N.Y.(ニューヨーク)の弁慶
魔都NY(ニューヨーク)を舞台に“弁慶”と呼ばれる謎の東洋人が仇討ち代行人として暗躍する。人類の宿痾(しゅくあ)たる暴力の問題に鋭く迫る、超ハードボイルド!!
▼第1話/HAGGIS▼第2話/HOOK▼第3話/THROW BACK▼第4話/THE CRY▼第5話/SWORD FISH▼第6話/NECK LACE▼第7話/A BASEMENT●登場人物/弁慶(ニューヨークでバーを営み、復讐の請負いをする日本人。贋作画家でもある)●あらすじ/雨宿りをしていた一人の男がいた。その男の側に、弁慶と名乗る日本人が雨宿りをしに来た。弁慶は「雨が降ると酒がうまくなる」と、男に一杯の酒を差し出した。雨があがり、弁慶は男にビレッジでバーを営んでいると、名刺を渡す。その後、その男が弁慶の店にやってきた。男はベトナム戦争時、兵役を逃れるために旅に出たと話し始めた。そこに、一人の若い男がやってきた。「追憶のために」と、男と同じ酒を頼んだ若い男。不思議がる男に弁慶は、「戦争を嫌う人間が殺しをしたら笑えない」と呟くが……(第1話)。
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電子書籍N.Y.(ニューヨーク)の弁慶
2020/04/08 16:44
劇画というより絵画
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:にゃっつ - この投稿者のレビュー一覧を見る
谷口ジローという作家が好きだ。
でも、もういない。
過去の作品はほとんど購入したつもりであったが、まだ、あった。
hontoの新刊紹介で出会い、即購入。
装丁もいいね。
モノクロでハードボイルドな物語であることがすぐにわかる。
そしてページを開くと。
緻密に描かれ、何枚も丁寧にスクリーントーンを貼り重ねたであろう画面が次々と展開していく。
スクリーントーンで描かれた印影は深く、それはまさにスクリーントーンのパターンを超えた絵である。
これは劇画というよりもうすでに絵画。
生の原稿はさぞかし重たいのだろうな。手に取って確かめてみたいものだ。
さて、
物語はジローさんらしい骨太というか、硬骨というか、しどろもどろというか、そんな感じの展開。しかしこれは原作があるので、その原作をジローさんがうまく料理しているのであろう。原作のままかもしれない。
まだ生きている原作者の巻末言もあるが、やはりこの作品は「谷口ジロー」の作品ではないだろうか。原作者には失礼かもしれないけれど。
原作が生まれるべくして生まれ、描かれるべき人にたどり着いて生命を吹き込まれる。
そう、この原作は谷口ジローという人に描き起こされるべくして生まれたのだろう。
いまさらながらに、いない人が懐かしく、心が泣く作品である。