過去本当にそういう状態に宇宙があったことを想像すると、興奮して眠れなかった。
本書はこういう子供の頃の疑問や興奮に対して、答えを与えてくれたわけではないが、そういう問題を考えなくてすむようにしてくれたと感じた。それ以上に興奮する疑問や、想像力を掻き立てられたことは間違いないが。。。
今までもマルチバースに関する書籍を読んだことはあったが、どれもわかりにくく、それ故に、なぜマルチバースの概念が出てきたのかを理解することが難しかったため、本書に出会えた喜びはとても大きかった。また、現代理論物理学の第一人者が書いているだけあって、内容に厚みがあり、読んでいて非常に安心感がある。それだけではなく、完全SFの世界にも想像の羽を伸ばしている著者の人間性が非常によく現れていて、最後まで楽しく読み終えることが出来た。
本書は1度だけではなく、自分の興味をそそられた部分を何度か読み返すことをお勧めする。「なるほど、そういうことだったのか」と簡単に思わせてくれる反面、理解できたと勘違いしていることを発見できるからだ。その先には更に深い驚きと興奮が私にはあった。
どんな分野の本であっても、一般人に多く共感を与えることが出来、何度も何度も読み返すことに耐えられるだけの本を、私は「名作」だと思うが、本書は、まさに「最新宇宙論の名作」だと思った。
2007/09/19 00:53
下手なSF読むより、面白いノンフィクション
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:読み人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
最新の宇宙論を扱ったノンフィクションです。
物理の本も、いつも大体、ニュートンあたりは、
見て常識的、直感的に理解しているのとあまり差が無いので、
(本当は、あるのですが)
直感的、そうか。と判るのですが、
アインシュタインになると、途端、頭での理解と、内容の差で
どんどん置いていかれてしまいます、、、、。
ですが、本書は、そんな心配ご無用。
この著者のミチオ・カクさんの優しい語り口で
判らないことも、判らないままに、(本当にそれでいいのか、ちょっと疑問ですが)
物理の楽しさ、宇宙論の楽しさ、豊かさ、そして凄さにどんどん触れていくことが出来ます。
宇宙を知るってことは、
universって意味からも判るとおり、この大きい意味での世界を知るってことなんですね、、。
そんなことに気付かされました。
宇宙の歴史をビッグバンから辿りながら、同時に人間が作り出した宇宙論の発達の歴史も
並行して語られていきます。
上記のアインシュタインが理解できない云々と違い、宇宙論の場合
きちっと、理解しなくても、いいのは、宇宙論そのものが、
本文中にもあるのですが、あまりに物理的データが乏しく、
(新しいデータが出てくるとともに、どんどん変化していくのが宇宙論です)
推測に推測を重ねたうえに構築された、学問なのだからかもしれません。
本書では、宇宙の歴史が語られるとともに、
時間軸上、宇宙の未来も語られています。
天文学的数字の将来なのですが、宇宙ってどんどん冷えていくそうです。
で、そのときに、人類というか、知的生命体は、どうやって、サバイブしていけばいいのか、
そんなことまで、語られています。
で、ここで登場するのが、表題にもなっている並行宇宙への脱出です。
そんな先のことまで心配すること無いじゃんって思ったりもするのですが、
量子論の不確実性から、人が決断をする度に、違う宇宙が生み出され、
無数に宇宙などあるという論理でワームホールを見つけて飛び出していってしまいます。
たまには、下世話な世界を超越して、私たちが存在する宇宙について考えるのも悪くないです。